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2-17 アルバイト決定
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「あの…私、お客では無いのですが…表のアルバイト募集の張り紙を見てきました」
「まぁ。それじゃアルバイト希望の子だったのね?てっきりお客さんだと思ったわ。とりあえず今お客さんがいないから話を聞こうかしら?こちらへいらっしゃい」
人のよさそうな女の人に手招きされて、私は店の奥に案内された。
「はい、それじゃ、ここに座って」
丸い椅子を用意されたので座ると、女の人も私の向かい側に椅子を持ってきて座った。
「初めまして。私はこの店のオーナーのカトリーヌというのよ。面接の前に聞きたい事があるのだけど…あなた、男の子の恰好しているけど…本当は女の子なんじゃないの?」
「は、はい…そうです…」
やっぱりいくら男の子の恰好をしても、見る人が見ればすぐに女だとばれてしまう。
「そう。やっぱりね…でもどうして男の子の恰好をしているのかしら?」
「それは…男の子の恰好をしていた方が、アルバイトに採用して貰いやすいので…。あの、やっぱり私では駄目でしょうか?」
「駄目って事は無いけど…今何歳なの?」
「16歳です」
「ひょっとして学生さんかしら?」
「はい、『リーガルスクール』の新入生です」
「まぁ。あそこの生徒さんだったの?アルバイト希望という事は、ひょっとして貴族の方なのですか?」
突然カトリーヌさんは口調を変えて来た。
「い、いえ。とんでもありません!私は本当にただの平民ですから」
慌てて首を振る。
「そうなの?でも…変ね。あの学園の平民の生徒さんは皆お金持ちの人達ばかりで、アルバイトを希望するような生徒さんは誰もいないのに…」
カトリーヌさんは不思議そうな顔で私を見た。
「実は私はある方の援助で、あの学園に通わせて頂いているんです。だから本当は貧しい平民なんです。だから…アルバイトをしないと大変で…。すみません。やっぱり男の子しか採用は無理でしょうか…?」
「あら、そんな事無いわ。バイトに募集してくる子は確かに男の子ばかりだけど、皆貴族の子たちばかりだから、なかなか使いにくいのよ。ここだけの話しだけどね」
カトリーヌさんはいたずらっ子のような笑みを浮かべると言った。
「そうなのですか?」
「ええ、そうなのよ。やっぱり貴族の人たちって平民をどこか見下すから…貴方も学校で苦労しているんじゃないかしら?」
「え、ええ…そういう時もありますが、でもとても親切な貴族の人もいますよ?」
そう…レナート様のような…。
「そうだわ、まだ貴女の名前を聞いていなかったわね?名前を教えて貰えるかしら?」
「はい。ロザリー・ダナンと申します」
「ロザリーさん。それじゃ来週から来れるかしら?」
「え…?」
私はその言葉に耳を疑った。
「あ、あの…それじゃ…」
「ええ、採用よ。それで?早速だけど来週からお願いできる?」
「はい!だいじょうぶですっ!ありがとうございます!」
まさかこんなに早くアルバイトが決まるなんて思いもしなかった。
「ふふ…宜しくね。それじゃ来週の土曜の午前10時から17時までお願いできる?」
「はい、勿論です。こちらこそよろしくお願い致します」
こうして私は来週から花屋でのアルバイトが決定した―。
「まぁ。それじゃアルバイト希望の子だったのね?てっきりお客さんだと思ったわ。とりあえず今お客さんがいないから話を聞こうかしら?こちらへいらっしゃい」
人のよさそうな女の人に手招きされて、私は店の奥に案内された。
「はい、それじゃ、ここに座って」
丸い椅子を用意されたので座ると、女の人も私の向かい側に椅子を持ってきて座った。
「初めまして。私はこの店のオーナーのカトリーヌというのよ。面接の前に聞きたい事があるのだけど…あなた、男の子の恰好しているけど…本当は女の子なんじゃないの?」
「は、はい…そうです…」
やっぱりいくら男の子の恰好をしても、見る人が見ればすぐに女だとばれてしまう。
「そう。やっぱりね…でもどうして男の子の恰好をしているのかしら?」
「それは…男の子の恰好をしていた方が、アルバイトに採用して貰いやすいので…。あの、やっぱり私では駄目でしょうか?」
「駄目って事は無いけど…今何歳なの?」
「16歳です」
「ひょっとして学生さんかしら?」
「はい、『リーガルスクール』の新入生です」
「まぁ。あそこの生徒さんだったの?アルバイト希望という事は、ひょっとして貴族の方なのですか?」
突然カトリーヌさんは口調を変えて来た。
「い、いえ。とんでもありません!私は本当にただの平民ですから」
慌てて首を振る。
「そうなの?でも…変ね。あの学園の平民の生徒さんは皆お金持ちの人達ばかりで、アルバイトを希望するような生徒さんは誰もいないのに…」
カトリーヌさんは不思議そうな顔で私を見た。
「実は私はある方の援助で、あの学園に通わせて頂いているんです。だから本当は貧しい平民なんです。だから…アルバイトをしないと大変で…。すみません。やっぱり男の子しか採用は無理でしょうか…?」
「あら、そんな事無いわ。バイトに募集してくる子は確かに男の子ばかりだけど、皆貴族の子たちばかりだから、なかなか使いにくいのよ。ここだけの話しだけどね」
カトリーヌさんはいたずらっ子のような笑みを浮かべると言った。
「そうなのですか?」
「ええ、そうなのよ。やっぱり貴族の人たちって平民をどこか見下すから…貴方も学校で苦労しているんじゃないかしら?」
「え、ええ…そういう時もありますが、でもとても親切な貴族の人もいますよ?」
そう…レナート様のような…。
「そうだわ、まだ貴女の名前を聞いていなかったわね?名前を教えて貰えるかしら?」
「はい。ロザリー・ダナンと申します」
「ロザリーさん。それじゃ来週から来れるかしら?」
「え…?」
私はその言葉に耳を疑った。
「あ、あの…それじゃ…」
「ええ、採用よ。それで?早速だけど来週からお願いできる?」
「はい!だいじょうぶですっ!ありがとうございます!」
まさかこんなに早くアルバイトが決まるなんて思いもしなかった。
「ふふ…宜しくね。それじゃ来週の土曜の午前10時から17時までお願いできる?」
「はい、勿論です。こちらこそよろしくお願い致します」
こうして私は来週から花屋でのアルバイトが決定した―。
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