私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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1−6 制服の色の理由と入学式

 翌日―

今日はいよいよ入学式の日だ。朝食を食べ終え、部屋に戻るとハンガーにかけておいた制服に袖を通して姿見の前に立つ。平民の学生である証のグレーの制服…。

「どうしたの?ロザリー。鏡の前で立って」

背後から同室のアニータが声を掛けてきた。彼女も既に制服を着ている。

「ええ、何故平民の学生は制服の色がグレーなのかなって思って。あまり私達を目立たせない為かしら?」

アニータの方を振り返ると尋ねた。

「目立たせない為か…。う~ん…あながち、違っていないとも言えないけど…まぁ、ある意味間違えた解釈ではないわね」

意味深な言い方をするアニータ。

「え?それはどういう意味なの?」

「学生手帳良く見ていない?学園には週に2回清掃の時間があるのだけど、清掃をするのは私達なのよ。掃除をすると汚れたり、埃をかぶってしまう事もあるじゃない?これが白や紺色の制服だと汚れが目立つけど…色がグレーだったら目立たないでしょう?そう言う理由なのよ」

アニータが肩をすくめながら言う。

「まぁ…そうだったのね?でも理に適っているわね」

妙なところで共感してしまった。

「全く…私達だけにしか掃除をさせていないくせに、この学園では『情操教育の為に学生達に掃除も任せています』なんて、堂々と理事長が言ってるのよ。失礼な話だと思わない?実際に掃除をしているのは私達で、貴族達は掃除なんかしないのだから。私達の寄付金のお陰で学園の経営が成り立っているのに…そう思わない?」

「え、ええ…そうね」

私は寄付金を支払っていないので、曖昧に相槌を打った。

「あ、もう8時半よ。入学式は9時からだからそろそろ行かない?」

時計を見たアニータが言った。

「そうね、行きましょう」

そして私達は連れ立って部屋を出た。



 廊下に出ると、すでに寮生の女生徒たちがゾロゾロと歩いている。彼女たちは皆知り合いなのか、楽し気に話をしている。

「皆、仲が良いのね」

私の言葉にアニータが言った。

「そうね。この学園の殆どは中等部からの持ちあがりだから。でもロザリーの様に外部から高等部に入学してくる生徒たちもいるわよ。あまり数は多くないけどね」

「お友達…出来るかしら」

するとアニータが言った。

「何言ってるの?私とロザリーはもう友達でしょう?それにサリーもアリエルもね」

「そうね…そうだったわね。貴女と同じクラスになれたらいいのだけど…」

「大丈夫。1年生の場合はね、ルームメイトは同じクラスに編入されるから」

「本当?それを聞いて安心だわ」

私は笑みを浮かべてアニータを見た。



****

 私達新入生は講堂に集められ、それぞれ高位貴族、下級貴族、平民に分れて整列している。壇上では先程から理事長の話が20分以上続いていた。大きな身体に高級そうなスーツを着た理事長の話を椅子に座って話を聞かされている学生たちの中には居眠りをしている人もいた。確かに眠くなるのも分る気がする。私も先程から必死で睡魔と戦っていた。

 やがて…。

「それでは新入生を代表して次に挨拶をしてくれる方を御紹介致しましょう!」

理事長の言葉に学生たちが壇上に集中する。

「新入生代表、イアソン・コバーク・ハーバート王子です!」

その言葉と共に壇上のカーテンの奥から真っ白な制服を着たブロンドヘアの学生が現れた。彼は壇上に置かれた演題の前に立ち、両手をつくと私達をグルリと見渡し、言った。

「皆!これから卒業までの3年間、1人も欠ける事無く全員揃って無事に卒業しよう!以上っ!」

その言葉に周囲は拍手に包まれ、イアソン王子は満足げに手を振っている。

他の学生たちが拍手をする中…私は壇上に立つイアソン王子を見つめていた。

一体…今の挨拶はどういう意味なのだろう?何故、イアソン王子はあのような挨拶をしたのだろうか?

そして、私はその理由をすぐに知る事になる―。





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