私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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11-10 手紙

 ホットサンド屋さんはアルバイト先の花屋さんから徒歩5分程の場所にあった。

赤色のレンガ造りの建物の窓からは店内の様子がよく見える。
テーブル席には大勢の人々が座って食事をしており、この店の人気ぶりが伺えた。

「席、空いているといいのですけど」

心配になって口にすると、ルペルト様が笑った。

「大丈夫、その心配はする必要ないよ」

「え?」

「席はもう予約済みだ。…入ろう」

イアソン王子が扉を開けて、店の中を入っていく。その後ろを私とルペルト様が続いた。

店内は窓からも見えたが、やはり満席に近かった。お客の年齢層は大体私と同年代に見て取れた。

「あ、あの…」

「何だ?」
「どうかしたの?」

私が躊躇しているとイアソン王子とルペルト様が振り返った。

「もし顔見知りに会うと…その、色々とマズイ気がするのですけど…」

「何がマズイんだ?」

イアソン王子は何も分かっていないのか、私に尋ねてきた。

「そ、それは私が平民なのに…イアソン王子と一緒にいることが、です。ルペルト様は学園に来たばかりなので、まだお顔が知られていないとは思いますがイアソン王子は…」

するとイアソン王子はため息を付いた。

「確かに俺は顔が知られているかも知れないが…ロザリー。お前の事を知る者など殆どいないだろう?」

「それはそうかもしれませんが…」

「それに俺が見る限り、同じ学園の生徒はいないようだぞ」

イアソン王子はグルリと店内を見渡した。

「そうでしょうか…?」

「うん。多分大丈夫だよ、だってお客さんたちを見てご覧よ。みんなお酒を飲んでるいるみたいだよ」

ルペルト様に言われて店内を見渡せば、確かにお客さん達はお酒を飲みながらホットサンドを食べているようだった。

 この国では19歳になるまではお酒は禁止になっている。
そして『リーガル学園』は15歳から18歳までの学生たちばかりだ。

「あ…ということは…」

「うん、つまりあの学園の生徒たちはいないってことだよ」

「そうですね。なら安心です」

するとそれまで私とルペルト様の会話を無言で聞いていたイアソン王子がため息をついた。

「全く…本当に周囲の目をロザリーは気にしすぎだ。もっと堂々としていればいいのに」

イアソン王子はそう言うけれども…それは無理な話だ。
王子は学園でも頂点に君臨する人。けれど私は底辺の中の底辺…。
気にするな、というのが無理な話だ。

「イアソン王子…気にするなという方が無理ですよ。それよりも早く座りましょう」

「…そうだな」
「はい」

そして私達は『予約席』と書かれた札が立てられている窓際の席に向かうと着席した。


 そしてどのメニューを注文すればが良いのか分からなかった私はイアソン王子とルペルト様が勧めてくれたハムチーズサンドにした。ルペルト様はたまごサンド、イアソン王子はエビとアボガドサンドを注文した。


3人分の注文を終えると、イアソン王子が上着のポケットから手紙を取り出すとテーブルの上に置いた。

「フランシスカから手紙を預かってきている。ロザリー宛だ」

「え…?」

真っ白な封筒には『ロザリーへ』と記されていた―。


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