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7-4 イアソン王子の提案
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「で、ですが…ユーグ様に知られたら…わ、私…」
そうだ、ユーグ様は私が実家に里帰りしたと思っている。その為に小切手も切符も用意してくれたのだから。それい万一にでも、あの家にやって来るかもしれないし…手紙を出してくる可能性だってある。
「いいじゃないか。仮に知られたとしても」
イアソン王子はサラリと簡単に言うけれども、私からすればただごとではない。
「や、やっぱり駄目です。行けません」
首を振って答えた。
「ふ~ん…なら、結局ここにいてもあまり変わらないと思うけどね」
イアソン王子が腕組みしながら私を見た。
「え…?」
「いいか?ユーグ大公はロザリーが実家に行ったものだと思っているんだろう?それなのに今、肝心の君は寮に帰ってきている。何故、その事について何の連絡もしてこなかったと大公に責められるんじゃないのか?ロザリーだけでなく、家族だって」
「そ、それは確かにそうですが…」
「だったら、俺の家の王家の名を使って大公に手紙を送った方がいいじゃないか?それなら先方だって納得してくれると思うけど?」
「…」
確かにユーグ様に対等に話が出来る立場にあるのは今のところイアソン王子だけ…。
「それとも君を大公殿下の所に送り届けた方がいいのかな?」
「そ、それは…!」
出来れば、ユーグ様の元へは今はまだ行きたくは無かった。どうせ次回の長期休暇からは花嫁修業を兼ねて、大公家で過ごさなければならない。そして卒業後は…ユーグ様の妻として、嫁がなければならない。
私は…自由が欲しかった。
「やっぱり、それは嫌なんだな?」
俯く私にイアソン王子は言った。
「は、はい…」
「よし、なら決まりだ。それじゃロザリーは冬期休暇の間は俺の国で過ごすんだ。もし、俺と一緒に国へ行くのが嫌なら別々に行くか?俺はそれでも構わないけど」
「え?」
イアソン王子のあまりにも意外な提案に少しだけ驚いた。
「さっき、ロザリーは言っただろう?婚約者でも無い女性を国に連れて帰ることがどういう意味か?って。世間体を気にするっていうなら別々に帰ればいいんだ。離宮で過ごすのが嫌だっていうなら、俺が1カ月間ロザリーが暮らせる小さな家かアパートメントを借りてやってもいいし」
「あ…」
それはとても素晴らしい申し出に聞こえた。そうだ、例えイアソン王子の国へ行ったとしても、離宮で暮らさなかったり、一緒に過ごさなければいいだけの話だ。
これなら…仮にユーグ様に知られたとしても左程大きな問題にはならないかも…。
「どうする?ロザリー」
イアソン王子がまるで私の心の動きが分ったかのように尋ねて来た。
「はい。では…よろしくお願い致します」
気付けば、私はイアソン王子に頭を下げていた―。
そうだ、ユーグ様は私が実家に里帰りしたと思っている。その為に小切手も切符も用意してくれたのだから。それい万一にでも、あの家にやって来るかもしれないし…手紙を出してくる可能性だってある。
「いいじゃないか。仮に知られたとしても」
イアソン王子はサラリと簡単に言うけれども、私からすればただごとではない。
「や、やっぱり駄目です。行けません」
首を振って答えた。
「ふ~ん…なら、結局ここにいてもあまり変わらないと思うけどね」
イアソン王子が腕組みしながら私を見た。
「え…?」
「いいか?ユーグ大公はロザリーが実家に行ったものだと思っているんだろう?それなのに今、肝心の君は寮に帰ってきている。何故、その事について何の連絡もしてこなかったと大公に責められるんじゃないのか?ロザリーだけでなく、家族だって」
「そ、それは確かにそうですが…」
「だったら、俺の家の王家の名を使って大公に手紙を送った方がいいじゃないか?それなら先方だって納得してくれると思うけど?」
「…」
確かにユーグ様に対等に話が出来る立場にあるのは今のところイアソン王子だけ…。
「それとも君を大公殿下の所に送り届けた方がいいのかな?」
「そ、それは…!」
出来れば、ユーグ様の元へは今はまだ行きたくは無かった。どうせ次回の長期休暇からは花嫁修業を兼ねて、大公家で過ごさなければならない。そして卒業後は…ユーグ様の妻として、嫁がなければならない。
私は…自由が欲しかった。
「やっぱり、それは嫌なんだな?」
俯く私にイアソン王子は言った。
「は、はい…」
「よし、なら決まりだ。それじゃロザリーは冬期休暇の間は俺の国で過ごすんだ。もし、俺と一緒に国へ行くのが嫌なら別々に行くか?俺はそれでも構わないけど」
「え?」
イアソン王子のあまりにも意外な提案に少しだけ驚いた。
「さっき、ロザリーは言っただろう?婚約者でも無い女性を国に連れて帰ることがどういう意味か?って。世間体を気にするっていうなら別々に帰ればいいんだ。離宮で過ごすのが嫌だっていうなら、俺が1カ月間ロザリーが暮らせる小さな家かアパートメントを借りてやってもいいし」
「あ…」
それはとても素晴らしい申し出に聞こえた。そうだ、例えイアソン王子の国へ行ったとしても、離宮で暮らさなかったり、一緒に過ごさなければいいだけの話だ。
これなら…仮にユーグ様に知られたとしても左程大きな問題にはならないかも…。
「どうする?ロザリー」
イアソン王子がまるで私の心の動きが分ったかのように尋ねて来た。
「はい。では…よろしくお願い致します」
気付けば、私はイアソン王子に頭を下げていた―。
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