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2章 11 残酷な再会と発表
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私がようやく開放されたのは、それから2時間後のことだった。
クリフとリリスが町へ買い物に行くことに話が決まったからだ。
仲良さそうに腕を組んでガゼボを後にする2人を悲しい気分で見送り、涙をこらえながら後片付けをすると厨房へ戻った。
厨房へ戻ると、いつまで仕事もせずにサボっていたのだとメイド長から叱責を受け、この日は食事を貰うことが出来なかった――
――23時
「ふぅ……やっと……一日が終わったわ……」
2時間クリフとリリスの話の場に居合わせていたせいで洗濯の仕事が出来なかった私は、結局残業する羽目になってしまった。
「疲れたわ……」
明かりを消し、ベッドに倒れ込むように横になると今日の出来事を思い出した。
「リリス……とても綺麗になっていたわ……」
4ヶ月ぶりに再会したリリスは、以前にも増してとても美しくなっていた。
「それにしても……どうして今まで気付かなかったのかしら……」
まさかクリフがリリスの意見で、私をメイドとして雇用したなんて。
でも、考えてみればクリフはいつもリリスの意見を尊重していた。小さい子供の頃からずっと。
昨年、『ソルト』へ行くときのお土産だってリリスが決めたものを買ってきたほどなのだから。
「もう……リリスと婚約するのだから、クリフが私を気にかけてくれることは二度と無いでしょうね……」
2人でガゼボを後にした時、クリフは私を振り返ることもなく去って行った。
リリスの手を取り、彼女を優しげな眼差しで見つめながら……。
「クリフ……」
今まで、ほんの少しでも持っていた希望の糸がプツリと切れてしまった。
いつかクリフが私に救いの手を差し伸べてくれるのではないかと、愚かな夢を抱いていた。
それが今日、完全に眼の前で絶たれてしまったのだ。
「馬鹿ね……私ったら……クリフと私では……身分が違いすぎるのに……初めから期待なんてしてはいけなかったのに……」
もう夢も希望も何もかも失ってしまった。ここにいるのが辛い……。
だけど私には屋敷を出ても行き先が無い。
「お父様……ニコル……会いたいわ……」
お父様が生きていたら、今の私を見てどう思うだろう?
ニコルは幸せに暮らしているのだろうか……?
この夜、私は久しぶりに枕を涙で濡らしながら眠りに就いた――
****
――翌日、午前10時
バーデン家で働く使用人たち全員が本館の大ホールに集められていた。
この屋敷で働く使用人達はランク付けされており、地位が低い使用人は出入り禁止の場所がある。
その場所が、今集められている大ホールなのだ。
「一体私達に何の用事かしら……」
「俺たち下っ端の使用人たちまで、ここに呼ばれるなんて……」
当然地位が低い使用人たちは戸惑い、ヒソヒソと話をしている。
他の使用人たちは何故、自分たちが呼び集められているのか分かっていない。
でも私には想像がついていた。
恐らく、この場に全員が集められたのはクリフが婚約したことを報告する為なのだろう。
私は誰とも口をきく相手がいない。
そこで静かに待っていると、思った通りにクリフが両親と共に大ホールに現れた。
上品なスーツ姿に身を包んだクリフの隣には懐かしい彼の両親が立っている。
3人とも、この上ないくらいの笑顔を浮かべている。
「おじ様……おば様……お元気そうだわ……」
誰にも聞かれないように、口の中でそっと呟く。
こうやって2人に会うのは10年ぶり以上だ。
この屋敷でメイドとして働き始めて4ヶ月にもなるのに……。
子供の頃は良くこの屋敷に遊びに来て歓迎してもらっていたのに、今では遠い夢のように感じる。
おじ様は全員を見渡すと、案の定私の考え通りの内容を口にした。
クリフが、リリス・クレイマーと婚約したという話を。
集められた使用人たちは一斉に拍手をし、辺りはお祝いムードに包まれた。
笑顔で皆の拍手に応えるクリフと、両親。
もう、私は完全にあの人達と並んで立つ資格を失ってしまったのだということを感じずにはいられない。
今の私は……絶望的な気持ちで、その場に立っているのがやっとだった――
クリフとリリスが町へ買い物に行くことに話が決まったからだ。
仲良さそうに腕を組んでガゼボを後にする2人を悲しい気分で見送り、涙をこらえながら後片付けをすると厨房へ戻った。
厨房へ戻ると、いつまで仕事もせずにサボっていたのだとメイド長から叱責を受け、この日は食事を貰うことが出来なかった――
――23時
「ふぅ……やっと……一日が終わったわ……」
2時間クリフとリリスの話の場に居合わせていたせいで洗濯の仕事が出来なかった私は、結局残業する羽目になってしまった。
「疲れたわ……」
明かりを消し、ベッドに倒れ込むように横になると今日の出来事を思い出した。
「リリス……とても綺麗になっていたわ……」
4ヶ月ぶりに再会したリリスは、以前にも増してとても美しくなっていた。
「それにしても……どうして今まで気付かなかったのかしら……」
まさかクリフがリリスの意見で、私をメイドとして雇用したなんて。
でも、考えてみればクリフはいつもリリスの意見を尊重していた。小さい子供の頃からずっと。
昨年、『ソルト』へ行くときのお土産だってリリスが決めたものを買ってきたほどなのだから。
「もう……リリスと婚約するのだから、クリフが私を気にかけてくれることは二度と無いでしょうね……」
2人でガゼボを後にした時、クリフは私を振り返ることもなく去って行った。
リリスの手を取り、彼女を優しげな眼差しで見つめながら……。
「クリフ……」
今まで、ほんの少しでも持っていた希望の糸がプツリと切れてしまった。
いつかクリフが私に救いの手を差し伸べてくれるのではないかと、愚かな夢を抱いていた。
それが今日、完全に眼の前で絶たれてしまったのだ。
「馬鹿ね……私ったら……クリフと私では……身分が違いすぎるのに……初めから期待なんてしてはいけなかったのに……」
もう夢も希望も何もかも失ってしまった。ここにいるのが辛い……。
だけど私には屋敷を出ても行き先が無い。
「お父様……ニコル……会いたいわ……」
お父様が生きていたら、今の私を見てどう思うだろう?
ニコルは幸せに暮らしているのだろうか……?
この夜、私は久しぶりに枕を涙で濡らしながら眠りに就いた――
****
――翌日、午前10時
バーデン家で働く使用人たち全員が本館の大ホールに集められていた。
この屋敷で働く使用人達はランク付けされており、地位が低い使用人は出入り禁止の場所がある。
その場所が、今集められている大ホールなのだ。
「一体私達に何の用事かしら……」
「俺たち下っ端の使用人たちまで、ここに呼ばれるなんて……」
当然地位が低い使用人たちは戸惑い、ヒソヒソと話をしている。
他の使用人たちは何故、自分たちが呼び集められているのか分かっていない。
でも私には想像がついていた。
恐らく、この場に全員が集められたのはクリフが婚約したことを報告する為なのだろう。
私は誰とも口をきく相手がいない。
そこで静かに待っていると、思った通りにクリフが両親と共に大ホールに現れた。
上品なスーツ姿に身を包んだクリフの隣には懐かしい彼の両親が立っている。
3人とも、この上ないくらいの笑顔を浮かべている。
「おじ様……おば様……お元気そうだわ……」
誰にも聞かれないように、口の中でそっと呟く。
こうやって2人に会うのは10年ぶり以上だ。
この屋敷でメイドとして働き始めて4ヶ月にもなるのに……。
子供の頃は良くこの屋敷に遊びに来て歓迎してもらっていたのに、今では遠い夢のように感じる。
おじ様は全員を見渡すと、案の定私の考え通りの内容を口にした。
クリフが、リリス・クレイマーと婚約したという話を。
集められた使用人たちは一斉に拍手をし、辺りはお祝いムードに包まれた。
笑顔で皆の拍手に応えるクリフと、両親。
もう、私は完全にあの人達と並んで立つ資格を失ってしまったのだということを感じずにはいられない。
今の私は……絶望的な気持ちで、その場に立っているのがやっとだった――
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