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6-33 それぞれの胸の内 1
ボーン
ボーン
ボーン……
応接室に、11時を告げる振り子時計の鐘の音が響き渡った。
「……え? もうこんな時間? 大変だわ、そろそろ帰らないと」
サフィニアは慌てて立ち上がった。
「え? もうお帰りになるのですか? 折角3人で昼食を御一緒にどうかと思ったのですが」
驚くセザール。
「そ、そうですよ。せっかくですし、もう少しご一緒に……」
レオンも遠慮がちに声をかけると、サフィニアは笑顔で首を振った。
「ありがとう。でもいいのよ。それに私は王宮騎士団施設のメイド。騎士の人たちのために食事を用意しないとならないし」
「では馬車を用意するので、送らせていただきます」
セザールが立ち上がると、レオンも頷いて席を立った。
「僕もご一緒します。王宮までお送りできれば……」
「私なら、一人で帰れるから大丈夫よ」
するとセザールは神妙な顔つきになる。
「それはいけません。アドニス様にもサフィニア様のことを頼まれておりますし」
「そうね……なら馬車だけ用意してくれればいいわ。見送りは大丈夫。セザールだって忙しいでしょう?」
「サフィニア様……」
じっとサフィニアを見つめるレオン。
「……分かりました。では馬車の手配はさせていただきます」
「ありがとう、セザール」
サフィニアは笑顔で礼を述べた――
****
屋敷の扉前には、セザールが用意した馬車が待機していた。
「セザール、馬車を用意してくれてありがとう。レオンさん、再会出来て嬉しかったわ」
サフィニアは馬車に乗り込むと二人に声をかけた。
「サフィニア様。本当に、一緒に乗らなくて大丈夫なのでしょうか?」
「僕たち、少しだけでもご一緒できれば……」
セザールとレオンが心配して交互に声をかける。
「大丈夫よ。それに……知っているでしょう? 私が半年間、一人旅をしてきたことは」
「……ええ、そうですね」
その言葉にセザールは頷き、レオンは何か言いかけたものの口を閉ざす。
「それでは、お気をつけてお帰り下さい」
セザールが扉を閉めると、サフィニアは軽く会釈し……馬車はゆっくり音を立てて動き出した。
馬車が遠ざかっていく様子をじっと見つめるセザールとレオン。
「サフィニア様……帰られましたね」
ポツリと口にするレオン。その顔は酷く悲しげだった。
「ええ、そうですね……。ところで、レオンさん。どうかしたのですか? 何だか顔色が優れないようですけど?」
セザールはレオンに向き直った。
「セザール様。僕は……今度は……サフィニア様に嘘をついてしまいました」
「嘘? どんな嘘なのですか?」
「セザールさんは、サフィニア様の侍女のことを御存知でしたよね?」
レオンの質問に頷くセザール。
「はい、もちろんです。もっとも少女時代のヘスティア嬢しか知りませんけど。僕はサフィニア様が10歳の時に公爵邸を去って行ったので」
「そうですか……お名前まで御存知だったのですね」
弱々しく笑みを浮かるレオン。
「ええ。……あの、もしかしてヘスティア嬢に何かあったのですか?」
セザールの質問に、コクリと頷くレオン。
「実は……僕。あの方に、お会いしたことがあるのです……」
「え?」
セザールの顔色が変わった。
「僕……ヘスティア様のことで、内緒にしていることがあるんです……」
レオンは真剣な眼差しをセザールに向けた――
ボーン
ボーン……
応接室に、11時を告げる振り子時計の鐘の音が響き渡った。
「……え? もうこんな時間? 大変だわ、そろそろ帰らないと」
サフィニアは慌てて立ち上がった。
「え? もうお帰りになるのですか? 折角3人で昼食を御一緒にどうかと思ったのですが」
驚くセザール。
「そ、そうですよ。せっかくですし、もう少しご一緒に……」
レオンも遠慮がちに声をかけると、サフィニアは笑顔で首を振った。
「ありがとう。でもいいのよ。それに私は王宮騎士団施設のメイド。騎士の人たちのために食事を用意しないとならないし」
「では馬車を用意するので、送らせていただきます」
セザールが立ち上がると、レオンも頷いて席を立った。
「僕もご一緒します。王宮までお送りできれば……」
「私なら、一人で帰れるから大丈夫よ」
するとセザールは神妙な顔つきになる。
「それはいけません。アドニス様にもサフィニア様のことを頼まれておりますし」
「そうね……なら馬車だけ用意してくれればいいわ。見送りは大丈夫。セザールだって忙しいでしょう?」
「サフィニア様……」
じっとサフィニアを見つめるレオン。
「……分かりました。では馬車の手配はさせていただきます」
「ありがとう、セザール」
サフィニアは笑顔で礼を述べた――
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屋敷の扉前には、セザールが用意した馬車が待機していた。
「セザール、馬車を用意してくれてありがとう。レオンさん、再会出来て嬉しかったわ」
サフィニアは馬車に乗り込むと二人に声をかけた。
「サフィニア様。本当に、一緒に乗らなくて大丈夫なのでしょうか?」
「僕たち、少しだけでもご一緒できれば……」
セザールとレオンが心配して交互に声をかける。
「大丈夫よ。それに……知っているでしょう? 私が半年間、一人旅をしてきたことは」
「……ええ、そうですね」
その言葉にセザールは頷き、レオンは何か言いかけたものの口を閉ざす。
「それでは、お気をつけてお帰り下さい」
セザールが扉を閉めると、サフィニアは軽く会釈し……馬車はゆっくり音を立てて動き出した。
馬車が遠ざかっていく様子をじっと見つめるセザールとレオン。
「サフィニア様……帰られましたね」
ポツリと口にするレオン。その顔は酷く悲しげだった。
「ええ、そうですね……。ところで、レオンさん。どうかしたのですか? 何だか顔色が優れないようですけど?」
セザールはレオンに向き直った。
「セザール様。僕は……今度は……サフィニア様に嘘をついてしまいました」
「嘘? どんな嘘なのですか?」
「セザールさんは、サフィニア様の侍女のことを御存知でしたよね?」
レオンの質問に頷くセザール。
「はい、もちろんです。もっとも少女時代のヘスティア嬢しか知りませんけど。僕はサフィニア様が10歳の時に公爵邸を去って行ったので」
「そうですか……お名前まで御存知だったのですね」
弱々しく笑みを浮かるレオン。
「ええ。……あの、もしかしてヘスティア嬢に何かあったのですか?」
セザールの質問に、コクリと頷くレオン。
「実は……僕。あの方に、お会いしたことがあるのです……」
「え?」
セザールの顔色が変わった。
「僕……ヘスティア様のことで、内緒にしていることがあるんです……」
レオンは真剣な眼差しをセザールに向けた――
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