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2-9 連れてきてもらった場所は
歩き続けていると、見たことのある場所に出て来た。道の中央に作られた大きな噴水。そして赤いとんがり屋根の建物…。
不意に前を歩いていたレナート様がピタリと足を止めた。そこは先ほどフランシスカ様とイアソン王子が出て来た店の前だったのだ。
まさか…レナート様が案内したいお店がここだったなんて。
「この店だよ。案内したかった店は。ここはクッキー専門店でね、すごく美味しいんだよ。一緒に中に入ろう。大丈夫だよ、店内には他にもお客さんが大勢いるから誰か知り合いに会っても、店内で会話さえ交わさなければ一緒に来たと思われなくてもすむだろう?この店は僕のお気に入りの店でね…フランシスカにも教えてあげたことがあるんだよ」
フランシスカ様…。私の脳裏に先程の光景が蘇る。イアソン王子と仲睦まじげにこの店を出てきた時のフランシスカ様の姿が…。
その時―。
「あら?レナート様ではありませんか?」
不意にレナート様の名前が呼ばれ、振り向くとそこには豪華なドレス姿の2人の令嬢が立っていた。
あ…あの人達はきっと学園の…。
「どうされたのですか?こんなところで…あら?」
「そちらの人はどなたなのですか?」
2人の令嬢は何所か厳しい目で私を見ている。…それは当然だろう。だって私はあの令嬢達の着ているドレスから見ると、とても見劣りする貧しい服を着ているから。
「いえ、私はここで道を尋ねていただけです。それでは失礼致します」
恐らくあの令嬢達は高等部から入学してきた私の顔を知らないだろう。素早く頭を下げると、逃げるようにその場を後にした。躊躇う様なレナート様の姿が一瞬見えたけれども私と一緒にいたことがばれてはいけない。私は視線を合わせる事もなく、急ぎ足で学園へと戻って行った。
「ここまで来れば…大丈夫よね…?」
ハアハアと息を吐きながら後ろを振り返る。もう辺りの景色はすっかり変わり、眼前には学園の門が見える。
「何だか疲れてしまったわ…。もう部屋に入ったら夕食まで休んでいましょう…」
寮の建物に取り付けられた時計を見て、私は後悔していた。時刻は午後1時になろうとしている。通常、この寮では昼食は出ないことになっている。寮で食事が出来る時間帯は朝食と夕食のみなのだ。
「何か食べ物を買っておけばよかったわ…」
けれど、もう一度町へ戻る気にはとてもではないがなれなかった。
「お昼抜きで我慢するしかないわね…」
考えてみれば、あの村に住んでいる時から貧しさの為に1日2食の生活は当然だった。この学園に入学し…私は随分贅沢な人間になっていたのかもしれない。
「ふぅ…」
重い足取りで、私は寮の中へと入って行った。
****
「あら?お帰りなさい。ロザリー」
寮の扉を開けて中へ入ると、出入り口の直ぐ傍にある寮母室から寮母さんが窓を開けて声を掛けて来た。
「はい、只今戻りました」
「お昼は食べてきているのよね?」
寮母室から何か食べ物の良い匂いが漂っている。恐らく寮母さんはお昼ご飯を食べていたのだろう。
「はい、頂いてきました」
気を遣わせてはいけないと思い、私は笑顔で答えた。
「そう?なら良かったわ。入寮した時に説明したと思うけど、寮ではお昼は出せないから各自で用意するって事覚えているか心配だったから」
「大丈夫です。覚えていますから。それでは失礼しますね」
これ以上ここにいたら食べ物の匂いにつられてお腹が鳴ってしまいそうだ。
「ええ。呼び止めてごめんなさいね」
そして再び窓はピシャリと閉められた。
「早く自室に戻りましょう…」
小さく呟くと私は自室目指して歩き始めた―。
不意に前を歩いていたレナート様がピタリと足を止めた。そこは先ほどフランシスカ様とイアソン王子が出て来た店の前だったのだ。
まさか…レナート様が案内したいお店がここだったなんて。
「この店だよ。案内したかった店は。ここはクッキー専門店でね、すごく美味しいんだよ。一緒に中に入ろう。大丈夫だよ、店内には他にもお客さんが大勢いるから誰か知り合いに会っても、店内で会話さえ交わさなければ一緒に来たと思われなくてもすむだろう?この店は僕のお気に入りの店でね…フランシスカにも教えてあげたことがあるんだよ」
フランシスカ様…。私の脳裏に先程の光景が蘇る。イアソン王子と仲睦まじげにこの店を出てきた時のフランシスカ様の姿が…。
その時―。
「あら?レナート様ではありませんか?」
不意にレナート様の名前が呼ばれ、振り向くとそこには豪華なドレス姿の2人の令嬢が立っていた。
あ…あの人達はきっと学園の…。
「どうされたのですか?こんなところで…あら?」
「そちらの人はどなたなのですか?」
2人の令嬢は何所か厳しい目で私を見ている。…それは当然だろう。だって私はあの令嬢達の着ているドレスから見ると、とても見劣りする貧しい服を着ているから。
「いえ、私はここで道を尋ねていただけです。それでは失礼致します」
恐らくあの令嬢達は高等部から入学してきた私の顔を知らないだろう。素早く頭を下げると、逃げるようにその場を後にした。躊躇う様なレナート様の姿が一瞬見えたけれども私と一緒にいたことがばれてはいけない。私は視線を合わせる事もなく、急ぎ足で学園へと戻って行った。
「ここまで来れば…大丈夫よね…?」
ハアハアと息を吐きながら後ろを振り返る。もう辺りの景色はすっかり変わり、眼前には学園の門が見える。
「何だか疲れてしまったわ…。もう部屋に入ったら夕食まで休んでいましょう…」
寮の建物に取り付けられた時計を見て、私は後悔していた。時刻は午後1時になろうとしている。通常、この寮では昼食は出ないことになっている。寮で食事が出来る時間帯は朝食と夕食のみなのだ。
「何か食べ物を買っておけばよかったわ…」
けれど、もう一度町へ戻る気にはとてもではないがなれなかった。
「お昼抜きで我慢するしかないわね…」
考えてみれば、あの村に住んでいる時から貧しさの為に1日2食の生活は当然だった。この学園に入学し…私は随分贅沢な人間になっていたのかもしれない。
「ふぅ…」
重い足取りで、私は寮の中へと入って行った。
****
「あら?お帰りなさい。ロザリー」
寮の扉を開けて中へ入ると、出入り口の直ぐ傍にある寮母室から寮母さんが窓を開けて声を掛けて来た。
「はい、只今戻りました」
「お昼は食べてきているのよね?」
寮母室から何か食べ物の良い匂いが漂っている。恐らく寮母さんはお昼ご飯を食べていたのだろう。
「はい、頂いてきました」
気を遣わせてはいけないと思い、私は笑顔で答えた。
「そう?なら良かったわ。入寮した時に説明したと思うけど、寮ではお昼は出せないから各自で用意するって事覚えているか心配だったから」
「大丈夫です。覚えていますから。それでは失礼しますね」
これ以上ここにいたら食べ物の匂いにつられてお腹が鳴ってしまいそうだ。
「ええ。呼び止めてごめんなさいね」
そして再び窓はピシャリと閉められた。
「早く自室に戻りましょう…」
小さく呟くと私は自室目指して歩き始めた―。
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