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第2章 46 絶望するには…
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『時巡神社』へやってきた俺はすぐさま、腕に装着していた磁場発生装置を起動させた途端に濃い霧が辺りに立ち込めてくる。
きっと教授はこの神社で俺を待っているはずだ。すぐに戻って報告をして…どうすれば彩花の命を救えるのか検証しなければ。
「行こう…」
俺は鳥居をくぐり抜けた。
そうだ、絶望するにはまだ早い。俺は過去に戻れる。
何度だってやり直しが出来るのだから―。
****
霧が徐々に晴れていく…。
目の前の景色が鮮明になってくると、神社の前に教授が立っていることに気付いた。
「教授!」
「おっ?戻ったのか?上野!」
教授がこちらへやってきた。
「ええ、つい先程今の時代に戻ってきました」
俺の言葉に教授は首をひねる。
「う~ん…今戻ってきましたと言われてもな…俺にしてみれば1分ほどにしか満たない時間だから、全く実感が沸かんよ」
「え?そうなのですか?」
「ああ、上野。今回お前はあの世界にどれくらい滞在していたんだ?」
「…3時間程です…」
「何?それくらいしか滞在しなかったのか?一体何故…」
そこまで言いかけて教授は神妙な顔つきになった。
「…もしかして…南さんは…?」
「はい…彩花ですが…し、死んでいました…」
「何っ?!また…亡くなっていたのか。?一体死因は?!」
「今度の死は…心不全でした…」
声が思わず震えてしまう。
「心不全だって…?まさか南さんは心臓が悪かったのか?」
「いえ…恐らくそんな事は無かったとはずです」
「ふむ…そうか。とりあえず、大学の研究室に戻ろう。帰りの車の中でも話は出来るからな」
「分かりました」
そして俺と教授は連れ立って神社を後にした。
「上野、帰りはお前が運転してくれ」
シュッ!
突然教授が車のキーを投げてきた。
「わっ!ちょ、ちょっと!いきなり投げないで下さいよ!」
慌てて両手でキーを受け取る。
「お?中々良い反射神経をしているじゃないか?」
キーを投げた格好のままで教授が満足気に笑う。
「ええ、それはまぁ…一応趣味ですがボクシングをやっていますので…と言うか、俺が運転するんですか?」
「ああ、そうだ。何だ?嫌なのか?」
「嫌というか…」
全く…こちらは過去に戻り、彩花の心不全死というショッキングな出来事で精神的に参っているのに…。
「いいですよ、運転しましょう。それじゃ教授は助手席に座って下さい。話の続きは車でします」
「そうだな」
俺と教授は車に乗り込んだ。
「それじゃ大学に戻りますよ?」
シートベルトをしめて、ハンドルを握った。
「ああ、いいぞ。出してくれ」
教授に促されると、俺はアクセルを踏み込んだ―。
きっと教授はこの神社で俺を待っているはずだ。すぐに戻って報告をして…どうすれば彩花の命を救えるのか検証しなければ。
「行こう…」
俺は鳥居をくぐり抜けた。
そうだ、絶望するにはまだ早い。俺は過去に戻れる。
何度だってやり直しが出来るのだから―。
****
霧が徐々に晴れていく…。
目の前の景色が鮮明になってくると、神社の前に教授が立っていることに気付いた。
「教授!」
「おっ?戻ったのか?上野!」
教授がこちらへやってきた。
「ええ、つい先程今の時代に戻ってきました」
俺の言葉に教授は首をひねる。
「う~ん…今戻ってきましたと言われてもな…俺にしてみれば1分ほどにしか満たない時間だから、全く実感が沸かんよ」
「え?そうなのですか?」
「ああ、上野。今回お前はあの世界にどれくらい滞在していたんだ?」
「…3時間程です…」
「何?それくらいしか滞在しなかったのか?一体何故…」
そこまで言いかけて教授は神妙な顔つきになった。
「…もしかして…南さんは…?」
「はい…彩花ですが…し、死んでいました…」
「何っ?!また…亡くなっていたのか。?一体死因は?!」
「今度の死は…心不全でした…」
声が思わず震えてしまう。
「心不全だって…?まさか南さんは心臓が悪かったのか?」
「いえ…恐らくそんな事は無かったとはずです」
「ふむ…そうか。とりあえず、大学の研究室に戻ろう。帰りの車の中でも話は出来るからな」
「分かりました」
そして俺と教授は連れ立って神社を後にした。
「上野、帰りはお前が運転してくれ」
シュッ!
突然教授が車のキーを投げてきた。
「わっ!ちょ、ちょっと!いきなり投げないで下さいよ!」
慌てて両手でキーを受け取る。
「お?中々良い反射神経をしているじゃないか?」
キーを投げた格好のままで教授が満足気に笑う。
「ええ、それはまぁ…一応趣味ですがボクシングをやっていますので…と言うか、俺が運転するんですか?」
「ああ、そうだ。何だ?嫌なのか?」
「嫌というか…」
全く…こちらは過去に戻り、彩花の心不全死というショッキングな出来事で精神的に参っているのに…。
「いいですよ、運転しましょう。それじゃ教授は助手席に座って下さい。話の続きは車でします」
「そうだな」
俺と教授は車に乗り込んだ。
「それじゃ大学に戻りますよ?」
シートベルトをしめて、ハンドルを握った。
「ああ、いいぞ。出してくれ」
教授に促されると、俺はアクセルを踏み込んだ―。
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