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その日の夕食後の事だった―。
アニータと2人で部屋で話をしていた時、突然部屋の扉がノックされた。
「ロザリーさん、いらっしゃるかしら?」
それは寮母さんの声だった。
「はい、いますけど」
立ち上がり、扉を開けた。
「ああ…良かった。お部屋にいたのね?」
そこにはどことなく困った様子の寮母さんが立っていた。
「あの…どうかしましたか?」
「え、ええ…。実はロザリーさんにお客様が来ているのだけど…」
「お客様?」
首を傾げ…アッと思った。ま、まさか…あの方が来たのだろうか…?思わず恐怖で震えそうになった時、寮母さんが意外な人物の名を口にした。
「ええ、イアソン王子がいらしたのよ」
「えっ?!イアソン王子がっ?!」
声を上げたのはアニータだった。
「ど、どうしてイアソン王子が…?」
声を震わせて尋ねても寮母さんは首を傾げる。
「さ、さぁ…理由を尋ねて見てたものの、教えてくださらないので…ここは女子寮なので男性を室内へお入れする事が出来ません。今、イアソン王子には出入り口の外でお待ち頂いております。すぐに行って下さい」
「は、はい。分かりました。アニータ、それじゃ私行ってくるわ」
「ええ、行ってらっしゃい」
アニータに見送られ、私は寮母さんと一緒に出入り口へと向かった―。
扉を開けて外に出るとイアソン王子はこちらに背を向け、夜空を見上げていた。空の上には大きな満月が輝いている。
「お、お待たせ致しました…イアソン王子」
ここまで走ってきたので、ハァハァ息を切らせながら私はイアソン王子に声を掛けた。
「やぁ、こんばんは」
イアソン王子は振り向くと笑顔で言った。
「今夜は満月がとっても綺麗だね?」
「え?ええ…そうですね。それで…私にどのような御用なのでしょうか?」
「うん、実はね。ロザリーに渡したいものがあって持ってきたんだよ」
「え…?渡したいもの…?」
その時になって私は気付いた。イアソン王子の右手には大きな紙袋が握りしめられている。
「はい、これあげるよ」
突然イアソン王子が紙袋を押し付けてきた。
「え?こ、これは…?」
紙袋の中身を開けて驚いた。そこには真新しいサイズの制服が入っていたからだ。
「学園長に君の入学時の書類を特別に見せてもらってね…制服のサイズを調べさせたんだよ。君が今来ている制服のサイズと同じだから」
「そ、そんな…困ります!こんな事をされたたら…」
こんな高額の制服をただで貰うわけにはいかない。
「何を言っているんだ?だって君の制服は破れてしまったし、汚れてしまっただろう?」
「ですが…頂く分けには参りません」
「だって君は僕の目の間で下位貴族の女子学生たちに酷い目に遭わされたんだよ?」
「ですが、イアソン王子には何も関係ないことですから…」
うつむきながら答えるとイアソン王子が言った。
「ひょっとしてロザリー。君…この制服僕が買ったと思っているんじゃないのかい?」
「え?そうではないのですか?」
「正確に言えば、弁償させたのさ。君を虐めた女子学生たちからお金を集めて買ったんだよ」
「えっ!」
その言葉に全身から血の気が引く。
「な、何故ですか?何故そんな真似を…」
終わった…これで私の学園生活も…この絶対階級社会の学園で、こんな事をされて無事で過ごせるとは思えない。
するとイアソン王子は言った。
「もしかして…報復されるんじゃないかと思ってる?それなら大丈夫だよ。彼女たちは全員退学にしたからさ」
イアソン王子は笑みを浮かべて私を見た―。
アニータと2人で部屋で話をしていた時、突然部屋の扉がノックされた。
「ロザリーさん、いらっしゃるかしら?」
それは寮母さんの声だった。
「はい、いますけど」
立ち上がり、扉を開けた。
「ああ…良かった。お部屋にいたのね?」
そこにはどことなく困った様子の寮母さんが立っていた。
「あの…どうかしましたか?」
「え、ええ…。実はロザリーさんにお客様が来ているのだけど…」
「お客様?」
首を傾げ…アッと思った。ま、まさか…あの方が来たのだろうか…?思わず恐怖で震えそうになった時、寮母さんが意外な人物の名を口にした。
「ええ、イアソン王子がいらしたのよ」
「えっ?!イアソン王子がっ?!」
声を上げたのはアニータだった。
「ど、どうしてイアソン王子が…?」
声を震わせて尋ねても寮母さんは首を傾げる。
「さ、さぁ…理由を尋ねて見てたものの、教えてくださらないので…ここは女子寮なので男性を室内へお入れする事が出来ません。今、イアソン王子には出入り口の外でお待ち頂いております。すぐに行って下さい」
「は、はい。分かりました。アニータ、それじゃ私行ってくるわ」
「ええ、行ってらっしゃい」
アニータに見送られ、私は寮母さんと一緒に出入り口へと向かった―。
扉を開けて外に出るとイアソン王子はこちらに背を向け、夜空を見上げていた。空の上には大きな満月が輝いている。
「お、お待たせ致しました…イアソン王子」
ここまで走ってきたので、ハァハァ息を切らせながら私はイアソン王子に声を掛けた。
「やぁ、こんばんは」
イアソン王子は振り向くと笑顔で言った。
「今夜は満月がとっても綺麗だね?」
「え?ええ…そうですね。それで…私にどのような御用なのでしょうか?」
「うん、実はね。ロザリーに渡したいものがあって持ってきたんだよ」
「え…?渡したいもの…?」
その時になって私は気付いた。イアソン王子の右手には大きな紙袋が握りしめられている。
「はい、これあげるよ」
突然イアソン王子が紙袋を押し付けてきた。
「え?こ、これは…?」
紙袋の中身を開けて驚いた。そこには真新しいサイズの制服が入っていたからだ。
「学園長に君の入学時の書類を特別に見せてもらってね…制服のサイズを調べさせたんだよ。君が今来ている制服のサイズと同じだから」
「そ、そんな…困ります!こんな事をされたたら…」
こんな高額の制服をただで貰うわけにはいかない。
「何を言っているんだ?だって君の制服は破れてしまったし、汚れてしまっただろう?」
「ですが…頂く分けには参りません」
「だって君は僕の目の間で下位貴族の女子学生たちに酷い目に遭わされたんだよ?」
「ですが、イアソン王子には何も関係ないことですから…」
うつむきながら答えるとイアソン王子が言った。
「ひょっとしてロザリー。君…この制服僕が買ったと思っているんじゃないのかい?」
「え?そうではないのですか?」
「正確に言えば、弁償させたのさ。君を虐めた女子学生たちからお金を集めて買ったんだよ」
「えっ!」
その言葉に全身から血の気が引く。
「な、何故ですか?何故そんな真似を…」
終わった…これで私の学園生活も…この絶対階級社会の学園で、こんな事をされて無事で過ごせるとは思えない。
するとイアソン王子は言った。
「もしかして…報復されるんじゃないかと思ってる?それなら大丈夫だよ。彼女たちは全員退学にしたからさ」
イアソン王子は笑みを浮かべて私を見た―。
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