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10-24 前夜
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「私まで馬車で送って頂き、どうもありがとうございました」
女子寮の前で馬車を降りた私はイアソン王子とルペルト様にお礼を述べた。
「寮まで送り届けるのは当然のことだから別に礼を言う必要は無いぞ」
イアソン王子の言葉にルペルト様は苦笑いする。
「イアソン王子…前から思っていましたが、どうもロザリーにだけは普通の女性たちと違って態度が違いますよね?」
「そうか?別に変わらないと思うが?」
「いいえ、変わりますよ。何と言うか…ロザリーには遠慮が無い感じがします」
「遠慮が無い…」
私はルペルト様の言葉を復唱した。
「あ、こんな言い方じゃ、語弊を生むかも…。うん、そうですね…ロザリーの前では自然体でいられる…そんな感じですね」
「お前の気のせいじゃないのか?」
けれどイアソン王子はすぐにルペルト様の言葉を否定し、次に私を見た。
「俺とルペルトはこの後も町で買い物の用があるんだ。又教室で会おう。イアソンの事は何か分かったら教えてやるから」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃ、ロザリー又ね」
ルペルト様が笑顔で手を振ってくれた。
「は、はい。ルペルト様」
思わず顔が赤くなってしまった。
「…ほら、もう行くぞ。ルペルト、馬車の扉を閉めてくれ」
「あ、は、はい」
イアソン王子に言われてルペルト様が扉を閉めた。
「出してくれ」
イアソン王子が御者の男性に声を掛けると、馬車はすぐにガラガラと音を立てて走り去って行った。
「…」
馬車が遠ざかって行く姿を見届けると、私は寮へと足を向けた―。
****
その日の夕方―
続々と冬期休暇を終えて寮生達が戻ってきた。
「ただいま!ロザリー」
同室のアニータが元気よく部屋に戻ってきた。
「お帰りなさい、アニータ」
笑顔でアニータを部屋に迎えると、彼女はボストンバックから手のひらサイズの紙袋を取り出し、差し出してきた。
「はい、ロザリー。お土産よ」
「え?私に…お土産?」
「ええ。受け取ってくれる」
「ありがとう…」
アニータから紙袋を預かると、早速尋ねた。
「開けてみてもいい?」
「ええ、勿論よ」
そこで早速紙袋を開けると、小さく折りたたまれたハンカチが入っていた。
「まぁ…ハンカチ…」
早速広げてみると、薄ピンク色のハンカチに可愛らしい小鳥のイラストが刺繍されている。
「可愛い…」
思わず呟く。
「どう?気に入った?」
アニータが尋ねてきた。
「ええ、すごく気に入ったわ。あ…」
どうしよう。私は…何一つ、アニータに渡せるプレゼントが無い。
「どうかしたの?ロザリー」
「ごめんなさい。アニータ。私…貴女に渡せるプレゼントが何も無いわ」
「あら、いいのよ?そんなこと気にしなくても。それよりも私の冬期休暇の話、聞いてくれる?」
アニータは興奮気味に話しかけてきた。
「ええ、何でも聞くわ」
「本当?実はね…」
こうして、この日は夜寝るまでアニータの帰省の話で私達は盛り上がった。
そして翌日、学園に激震が走る―。
女子寮の前で馬車を降りた私はイアソン王子とルペルト様にお礼を述べた。
「寮まで送り届けるのは当然のことだから別に礼を言う必要は無いぞ」
イアソン王子の言葉にルペルト様は苦笑いする。
「イアソン王子…前から思っていましたが、どうもロザリーにだけは普通の女性たちと違って態度が違いますよね?」
「そうか?別に変わらないと思うが?」
「いいえ、変わりますよ。何と言うか…ロザリーには遠慮が無い感じがします」
「遠慮が無い…」
私はルペルト様の言葉を復唱した。
「あ、こんな言い方じゃ、語弊を生むかも…。うん、そうですね…ロザリーの前では自然体でいられる…そんな感じですね」
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けれどイアソン王子はすぐにルペルト様の言葉を否定し、次に私を見た。
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「はい、ありがとうございます」
「それじゃ、ロザリー又ね」
ルペルト様が笑顔で手を振ってくれた。
「は、はい。ルペルト様」
思わず顔が赤くなってしまった。
「…ほら、もう行くぞ。ルペルト、馬車の扉を閉めてくれ」
「あ、は、はい」
イアソン王子に言われてルペルト様が扉を閉めた。
「出してくれ」
イアソン王子が御者の男性に声を掛けると、馬車はすぐにガラガラと音を立てて走り去って行った。
「…」
馬車が遠ざかって行く姿を見届けると、私は寮へと足を向けた―。
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その日の夕方―
続々と冬期休暇を終えて寮生達が戻ってきた。
「ただいま!ロザリー」
同室のアニータが元気よく部屋に戻ってきた。
「お帰りなさい、アニータ」
笑顔でアニータを部屋に迎えると、彼女はボストンバックから手のひらサイズの紙袋を取り出し、差し出してきた。
「はい、ロザリー。お土産よ」
「え?私に…お土産?」
「ええ。受け取ってくれる」
「ありがとう…」
アニータから紙袋を預かると、早速尋ねた。
「開けてみてもいい?」
「ええ、勿論よ」
そこで早速紙袋を開けると、小さく折りたたまれたハンカチが入っていた。
「まぁ…ハンカチ…」
早速広げてみると、薄ピンク色のハンカチに可愛らしい小鳥のイラストが刺繍されている。
「可愛い…」
思わず呟く。
「どう?気に入った?」
アニータが尋ねてきた。
「ええ、すごく気に入ったわ。あ…」
どうしよう。私は…何一つ、アニータに渡せるプレゼントが無い。
「どうかしたの?ロザリー」
「ごめんなさい。アニータ。私…貴女に渡せるプレゼントが何も無いわ」
「あら、いいのよ?そんなこと気にしなくても。それよりも私の冬期休暇の話、聞いてくれる?」
アニータは興奮気味に話しかけてきた。
「ええ、何でも聞くわ」
「本当?実はね…」
こうして、この日は夜寝るまでアニータの帰省の話で私達は盛り上がった。
そして翌日、学園に激震が走る―。
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