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3−9 来訪の知らせ
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チャイムが鳴り、本日最後の授業が終わった。
「ロザリー、一緒に寮に帰らない?」
帰り支度をしながらアニータが声を掛けてくる。
「あ…ごめんなさい。私、今日は日直で先生の所へ日誌を渡しに行かなくてはならないの」
「そう言えばそうだったわね。ごめんなさい、忘れていたわ」
「いいのよ、だから先に帰っていて」
「ええ、分かったわ。また後でね」
「ええ、またね。アニータ」
アニータはスクールカバンを背負うと、教室を出ていった。
「さて…日誌の続きを書かなくちゃ…」
そして私はペンを取り出すと、日誌のまとめを始めた。生徒達は次から次へと教室から出ていく気配を感じていた。
「…よし、完成」
日誌をパタンと閉じると、すぐ側で声が聞こえた。
「あ、書き終えたんだね?」
その声に振り向くと、何とレナート様が笑顔でそこにいた。
「あ、レ、レナート様!」
慌てて立ち上がるとレナート様が言った。
「日誌を置いてきたら、旧校舎の中庭に来てくれる?」
「え…?」
しかし、レナート様はそれ以上の事は言わずに教室を出ていってしまった。
レナート様…。
私は胸が高鳴るのを感じた―。
「宜しくお願いします」
職員室へ行き、担任の先生に日誌を渡す。
「ああ、ご苦労さま。ところで…どうだい?学校は少しは慣れたかな?」
「はい、少し慣れてきました」
すると先生が尋ねてきた。
「それで…まだ先の話にはなるけれど、長期休暇の日は自宅に帰るのかな?」
「はい…多分そのつもりです」
「そうか…」
何故か先生の様子がおかしい。
「先生?どうかしましたか?」
「い、いや。実はこの間…君の出資者の方が理事長室を訪ねて来たんだよ。担任の僕もう呼ばれてね」
「!」
その言葉に背筋が凍った。
「そ、それで…その方は何と仰っていたのですか…?」
「う、うん。不自由な事は無いか?とか…困っていることは無いかと尋ねてきたよ。何かあったらすぐに連絡を入れて欲しい…とも言っていた」
「そ、そう…ですか…」
あの方が来た…。
その事実を知り、思わず手足が震えてしまう。
「大丈夫かい?ロザリー」
「は、はい。大丈夫で…す」
「君は元気にしていると、何も今の所不自由な思いはしていないと伝えておいたよ」
「はい、先生…。どうもありがとうございます」
私は頭を下げて礼を述べた。
「いや、いいんだよ。それじゃ日誌を預かるよ」
「はい、お願いします」
先生に日誌を手渡すと、私は殆ど生徒がいなくなった廊下を歩き、旧校舎の中庭を目指した―。
****
旧校舎は今では殆ど使用されていることはない。この校舎は今は資料室や用具室として使用されている部屋ばかりで殆ど人が立ち入ることは無かった。その校舎の中庭は当然めったに人が来ることはない。
中庭へ行ってみると大きな木の下にベンチが置かれ、そこにレナート様が座っていた。
「ロザリー。待ってたよ」
レナート様は笑顔でベンチから立ち上がると手を振ってきた。
「遅くなって申し訳ございません」
足早に近づくと、レナート様に頭を下げた。
「いいんだよ、そんなに待っていないから。座って話をしないかい?ここは殆ど人が来ることは無いから、気兼ねなく話が出来ると思ってロザリーを呼んだんだよ」
「お気遣いありがとうございます。失礼致します」
そしてベンチの一番端に座った。
「…」
レナート様は一瞬妙な顔つきで私を見た。
「ロザリー…」
「はい?」
「…ううん、何でも無いよ。それより昨日何があったのか教えてくれるかい?」
レナート様の言葉に私は頷いた―。
「ロザリー、一緒に寮に帰らない?」
帰り支度をしながらアニータが声を掛けてくる。
「あ…ごめんなさい。私、今日は日直で先生の所へ日誌を渡しに行かなくてはならないの」
「そう言えばそうだったわね。ごめんなさい、忘れていたわ」
「いいのよ、だから先に帰っていて」
「ええ、分かったわ。また後でね」
「ええ、またね。アニータ」
アニータはスクールカバンを背負うと、教室を出ていった。
「さて…日誌の続きを書かなくちゃ…」
そして私はペンを取り出すと、日誌のまとめを始めた。生徒達は次から次へと教室から出ていく気配を感じていた。
「…よし、完成」
日誌をパタンと閉じると、すぐ側で声が聞こえた。
「あ、書き終えたんだね?」
その声に振り向くと、何とレナート様が笑顔でそこにいた。
「あ、レ、レナート様!」
慌てて立ち上がるとレナート様が言った。
「日誌を置いてきたら、旧校舎の中庭に来てくれる?」
「え…?」
しかし、レナート様はそれ以上の事は言わずに教室を出ていってしまった。
レナート様…。
私は胸が高鳴るのを感じた―。
「宜しくお願いします」
職員室へ行き、担任の先生に日誌を渡す。
「ああ、ご苦労さま。ところで…どうだい?学校は少しは慣れたかな?」
「はい、少し慣れてきました」
すると先生が尋ねてきた。
「それで…まだ先の話にはなるけれど、長期休暇の日は自宅に帰るのかな?」
「はい…多分そのつもりです」
「そうか…」
何故か先生の様子がおかしい。
「先生?どうかしましたか?」
「い、いや。実はこの間…君の出資者の方が理事長室を訪ねて来たんだよ。担任の僕もう呼ばれてね」
「!」
その言葉に背筋が凍った。
「そ、それで…その方は何と仰っていたのですか…?」
「う、うん。不自由な事は無いか?とか…困っていることは無いかと尋ねてきたよ。何かあったらすぐに連絡を入れて欲しい…とも言っていた」
「そ、そう…ですか…」
あの方が来た…。
その事実を知り、思わず手足が震えてしまう。
「大丈夫かい?ロザリー」
「は、はい。大丈夫で…す」
「君は元気にしていると、何も今の所不自由な思いはしていないと伝えておいたよ」
「はい、先生…。どうもありがとうございます」
私は頭を下げて礼を述べた。
「いや、いいんだよ。それじゃ日誌を預かるよ」
「はい、お願いします」
先生に日誌を手渡すと、私は殆ど生徒がいなくなった廊下を歩き、旧校舎の中庭を目指した―。
****
旧校舎は今では殆ど使用されていることはない。この校舎は今は資料室や用具室として使用されている部屋ばかりで殆ど人が立ち入ることは無かった。その校舎の中庭は当然めったに人が来ることはない。
中庭へ行ってみると大きな木の下にベンチが置かれ、そこにレナート様が座っていた。
「ロザリー。待ってたよ」
レナート様は笑顔でベンチから立ち上がると手を振ってきた。
「遅くなって申し訳ございません」
足早に近づくと、レナート様に頭を下げた。
「いいんだよ、そんなに待っていないから。座って話をしないかい?ここは殆ど人が来ることは無いから、気兼ねなく話が出来ると思ってロザリーを呼んだんだよ」
「お気遣いありがとうございます。失礼致します」
そしてベンチの一番端に座った。
「…」
レナート様は一瞬妙な顔つきで私を見た。
「ロザリー…」
「はい?」
「…ううん、何でも無いよ。それより昨日何があったのか教えてくれるかい?」
レナート様の言葉に私は頷いた―。
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