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7-10 ホテルで遭遇した人物
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馬車は走り続け、やがてまるでお城のような城壁の大きな建物が見えて来た。
「あれだ、ロザリーが宿泊するホテルは」
イアソン王子の言葉に耳を疑った。
「え…?ま、まさか…あの建物がホテルなのですか?」
「そうだよ。このリゾート地で一番有名なホテルだ」
会話している傍から馬車はホテルにどんどん近付き…やがて止った。
「さぁ、到着だ。降りよう」
イアソン王子は自ら馬車の扉を開けて先に降りると、私に手を差し伸べて来た。
「…ありがとうございます」
そしてイアソン王子のエスコートのもと、馬車を降りると王子は私のトランクケースを下してくれた。
「中に入ろう」
「は、はい…」
ホテルの入口はガラス張りの大きな回転扉になっている。2人でその扉を潜り抜けると、目の前に巨大なフロアが飛び込んできた。真正面は大きな掃き出し窓になっているので、明るい太陽の光が差し込んでいる。床に敷かれたふかふかなカーペットはまるで海を思わせるかのような水色だ。
フロアにはソファとテーブルが幾つも置かれ、そこに座って談笑する人々は全員身なりの良い服を着ている。
私のような貧しい身なりの者は誰もいない。途端に自分が酷く場違いな処に来ている感覚に陥り、酷く惨めで…恥ずかしい気持ちになって来た。
「あの…イアソン王子…」
カウンターへ向かって歩くイアソン王子に声を掛けた。
「何だ?」
立ち止まり、振り向く王子。
「申し訳ありませんが…やはり、このホテルは私にとっては敷居が高いです…」
「何でだ?」
不思議そうな顔で私を見るイアソン王子。…王子にはこの状況が分らないのだろうか?私の着ている服装が…どれ程までにこの場にふさわしくないかと言う事が…。
王子は何も気づいていないのかもしれないが、先程からこのフロアにいるお客様達が私の事を軽蔑した目で見つめている。中にはコソコソこちらを見て話している人たちまでもがいる。あの人達が私を見て何を言っているのかは容易に想像がついた。
自分が惨めで思わず黙っていると、再びイアソン王子が声を掛けてきた。
「黙っていたら分らないだろう?」
その時―。
「まぁ!イアソン様ではありませんか!」
不意に近くで声を掛けられた。
え?
声の方を振り向き…私は驚いた。その人物は同じ車両に乗っていた少女の姿がそこにあったからだ。しかも、隣には少年もいる。
「ああ、ミレーユ。それに…アルベルト」
ミレーユと呼ばれた少女は急ぎ足でこちらへ向かってくると、笑顔で話しかけて来た。
「イアソン様。一体何故このホテルへ?あ…まさか、私に会いに来て下さったのですか?」
このミレーユという人は余程自分に自信があるのだろうか?
するとイアソン王子は苦笑いしながら言った。
「いいや、違う。今日は友人をこのホテルに滞在させる為に連れて来たのさ」
そしてイアソン王子は私を見た。
「え…?この人が…イアソン王子の友人…?」
ミレーユさんは私に鋭い視線をぶつけて来た―。
「あれだ、ロザリーが宿泊するホテルは」
イアソン王子の言葉に耳を疑った。
「え…?ま、まさか…あの建物がホテルなのですか?」
「そうだよ。このリゾート地で一番有名なホテルだ」
会話している傍から馬車はホテルにどんどん近付き…やがて止った。
「さぁ、到着だ。降りよう」
イアソン王子は自ら馬車の扉を開けて先に降りると、私に手を差し伸べて来た。
「…ありがとうございます」
そしてイアソン王子のエスコートのもと、馬車を降りると王子は私のトランクケースを下してくれた。
「中に入ろう」
「は、はい…」
ホテルの入口はガラス張りの大きな回転扉になっている。2人でその扉を潜り抜けると、目の前に巨大なフロアが飛び込んできた。真正面は大きな掃き出し窓になっているので、明るい太陽の光が差し込んでいる。床に敷かれたふかふかなカーペットはまるで海を思わせるかのような水色だ。
フロアにはソファとテーブルが幾つも置かれ、そこに座って談笑する人々は全員身なりの良い服を着ている。
私のような貧しい身なりの者は誰もいない。途端に自分が酷く場違いな処に来ている感覚に陥り、酷く惨めで…恥ずかしい気持ちになって来た。
「あの…イアソン王子…」
カウンターへ向かって歩くイアソン王子に声を掛けた。
「何だ?」
立ち止まり、振り向く王子。
「申し訳ありませんが…やはり、このホテルは私にとっては敷居が高いです…」
「何でだ?」
不思議そうな顔で私を見るイアソン王子。…王子にはこの状況が分らないのだろうか?私の着ている服装が…どれ程までにこの場にふさわしくないかと言う事が…。
王子は何も気づいていないのかもしれないが、先程からこのフロアにいるお客様達が私の事を軽蔑した目で見つめている。中にはコソコソこちらを見て話している人たちまでもがいる。あの人達が私を見て何を言っているのかは容易に想像がついた。
自分が惨めで思わず黙っていると、再びイアソン王子が声を掛けてきた。
「黙っていたら分らないだろう?」
その時―。
「まぁ!イアソン様ではありませんか!」
不意に近くで声を掛けられた。
え?
声の方を振り向き…私は驚いた。その人物は同じ車両に乗っていた少女の姿がそこにあったからだ。しかも、隣には少年もいる。
「ああ、ミレーユ。それに…アルベルト」
ミレーユと呼ばれた少女は急ぎ足でこちらへ向かってくると、笑顔で話しかけて来た。
「イアソン様。一体何故このホテルへ?あ…まさか、私に会いに来て下さったのですか?」
このミレーユという人は余程自分に自信があるのだろうか?
するとイアソン王子は苦笑いしながら言った。
「いいや、違う。今日は友人をこのホテルに滞在させる為に連れて来たのさ」
そしてイアソン王子は私を見た。
「え…?この人が…イアソン王子の友人…?」
ミレーユさんは私に鋭い視線をぶつけて来た―。
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