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1−8 不穏な空気
「え~…そ、それではプリントを配りますので…前から順番に後ろの席に…く、配って下さい…」
1年Aクラスの担当の先生になったフェリペ先生がカタカタと震えながら一番前の席の生徒の前にプリントを置いていく。先生の顔は真っ青で、一番後ろの席を気にしている。けれども先生が怯えるのも無理はない。何故なら本来平民の生徒が座るべき席に公爵家のレナート様と、イアソン王子が座っているのだから。私だって背後から物凄いオーラを放つイアソン王子が座っているので落ち着かない。アニータもやはり緊張しているのだろう。先程から身体が硬直し、顔が青ざめている。
「…はい」
前方の席の男子生徒がプリントを回してきた。
「ありがとう…」
小声で小さくお礼をいい、自分の分のプリントを1枚取ってイアソン王子に回す。
「ど、どうぞ…」
小声でなるべく視線を合わせないように言うと、イアソン王子が声を掛けてきた。
「ありがとう。君…とっても可愛いね」
「!!」
その声は…思った以上に大きく、しんと静まり返った教室に響き渡ってしまった。途端にこの教室中の女子生徒たちから厳しい視線を向けられる。アニータは心配そうに私を見つめていた。
「君、名前は何て言うの?」
イアソン王子は今がオリエンテーションの最中だと言うのに、ニコニコしながら尋ねてくる。
「あ、あの…私は…」
どうしよう…っ!私は…目立たず3年間をこの学園で過ごして…卒業しようと思っていたのに…。先生も困った様子で視線をそらせている。
「照れてるのかい?益々可愛いね~」
尚も声を掛けてくる王子。周囲の視線が痛くてたまらない。その時―。
「やめて下さい、イアソン王子」
レナート様が助けに入ってくれた。
「レナート…邪魔をしないでくれるかい?」
イアソン王子はつまらなそうに言う。
「今はオリエンテーションの最中です。…大体見て分かりませんか?彼女が困っているのを」
レナート様が私をじっと見つめながら言う。
「分かったよ…本当に君は生真面目だな。それじゃ今は黙ってるよ。休み時間に話せばいいしね」
イアソン王子はあろうことかウィンクをしてきた。その行動にますます女生徒から厳しい視線が浴びせられる。
うう…どうしてこんな事に…。
私はすでにこの学園に入学してきた事を後悔していた―。
****
1時限目のチャイムが鳴り終わると、フェリペ先生はまるで逃げるように教室を出て行ってしまった。教室では生徒たちが私とイアソン王子に視線を向けているのが痛いほど分かる。
「ねぇ、君。さっきの続きだけどさ…」
案の定、背後からイアソン王子が声を掛けてきた次の瞬間―。
「ロザリー。君は編入生だろう?学園を案内するよ。一緒に行こう」
ガタンと席を立ったレナート様が声を掛けてきた。
「え…?」
まさか…私の名前を覚えていてくれた…?
「あ!お、おい!レナート!」
イアソン王子が驚いたように声を上げる。
「何か?」
「俺が先に彼女に話しかけていたじゃないか」
「僕は風紀委員でもあり、生徒会の役員ですからね。案内は僕の義務です」
「ま、そう言われたら引き下がるしか無いか」
イアソン王子はつまらなそうに言う。
「それじゃ、行こう」
「は、はい」
レナート様に促され、席を立った。そして2人で教室を出ようとした時に、イアソン王子が言った。
「それじゃ、俺はBクラスに行って来ようかな。何しろフランシスカがいるからね」
その言葉に教室中がざわめいた。
「…」
レナート様は唇を強く結ぶと、言った。
「行こうか」
「はい…」
こうして私とレナート様は教室を後にした―。
1年Aクラスの担当の先生になったフェリペ先生がカタカタと震えながら一番前の席の生徒の前にプリントを置いていく。先生の顔は真っ青で、一番後ろの席を気にしている。けれども先生が怯えるのも無理はない。何故なら本来平民の生徒が座るべき席に公爵家のレナート様と、イアソン王子が座っているのだから。私だって背後から物凄いオーラを放つイアソン王子が座っているので落ち着かない。アニータもやはり緊張しているのだろう。先程から身体が硬直し、顔が青ざめている。
「…はい」
前方の席の男子生徒がプリントを回してきた。
「ありがとう…」
小声で小さくお礼をいい、自分の分のプリントを1枚取ってイアソン王子に回す。
「ど、どうぞ…」
小声でなるべく視線を合わせないように言うと、イアソン王子が声を掛けてきた。
「ありがとう。君…とっても可愛いね」
「!!」
その声は…思った以上に大きく、しんと静まり返った教室に響き渡ってしまった。途端にこの教室中の女子生徒たちから厳しい視線を向けられる。アニータは心配そうに私を見つめていた。
「君、名前は何て言うの?」
イアソン王子は今がオリエンテーションの最中だと言うのに、ニコニコしながら尋ねてくる。
「あ、あの…私は…」
どうしよう…っ!私は…目立たず3年間をこの学園で過ごして…卒業しようと思っていたのに…。先生も困った様子で視線をそらせている。
「照れてるのかい?益々可愛いね~」
尚も声を掛けてくる王子。周囲の視線が痛くてたまらない。その時―。
「やめて下さい、イアソン王子」
レナート様が助けに入ってくれた。
「レナート…邪魔をしないでくれるかい?」
イアソン王子はつまらなそうに言う。
「今はオリエンテーションの最中です。…大体見て分かりませんか?彼女が困っているのを」
レナート様が私をじっと見つめながら言う。
「分かったよ…本当に君は生真面目だな。それじゃ今は黙ってるよ。休み時間に話せばいいしね」
イアソン王子はあろうことかウィンクをしてきた。その行動にますます女生徒から厳しい視線が浴びせられる。
うう…どうしてこんな事に…。
私はすでにこの学園に入学してきた事を後悔していた―。
****
1時限目のチャイムが鳴り終わると、フェリペ先生はまるで逃げるように教室を出て行ってしまった。教室では生徒たちが私とイアソン王子に視線を向けているのが痛いほど分かる。
「ねぇ、君。さっきの続きだけどさ…」
案の定、背後からイアソン王子が声を掛けてきた次の瞬間―。
「ロザリー。君は編入生だろう?学園を案内するよ。一緒に行こう」
ガタンと席を立ったレナート様が声を掛けてきた。
「え…?」
まさか…私の名前を覚えていてくれた…?
「あ!お、おい!レナート!」
イアソン王子が驚いたように声を上げる。
「何か?」
「俺が先に彼女に話しかけていたじゃないか」
「僕は風紀委員でもあり、生徒会の役員ですからね。案内は僕の義務です」
「ま、そう言われたら引き下がるしか無いか」
イアソン王子はつまらなそうに言う。
「それじゃ、行こう」
「は、はい」
レナート様に促され、席を立った。そして2人で教室を出ようとした時に、イアソン王子が言った。
「それじゃ、俺はBクラスに行って来ようかな。何しろフランシスカがいるからね」
その言葉に教室中がざわめいた。
「…」
レナート様は唇を強く結ぶと、言った。
「行こうか」
「はい…」
こうして私とレナート様は教室を後にした―。
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