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1−10 イアソン王子の噂
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レナート様が走り去って行き、私は1人中庭に残った。辺りを見渡すと背もたれ付きのベンチがある事に気付き、そこに腰を下ろして花壇を見つめていた。
「…綺麗なお花…」
花を見ていると、自分が住んでいた村の事を思い出す。田舎で貧しく、かといって観光名所になるような場所でも無かった。けれども温暖な気候の場所だったので1年を通して色とりどりの花々が咲き誇る美しい場所だった。村人達はお花を育て、町に売りに行っていた。そして…私の家でも家業は花を育てる仕事だった…。
「あ、いたいた!ロザリー!」
不意に名前を呼ばれ、振り向くとそこにアニータが立っていた。
「アニータ、何故ここに?」
アニータは隣に座ると言った。
「レナート様がロザリーがここにいるから迎えに行ってもらえないかと頼まれたのよ。1人にしておくと心配だからと言って。ほら、イアソン王子に気にいられちゃったからじゃないかしら?他の女子学生たちにからまれたりしないか心配だったのよ」
「別に気に入られたわけでは無いと思うのだけど…。きっと私が高等部からの入学で、珍しくてからかわれたのじゃないかしら」
「そんな事無いと思うけど…だってロザリーは美人じゃないの。学園一の美人と言われているフランシスカ様と同じくらい美人だと思うわ」
「わ、私は別に美人というわけじゃないけど…」
けれどもアニータは私の話を聞いているのか、いないのかため息を付くと言った。
「本当に優しい方よね?レナート様って。あの方くらいよ。私達平民の事を見下したりしないのは」
「そう…なの?イアソン王子様は?」
私に話しかけてきた雰囲気を見る限り、平民を見下しているように思えなかった。
「あの方は特別よ。だって王子様だから…イアソン王子よりも身分が高い人はこの学園にはいないからあの方が何をしても許されてしまうのよ。だから平気で私達のように身分の低い学生にもフレンドリーに話しかけて来るのよ」
そしてアニータはキョロキョロ辺りを見渡すと、耳打ちしてきた。
「でも優しい言葉をかけられたからと言ってもイアソン王子の言葉は決して本心ではないからね。騙されたら駄目よ?今迄あの方とお付き合いして泣かされてきた女子生徒がどれ程いると思ってる?」
「さ、さぁ…3人くらい…かしら?」
するとアニータは驚いたように言う。
「3人?!そんなはず無いじゃない多分20人位はいるはずよ」
「20人?そんなに…?」
「ええ。だからこそ…余計にレナート様は心配しているのよ。何しろ自分の婚約者のフレデリカ様が今はイアソン王子に夢中になっているから。レナート様も相手が王子様だから、何も言えないのよ」
「そうだったの…?それはお気の毒ね…レナート様も」
だから、あの時イアソン王子の言葉に反応していたのかもしれない。
その時、授業開始の予鈴が辺りに鳴り響いた。
「あ、予鈴が鳴ったわね。行きましょうか?」
アニータが立ち上がった。
「ええ、そうね」
私も立ち上がると、2人並んで校舎へと向かって歩き出した。
2人で並んで廊下を歩きながら私はポツリと言った
「…イアソン王子がいる教室へ入るの…気が重いわ…」
「気持ちは分かるわ。でも安心して?この学園ではね、席は決まっていないのよ。私達で一番後ろの席に座ればいいわ。きっとそうすればイアソン王子もロザリーが意図的に避けている事を察して、距離を開けてくれるのじゃないかしら?」
「ええ。そうね…だといいけど…」
私は不安を抱えつつ、アニータと教室へ戻った―。
「…綺麗なお花…」
花を見ていると、自分が住んでいた村の事を思い出す。田舎で貧しく、かといって観光名所になるような場所でも無かった。けれども温暖な気候の場所だったので1年を通して色とりどりの花々が咲き誇る美しい場所だった。村人達はお花を育て、町に売りに行っていた。そして…私の家でも家業は花を育てる仕事だった…。
「あ、いたいた!ロザリー!」
不意に名前を呼ばれ、振り向くとそこにアニータが立っていた。
「アニータ、何故ここに?」
アニータは隣に座ると言った。
「レナート様がロザリーがここにいるから迎えに行ってもらえないかと頼まれたのよ。1人にしておくと心配だからと言って。ほら、イアソン王子に気にいられちゃったからじゃないかしら?他の女子学生たちにからまれたりしないか心配だったのよ」
「別に気に入られたわけでは無いと思うのだけど…。きっと私が高等部からの入学で、珍しくてからかわれたのじゃないかしら」
「そんな事無いと思うけど…だってロザリーは美人じゃないの。学園一の美人と言われているフランシスカ様と同じくらい美人だと思うわ」
「わ、私は別に美人というわけじゃないけど…」
けれどもアニータは私の話を聞いているのか、いないのかため息を付くと言った。
「本当に優しい方よね?レナート様って。あの方くらいよ。私達平民の事を見下したりしないのは」
「そう…なの?イアソン王子様は?」
私に話しかけてきた雰囲気を見る限り、平民を見下しているように思えなかった。
「あの方は特別よ。だって王子様だから…イアソン王子よりも身分が高い人はこの学園にはいないからあの方が何をしても許されてしまうのよ。だから平気で私達のように身分の低い学生にもフレンドリーに話しかけて来るのよ」
そしてアニータはキョロキョロ辺りを見渡すと、耳打ちしてきた。
「でも優しい言葉をかけられたからと言ってもイアソン王子の言葉は決して本心ではないからね。騙されたら駄目よ?今迄あの方とお付き合いして泣かされてきた女子生徒がどれ程いると思ってる?」
「さ、さぁ…3人くらい…かしら?」
するとアニータは驚いたように言う。
「3人?!そんなはず無いじゃない多分20人位はいるはずよ」
「20人?そんなに…?」
「ええ。だからこそ…余計にレナート様は心配しているのよ。何しろ自分の婚約者のフレデリカ様が今はイアソン王子に夢中になっているから。レナート様も相手が王子様だから、何も言えないのよ」
「そうだったの…?それはお気の毒ね…レナート様も」
だから、あの時イアソン王子の言葉に反応していたのかもしれない。
その時、授業開始の予鈴が辺りに鳴り響いた。
「あ、予鈴が鳴ったわね。行きましょうか?」
アニータが立ち上がった。
「ええ、そうね」
私も立ち上がると、2人並んで校舎へと向かって歩き出した。
2人で並んで廊下を歩きながら私はポツリと言った
「…イアソン王子がいる教室へ入るの…気が重いわ…」
「気持ちは分かるわ。でも安心して?この学園ではね、席は決まっていないのよ。私達で一番後ろの席に座ればいいわ。きっとそうすればイアソン王子もロザリーが意図的に避けている事を察して、距離を開けてくれるのじゃないかしら?」
「ええ。そうね…だといいけど…」
私は不安を抱えつつ、アニータと教室へ戻った―。
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