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8-4 イアソン王子との外出
アンドレアさんの言葉に、2人の御両親と見られる方達は驚いた様子で私を見ている。
するとイアソン王子が言った。
「ああ、そうだ。俺が待ち合わせをしていたのはロザリーなんだ。今日は2人で1日一緒に過ごす事になっているから、悪いけどミレーユとは付き合えない。それじゃ行こうか?ロザリー」
イアソン王子はいきなり私の左手首を掴むと強引に手を引いて歩き出した。
「あ!待って下さい!イアソン王子っ!」
背後ではミレーユさんの悲痛な声があがった。そしてそれを宥める彼女の両親とアンドレアさんの声が聞こえてくる。
「イ、イアソン王子…いいのですか?ミレーユさんをあのままにして…」
「…」
しかしイアソン王子は返事もしないし、立ち止まってもくれない。
イアソン王子…。
私は黙って王子に連れられて行くしかなかった。
ホテルを出ると、エントランス前に真っ白な馬車が白馬と一緒に待っていた。馬車の周りには大勢の人が集まっている。
そして馬車を見て何やら騒いでいた。
「またか…」
イアソン王子は呟くと、背後を歩く護衛の人達に声を掛けた。
「あれでは馬車に乗れない。彼等を払ってくれ」
「「はい」」
2人の男性は小さく返事をすると馬車に向かって駆けだした。そして何か大きな声で人々に言い…あっと言う間に群がっていた人々を追い払ってしまった。
「これで静かになった」
イアソン王子は言うと、私を振り返った。
「ロザリーは我が国の賓客だからな。今日1日かけて色々観光案内をしてあげよう」
そして笑みを浮かべて私を見た―。
****
今、私はイアソン王子と向かい合わせに馬車に乗っていた。
ガラガラと走る馬車の中で恐る恐る王子に尋ねてみる事にした。
「あ、あの…今はどちらへ向かっているのでしょうか?」
「そうだな…」
イアソン王子はチラリと私を見る。
「?」
訳が分からず、首を傾げると王子は言った。
「最初はまず…ロザリーの新しい服でも買いにいくことにしよう」
「えっ?!ま、待って下さい。私…服を買えるほどのお金は…」
言いかけて、言葉を途中で切ってしまった。何故ならイアソン王子が私の事を睨んでいたからだ。
「…申し訳…ございません…」
俯いて返事をすると、王子は溜息をついた。
「ロザリー。俺は誰だ?」
「はい。イアソン王子は、ここ『ヘンデル』の王太子様です」
「ロザリーの服を買うのに、俺が連れ出しているのだからお金を要求するはずが無いだろう?」
「ええ…そうなのですが…申し訳なくて…」
するとイアソン王子が言った。
「そうか…。ロザリーは今まで、余程誰から何か買って貰ったり、プレゼントをされた経験が無いのだな。だから慣れていないのだろう?」
「はい。その通りです」
私は貧しい家で生まれ育ったのだから、誰かにプレゼントして貰った経験は殆ど無かった。年に一度の誕生日に、欲しかった本を買って貰ったりしたことはあった。本当にそれ位だった。服だって子供の内は近所の人達からのおさがりを譲って貰っていたような生活をしていたのだから…。
「本当に…王女の娘とは思えない程、質素な暮らしをしていたのだな…」
イアソン王子は私を見て、ぽつりと言った―。
するとイアソン王子が言った。
「ああ、そうだ。俺が待ち合わせをしていたのはロザリーなんだ。今日は2人で1日一緒に過ごす事になっているから、悪いけどミレーユとは付き合えない。それじゃ行こうか?ロザリー」
イアソン王子はいきなり私の左手首を掴むと強引に手を引いて歩き出した。
「あ!待って下さい!イアソン王子っ!」
背後ではミレーユさんの悲痛な声があがった。そしてそれを宥める彼女の両親とアンドレアさんの声が聞こえてくる。
「イ、イアソン王子…いいのですか?ミレーユさんをあのままにして…」
「…」
しかしイアソン王子は返事もしないし、立ち止まってもくれない。
イアソン王子…。
私は黙って王子に連れられて行くしかなかった。
ホテルを出ると、エントランス前に真っ白な馬車が白馬と一緒に待っていた。馬車の周りには大勢の人が集まっている。
そして馬車を見て何やら騒いでいた。
「またか…」
イアソン王子は呟くと、背後を歩く護衛の人達に声を掛けた。
「あれでは馬車に乗れない。彼等を払ってくれ」
「「はい」」
2人の男性は小さく返事をすると馬車に向かって駆けだした。そして何か大きな声で人々に言い…あっと言う間に群がっていた人々を追い払ってしまった。
「これで静かになった」
イアソン王子は言うと、私を振り返った。
「ロザリーは我が国の賓客だからな。今日1日かけて色々観光案内をしてあげよう」
そして笑みを浮かべて私を見た―。
****
今、私はイアソン王子と向かい合わせに馬車に乗っていた。
ガラガラと走る馬車の中で恐る恐る王子に尋ねてみる事にした。
「あ、あの…今はどちらへ向かっているのでしょうか?」
「そうだな…」
イアソン王子はチラリと私を見る。
「?」
訳が分からず、首を傾げると王子は言った。
「最初はまず…ロザリーの新しい服でも買いにいくことにしよう」
「えっ?!ま、待って下さい。私…服を買えるほどのお金は…」
言いかけて、言葉を途中で切ってしまった。何故ならイアソン王子が私の事を睨んでいたからだ。
「…申し訳…ございません…」
俯いて返事をすると、王子は溜息をついた。
「ロザリー。俺は誰だ?」
「はい。イアソン王子は、ここ『ヘンデル』の王太子様です」
「ロザリーの服を買うのに、俺が連れ出しているのだからお金を要求するはずが無いだろう?」
「ええ…そうなのですが…申し訳なくて…」
するとイアソン王子が言った。
「そうか…。ロザリーは今まで、余程誰から何か買って貰ったり、プレゼントをされた経験が無いのだな。だから慣れていないのだろう?」
「はい。その通りです」
私は貧しい家で生まれ育ったのだから、誰かにプレゼントして貰った経験は殆ど無かった。年に一度の誕生日に、欲しかった本を買って貰ったりしたことはあった。本当にそれ位だった。服だって子供の内は近所の人達からのおさがりを譲って貰っていたような生活をしていたのだから…。
「本当に…王女の娘とは思えない程、質素な暮らしをしていたのだな…」
イアソン王子は私を見て、ぽつりと言った―。
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