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5-15 手伝いに来た理由
レナート様からなるべく離れた場所で黙々と作業をしていると、不意に声を掛けられた。
「ロザリー」
「は、はい…」
緊張しながら視線を合わせないように返事をする。
「色々…あの方から話を聞いたよ」
「そう…ですか」
「それにしても驚いたよ。あの方は…大公だったんだね。そんな凄い方とロザリーが知り合いだったなんて…」
「…」
ついに…レナート様に知られてしまった。私が隠しておきたかった事実を…。
「それだけじゃない。ロザリー。君だって本当は…」
けれど、私はその言葉を塞ぐように言った。
「私は…私は田舎の村に家族と住むただの貧しい平民です。この学園にいられるのはあのお方が援助して下さっているお陰なのです」
「だけど、大公殿下は君には小切手を渡してあるって言ってたよ?」
「私は…小切手を使うつもりはありません。学費を支払って貰って下さるだけで十分です。それ以外は…自分で何とかします」
「ロザリー。だけど、それでは…」
「レナート様。もしかしてこの話をする為にわざわざお花屋のお手伝いを申し出られたのですか?」
「そうだよ。でも他にも理由はあるけど…」
私もレナート様も仕事の手を休める事無く、会話を続けている。
「どうぞ…もう私にはお構いなく。それに…」
「それに?」
「レナート様は私の事がお嫌いですよね?」
この言葉を言うか、言うまいか散々迷ったけれども…私は口にした。
「ロザリー。確かに僕は一時期、君はフランシスカに害を与える人間だとばかり思っていたけど…でも彼女は君の事を大切な友人だと言っている。だから僕も考えを改めようと思ったんだ。本当にごめん。悪いことをした反省しているよ。大公殿下にも言われたんだ。ロザリーの様に心が綺麗な人間はそうそういないって。なのに君は彼女を酷く傷つけられただろうと責められたよ。でも確かに言われてみればそうだよね。自分でも分っているんだけど…フランシスカの事になると冷静でいられなくなるんだ。僕は彼女の信頼を失いたくない。反省している。だからどうか許して貰えないだろうか?」
レナート様は頭を下げて来た。
「…」
そんなレナート様の言葉を私は悲しい気持ちで聞いていた。結局レナート様は私の気持ちを考えて謝罪をしているわけでは無い。すべてはフランシスカ様の為。これ以上信頼を失って嫌われたくないという恐れから私の許しを得たいだけなのだ。
「許すも何も…私はそのような事を申し上げられる身分ではありませんので…」
「ロザリー。それじゃ…」
丁度その時、良いタイミングで花束を抱えたカトリーヌさんが声を掛けて来た。
「2人共、ちょっといいかしら。お花の注文があって、これから届けに行かなくてはいけないのだけど、どちらかに頼めないかしら?」
「それなら僕が…」
「はい、私が行ってきます」
私は立ち上がると返事をした。
「そう?ならロザリーに頼もうかしら?」
「はい」
「え?だけど、ロザリーは女の子だし、配達なら僕が…」
「私はずっと郷里にいた時もお花の配達の仕事をやっていたので慣れているから大丈夫です」
「え?」
私の言葉にレナート様は驚いた顔を見せる。
「それではお願いね。これが届け先の住所だから」
カトリーヌさんが花束とメモ紙を手渡して来た。
「はい、では行ってきます」
メモ紙と花束を受け取ると私は逃げるように店を出た―。
「ロザリー」
「は、はい…」
緊張しながら視線を合わせないように返事をする。
「色々…あの方から話を聞いたよ」
「そう…ですか」
「それにしても驚いたよ。あの方は…大公だったんだね。そんな凄い方とロザリーが知り合いだったなんて…」
「…」
ついに…レナート様に知られてしまった。私が隠しておきたかった事実を…。
「それだけじゃない。ロザリー。君だって本当は…」
けれど、私はその言葉を塞ぐように言った。
「私は…私は田舎の村に家族と住むただの貧しい平民です。この学園にいられるのはあのお方が援助して下さっているお陰なのです」
「だけど、大公殿下は君には小切手を渡してあるって言ってたよ?」
「私は…小切手を使うつもりはありません。学費を支払って貰って下さるだけで十分です。それ以外は…自分で何とかします」
「ロザリー。だけど、それでは…」
「レナート様。もしかしてこの話をする為にわざわざお花屋のお手伝いを申し出られたのですか?」
「そうだよ。でも他にも理由はあるけど…」
私もレナート様も仕事の手を休める事無く、会話を続けている。
「どうぞ…もう私にはお構いなく。それに…」
「それに?」
「レナート様は私の事がお嫌いですよね?」
この言葉を言うか、言うまいか散々迷ったけれども…私は口にした。
「ロザリー。確かに僕は一時期、君はフランシスカに害を与える人間だとばかり思っていたけど…でも彼女は君の事を大切な友人だと言っている。だから僕も考えを改めようと思ったんだ。本当にごめん。悪いことをした反省しているよ。大公殿下にも言われたんだ。ロザリーの様に心が綺麗な人間はそうそういないって。なのに君は彼女を酷く傷つけられただろうと責められたよ。でも確かに言われてみればそうだよね。自分でも分っているんだけど…フランシスカの事になると冷静でいられなくなるんだ。僕は彼女の信頼を失いたくない。反省している。だからどうか許して貰えないだろうか?」
レナート様は頭を下げて来た。
「…」
そんなレナート様の言葉を私は悲しい気持ちで聞いていた。結局レナート様は私の気持ちを考えて謝罪をしているわけでは無い。すべてはフランシスカ様の為。これ以上信頼を失って嫌われたくないという恐れから私の許しを得たいだけなのだ。
「許すも何も…私はそのような事を申し上げられる身分ではありませんので…」
「ロザリー。それじゃ…」
丁度その時、良いタイミングで花束を抱えたカトリーヌさんが声を掛けて来た。
「2人共、ちょっといいかしら。お花の注文があって、これから届けに行かなくてはいけないのだけど、どちらかに頼めないかしら?」
「それなら僕が…」
「はい、私が行ってきます」
私は立ち上がると返事をした。
「そう?ならロザリーに頼もうかしら?」
「はい」
「え?だけど、ロザリーは女の子だし、配達なら僕が…」
「私はずっと郷里にいた時もお花の配達の仕事をやっていたので慣れているから大丈夫です」
「え?」
私の言葉にレナート様は驚いた顔を見せる。
「それではお願いね。これが届け先の住所だから」
カトリーヌさんが花束とメモ紙を手渡して来た。
「はい、では行ってきます」
メモ紙と花束を受け取ると私は逃げるように店を出た―。
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