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6-25 門前の訪問者 3
馬車の中でサフィニアは窓の外に目を向けたまま、言葉を失っていた。
「……サフィニア様? どうかなさったのですか? もしかして、あそこにいる人物を御存知なのですか?」
ただならぬサフィニアの様子にセザールは心配になり、声をかけた。
「……あの人は……レオンさんよ。教会の見習い神父だった人で、私の偽装死を手伝ってくれた人なの……」
うつむくサフィニア。
「え!?」
セザールは驚き、御者に大きな声で呼びかけた。
「すみません! 馬車を前方にある巨木の前で止めてください!」
「はい」
御者は頷くと、馬車の向きを変えて巨木へ向かうと馬を止めた。
「……セザール?」
サフィニアはセザールの意図が分からず顔をあげた。
「この巨木の陰なら恐らくアドニス様たちからは見えないでしょう。どういう事情なのか教えていただけますか? サフィニア様が偽装死を決行して、ここに来ることになったのは伺っていますが……協力者がいたのですか?」
真剣な眼差しを向けるセザール。
「黙っていてごめんなさい。私は湖に浮かぶボートから転落して死んだことになっているけど、提案してくれたのはレオンさんだったの。あの人との出会いは、半年前よ。婚約者とヘスティアの3人で町へ出掛けたとき、暴走した馬車が突然現れてこちらへ向かって走って来たの。その時彼が手を取って助けたのが……ヘスティアだったのよ」
あのときの出来事を思い出すと、今もサフィニアの胸は締め付けられる。
「……え?」
セザールは目を見開いた。
「私、ショックで……その場を動けなかった。暴走馬車は私の方に向かって走って来たわ。その時、私の手を引いて助けてくれたのが彼、レオンさんだったの」
サフィニアは寂しげに笑う。
「そして私、分かったの。……ううん、本当はもっと前から気付いていたの。ジルベールが大切に思っている人はヘスティアだって。それにヘスティアも彼のことを……私は二人の邪魔者だったのよ」
「サフィニア様……」
「馬車事故の翌日、彼が来たわ。ヘスティアと二人きりにさせてあげる為、私は一人で母のお墓参りに行ったの。そこで……レオンさんと会って、色々話を聞いてもらったのよ。偽装死の相談をしたのも、あの人よ。レオンさんの協力で私は湖で『偽装死』を決行して旅に出たの。隣の町まで荷馬車で送ってくれたわ」
「……そうだったのですね」
ポツリとセザールは呟いた。
「だけど……どうしてここに? それもアドニス様と一緒なんて……もしかして、レオンさんは私を連れ戻しに来たのかしら? 私の偽装死を疑った父の命令で……私が誰なのか、アドニス様に話してしまったのかしら……」
サフィニアは両肩を抱いて震えているが、セザールにはレオンが何故ここへ来たのかおおよその予想はついていた。
「……ありがとうございます。辛いお話をしてくださって」
「セザール……私……どうしたらいいのかしら……」
サフィニアの顔は青ざめている。
「大丈夫です。多分、彼はアドニス様にサフィニア様のことを何も話していないと思いますよ」
セザールには確証があった。
「え? ど、どうしてそう思うの?」
「あの人はサフィニア様の偽装死を手伝っただけでなく、隣町まで送ってくれたのですよね?」
「ええ……そうだけど……」
「だからですよ、そこまでサフィニア様の為に行動してくれた方が、わざわざ正体を明かすとは思えません」
「本当に、そう思う?」
不安な顔で尋ねるサフィニアにセザールは笑顔で頷く。
「ええ、思います。なので、ここは僕にお任せください。王宮騎士団施設に帰りましょう。あまり遅くなると皆が心配しますから」
「分かったわ」
サフィニアは小さく頷いた。
「施設に向かってください」
セザールが御者に声をかけると彼は頷き、手綱を握りしめて向きを変えた。
――ガラガラガラガラ……
荷馬車は再び走り出す。
アドニスとレオンが向き合う王宮騎士団施設へ向けて――
「……サフィニア様? どうかなさったのですか? もしかして、あそこにいる人物を御存知なのですか?」
ただならぬサフィニアの様子にセザールは心配になり、声をかけた。
「……あの人は……レオンさんよ。教会の見習い神父だった人で、私の偽装死を手伝ってくれた人なの……」
うつむくサフィニア。
「え!?」
セザールは驚き、御者に大きな声で呼びかけた。
「すみません! 馬車を前方にある巨木の前で止めてください!」
「はい」
御者は頷くと、馬車の向きを変えて巨木へ向かうと馬を止めた。
「……セザール?」
サフィニアはセザールの意図が分からず顔をあげた。
「この巨木の陰なら恐らくアドニス様たちからは見えないでしょう。どういう事情なのか教えていただけますか? サフィニア様が偽装死を決行して、ここに来ることになったのは伺っていますが……協力者がいたのですか?」
真剣な眼差しを向けるセザール。
「黙っていてごめんなさい。私は湖に浮かぶボートから転落して死んだことになっているけど、提案してくれたのはレオンさんだったの。あの人との出会いは、半年前よ。婚約者とヘスティアの3人で町へ出掛けたとき、暴走した馬車が突然現れてこちらへ向かって走って来たの。その時彼が手を取って助けたのが……ヘスティアだったのよ」
あのときの出来事を思い出すと、今もサフィニアの胸は締め付けられる。
「……え?」
セザールは目を見開いた。
「私、ショックで……その場を動けなかった。暴走馬車は私の方に向かって走って来たわ。その時、私の手を引いて助けてくれたのが彼、レオンさんだったの」
サフィニアは寂しげに笑う。
「そして私、分かったの。……ううん、本当はもっと前から気付いていたの。ジルベールが大切に思っている人はヘスティアだって。それにヘスティアも彼のことを……私は二人の邪魔者だったのよ」
「サフィニア様……」
「馬車事故の翌日、彼が来たわ。ヘスティアと二人きりにさせてあげる為、私は一人で母のお墓参りに行ったの。そこで……レオンさんと会って、色々話を聞いてもらったのよ。偽装死の相談をしたのも、あの人よ。レオンさんの協力で私は湖で『偽装死』を決行して旅に出たの。隣の町まで荷馬車で送ってくれたわ」
「……そうだったのですね」
ポツリとセザールは呟いた。
「だけど……どうしてここに? それもアドニス様と一緒なんて……もしかして、レオンさんは私を連れ戻しに来たのかしら? 私の偽装死を疑った父の命令で……私が誰なのか、アドニス様に話してしまったのかしら……」
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「……ありがとうございます。辛いお話をしてくださって」
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サフィニアの顔は青ざめている。
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「ええ、思います。なので、ここは僕にお任せください。王宮騎士団施設に帰りましょう。あまり遅くなると皆が心配しますから」
「分かったわ」
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「施設に向かってください」
セザールが御者に声をかけると彼は頷き、手綱を握りしめて向きを変えた。
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荷馬車は再び走り出す。
アドニスとレオンが向き合う王宮騎士団施設へ向けて――
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