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17 揉め事
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「……こうして、お姫様は、王子様と幸せに暮らしました……お終い。どう? アデル、面白かった?」
絵本を読み終えると、アデルに尋ねた。
「うん! 面白かった。お姫様、王子様と結婚したんだね」
「ええ、そうね。ずっと幸せに暮らせるわ」
「ふ~ん……お姉ちゃんはお兄ちゃんと結婚するの?」
「え!?」
一体、アデルは何を言い出すのだろう?
「お姉ちゃんがお兄ちゃんのお嫁さんになってくれたらいいのにな~」
そしてアデルはにっこり笑う。
「まさか、それは無いわ。アドニス様の結婚相手の女性は、この絵本に出てくるようなお姫様がお相手になるのよ?」
そう……例えば、ビアンカ様の様に華やかな女性がお似合いだろう。
「お姉ちゃんじゃないの?」
「ええ、そうね」
「それじゃ、別の人と結婚するの? ここを出ていっちゃうの……?」
アデルが悲しげな顔を見せる。
「大丈夫。何処にも行かない。ずっとアデルのそばにいるわ」
「本当?」
「ええ、本当」
先のことはどうなるか分からない。けれど、幼いアデルを悲しませたくはなかった。
そのとき――
『何よ! 私の選んだ部屋が気に入らないって言うの!? 折角、私が全て指示して模様替えをさせたっていうのに!』
ヒステリックに叫ぶ女性の声が聞こえた。
「あ、あの声は……!」
「な、何?」
アデルが怯えた様子で私にしがみついてきた。
『お願いです! どうかおやめ下さい! ビアンカ様!』
「あの声はサラだわ!」
サラが必死でビアンカに訴えているのだ。
「アデル、ここで待っていてくれる? 様子を見てくるから」
「一人はいや! 怖いよ!」
私の言葉に首を振る。
「アデル……」
アデルを1人にはさせられない。かと言って、今も外ではビアンカとサラが揉めている声が聞こえてくる。
このままではサラが……!
「分かったわ、アデル。一緒に様子を見に行きましょう? でも絶対に離れないで私の後ろにいるのよ? いい?」
「……うん」
怯えながらもコクリと頷くアデル。
「それじゃ、行くわよ。アデル」
私は小さなアデルの手をしっかり握りしめると、廊下へ向かった。
「お前たち! 作業の手を止めなさい! 誰がこんな内装業者を呼んだのよ! さっさと出ていきなさいよ!」
廊下に出ると、ビアンカ様がイライラした様子で作業員と思しき男性たちを怒鳴りつけている。
怒鳴られている作業員の人たちは戸惑った顔を浮かべている。
「お願いです! おやめ下さい! アデル様のお部屋を模様替えするるためにこちらの方々を呼んだのはベネット様なんです!
ヒステリックに叫んでいるビアンカ様を止めようとしていた。
「何ですって!? ベネットが呼んだっていうの!? 一体誰の命令よ!」
「命じたのはアドニス様です。けれど、アデルのお部屋の模様替えを頼んだのは私です」
「お姉ちゃん……」
アデルが驚いたように私を見上げる。私は黙って笑顔を向けると、再びビアンカ様を見つめた。
「な、なんですって……? たかがシッターのくせに、私が折角用意した部屋にケチをつけたっていうの?」
「ケチをつけたわけではありません。ただ、アデルは水色のほうが好きなのです。なので、変更して頂けないか私からアドニス様にお願いしました」
「そう……。つまり、こんなことになったのは、あんたのせいなのね?」
ビアンカ様が私を睨みつけてきた。以前の私なら、口答えせずにただ震えていただけだろう。
だけど、アデルを守らなければ。
私達のやり取りを、全員が黙って見ている。そのとき、サラと視線があった。
驚いたことにサラは結んでいた髪がほどけて、ボサボサになっている。
まさか、ビアンカ様に何かされたのでは……?
「ちょっと無視するんじゃないわよ! 本当に生意気なシッターね! 私はその子の為を思って、お部屋を用意してあげたのよ! アドニス様に気に入られているからって、調子に乗るんじゃないわよ!」
ビアンカ様が手をあげそうになったそのとき――
絵本を読み終えると、アデルに尋ねた。
「うん! 面白かった。お姫様、王子様と結婚したんだね」
「ええ、そうね。ずっと幸せに暮らせるわ」
「ふ~ん……お姉ちゃんはお兄ちゃんと結婚するの?」
「え!?」
一体、アデルは何を言い出すのだろう?
「お姉ちゃんがお兄ちゃんのお嫁さんになってくれたらいいのにな~」
そしてアデルはにっこり笑う。
「まさか、それは無いわ。アドニス様の結婚相手の女性は、この絵本に出てくるようなお姫様がお相手になるのよ?」
そう……例えば、ビアンカ様の様に華やかな女性がお似合いだろう。
「お姉ちゃんじゃないの?」
「ええ、そうね」
「それじゃ、別の人と結婚するの? ここを出ていっちゃうの……?」
アデルが悲しげな顔を見せる。
「大丈夫。何処にも行かない。ずっとアデルのそばにいるわ」
「本当?」
「ええ、本当」
先のことはどうなるか分からない。けれど、幼いアデルを悲しませたくはなかった。
そのとき――
『何よ! 私の選んだ部屋が気に入らないって言うの!? 折角、私が全て指示して模様替えをさせたっていうのに!』
ヒステリックに叫ぶ女性の声が聞こえた。
「あ、あの声は……!」
「な、何?」
アデルが怯えた様子で私にしがみついてきた。
『お願いです! どうかおやめ下さい! ビアンカ様!』
「あの声はサラだわ!」
サラが必死でビアンカに訴えているのだ。
「アデル、ここで待っていてくれる? 様子を見てくるから」
「一人はいや! 怖いよ!」
私の言葉に首を振る。
「アデル……」
アデルを1人にはさせられない。かと言って、今も外ではビアンカとサラが揉めている声が聞こえてくる。
このままではサラが……!
「分かったわ、アデル。一緒に様子を見に行きましょう? でも絶対に離れないで私の後ろにいるのよ? いい?」
「……うん」
怯えながらもコクリと頷くアデル。
「それじゃ、行くわよ。アデル」
私は小さなアデルの手をしっかり握りしめると、廊下へ向かった。
「お前たち! 作業の手を止めなさい! 誰がこんな内装業者を呼んだのよ! さっさと出ていきなさいよ!」
廊下に出ると、ビアンカ様がイライラした様子で作業員と思しき男性たちを怒鳴りつけている。
怒鳴られている作業員の人たちは戸惑った顔を浮かべている。
「お願いです! おやめ下さい! アデル様のお部屋を模様替えするるためにこちらの方々を呼んだのはベネット様なんです!
ヒステリックに叫んでいるビアンカ様を止めようとしていた。
「何ですって!? ベネットが呼んだっていうの!? 一体誰の命令よ!」
「命じたのはアドニス様です。けれど、アデルのお部屋の模様替えを頼んだのは私です」
「お姉ちゃん……」
アデルが驚いたように私を見上げる。私は黙って笑顔を向けると、再びビアンカ様を見つめた。
「な、なんですって……? たかがシッターのくせに、私が折角用意した部屋にケチをつけたっていうの?」
「ケチをつけたわけではありません。ただ、アデルは水色のほうが好きなのです。なので、変更して頂けないか私からアドニス様にお願いしました」
「そう……。つまり、こんなことになったのは、あんたのせいなのね?」
ビアンカ様が私を睨みつけてきた。以前の私なら、口答えせずにただ震えていただけだろう。
だけど、アデルを守らなければ。
私達のやり取りを、全員が黙って見ている。そのとき、サラと視線があった。
驚いたことにサラは結んでいた髪がほどけて、ボサボサになっている。
まさか、ビアンカ様に何かされたのでは……?
「ちょっと無視するんじゃないわよ! 本当に生意気なシッターね! 私はその子の為を思って、お部屋を用意してあげたのよ! アドニス様に気に入られているからって、調子に乗るんじゃないわよ!」
ビアンカ様が手をあげそうになったそのとき――
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