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11 リリス 2
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リリスの様子がおかしい。
肩で激しく息をし、身体は小刻みに震えている。
「リリス様、大丈夫ですか?」
「私のことを…‥心配してくれるのね……?」
リリスは顔をこちらに向けた。
「そ、それは勿論です」
「そう? 心配してくれているのなら……勝手に私の前からいなくならないでちょうだい。フローネさえ側にいてくれれば私は何もいらないのだから」
怖い。
リリスの目は狂気に満ちていた。本当にリリスは私のことを……?
言葉を無くす私を前に、リリスはまるで独り言のように話を続ける。
「フローネは男なんか好きになってはいけないわ。他に友人を作ることだって許さない。フローネには私だけいればいいのよ。だから周りから孤立させるようにしたのに……それなのに、私と言う者がありながらクリフを好きになるなんて……許せるはずないでしょう!?」
再びリリスは叫んだ。
「だから、クリフにバーデン家のメイドとしてフローネを雇ってもらうように頼んだのよ。あてつける為に好きでも何でもないクリフと結婚したのよ! 私がこんなことをしたのは……全てはフローネ、あなたのせいよ! あなたを傷つけて私に依存させるために、いやいやクリフに近付いた私の気持ちが分かるの!?」
「そんな……私のせいだなんて……!」
リリスに理不尽な怒りをぶつけられ、どうすれば良いのか分からない。それ以前に、リリスが好きな相手が私だったと言う事実は、あまりに衝撃的だった。
「そうよ。私の思いに気付かない、フローネがいけないのよ。だから、私は今もこんなに苦労しているのだから……」
リリスの美しい顔が苦しそうに歪む。苦労だなんて……何もかも恵まれた環境で暮らしているのに、どんな苦労があるというのだろう?
「私の何処が苦労しているのだと言いたげな顔をしているわね?」
「は、はい……」
恐る恐る頷くと、リリスはクスクスと笑ってソファに座った。
「結婚した限りは、義務が生じるでしょう?」
「義務……?」
「ええ、そうよ。夫婦生活という義務がね」
「あ……」
もしかして、リリスは……?
「新婚旅行先では、月の物が来ているからと言ってずっと断ってきたわ。新婚旅行から戻れば、クリフは寮生活に入るから離れ離れになれるし」
「ま、まさか……あの日、私を寝室に招いたのは……?」
「そうよ、クリフと夫婦の営みをしたくなかったからフローネを部屋に招き入れたに決まっているでしょう! フローネに私をクリフから守って貰いたかったのよ! もう……あんな恐ろしい目には二度とあいたくないのよ!」
リリスの顔が一瞬泣いているように見えた。その表情に、何故か私は何か肝心なことを忘れていたような気持ちになってくる。
「リリス……恐ろしい目って一体何のこと?」
自分でも気づかないうちに、言葉遣いが以前に戻っていた。
「覚えている? 10年前に私が行方不明になった事件があったこと」
「あ……」
そうだ、思い出した。
まだ私たちが子供だった頃、学校帰りにリリスが行方不明になった事件があった。
リリスは丸1日行方が分からなくなってしまったが、翌日馬小屋で発見された。
誘拐した人物はリリスを迎えに行った御者だった。
御者は自分の家にリリスを監禁し……翌日、彼女をクレイマー家が所有する馬小屋で発見したのだったが‥‥‥。
「ま、まさか……リリス……?」
「ええ、そうよ……私は、その男に汚されたのよ? まだ10歳だったのに…‥‥何度も、何度も……す、すごく怖くて……辛くて……」
そして、リリスは目に大粒の涙を浮かべた――
肩で激しく息をし、身体は小刻みに震えている。
「リリス様、大丈夫ですか?」
「私のことを…‥心配してくれるのね……?」
リリスは顔をこちらに向けた。
「そ、それは勿論です」
「そう? 心配してくれているのなら……勝手に私の前からいなくならないでちょうだい。フローネさえ側にいてくれれば私は何もいらないのだから」
怖い。
リリスの目は狂気に満ちていた。本当にリリスは私のことを……?
言葉を無くす私を前に、リリスはまるで独り言のように話を続ける。
「フローネは男なんか好きになってはいけないわ。他に友人を作ることだって許さない。フローネには私だけいればいいのよ。だから周りから孤立させるようにしたのに……それなのに、私と言う者がありながらクリフを好きになるなんて……許せるはずないでしょう!?」
再びリリスは叫んだ。
「だから、クリフにバーデン家のメイドとしてフローネを雇ってもらうように頼んだのよ。あてつける為に好きでも何でもないクリフと結婚したのよ! 私がこんなことをしたのは……全てはフローネ、あなたのせいよ! あなたを傷つけて私に依存させるために、いやいやクリフに近付いた私の気持ちが分かるの!?」
「そんな……私のせいだなんて……!」
リリスに理不尽な怒りをぶつけられ、どうすれば良いのか分からない。それ以前に、リリスが好きな相手が私だったと言う事実は、あまりに衝撃的だった。
「そうよ。私の思いに気付かない、フローネがいけないのよ。だから、私は今もこんなに苦労しているのだから……」
リリスの美しい顔が苦しそうに歪む。苦労だなんて……何もかも恵まれた環境で暮らしているのに、どんな苦労があるというのだろう?
「私の何処が苦労しているのだと言いたげな顔をしているわね?」
「は、はい……」
恐る恐る頷くと、リリスはクスクスと笑ってソファに座った。
「結婚した限りは、義務が生じるでしょう?」
「義務……?」
「ええ、そうよ。夫婦生活という義務がね」
「あ……」
もしかして、リリスは……?
「新婚旅行先では、月の物が来ているからと言ってずっと断ってきたわ。新婚旅行から戻れば、クリフは寮生活に入るから離れ離れになれるし」
「ま、まさか……あの日、私を寝室に招いたのは……?」
「そうよ、クリフと夫婦の営みをしたくなかったからフローネを部屋に招き入れたに決まっているでしょう! フローネに私をクリフから守って貰いたかったのよ! もう……あんな恐ろしい目には二度とあいたくないのよ!」
リリスの顔が一瞬泣いているように見えた。その表情に、何故か私は何か肝心なことを忘れていたような気持ちになってくる。
「リリス……恐ろしい目って一体何のこと?」
自分でも気づかないうちに、言葉遣いが以前に戻っていた。
「覚えている? 10年前に私が行方不明になった事件があったこと」
「あ……」
そうだ、思い出した。
まだ私たちが子供だった頃、学校帰りにリリスが行方不明になった事件があった。
リリスは丸1日行方が分からなくなってしまったが、翌日馬小屋で発見された。
誘拐した人物はリリスを迎えに行った御者だった。
御者は自分の家にリリスを監禁し……翌日、彼女をクレイマー家が所有する馬小屋で発見したのだったが‥‥‥。
「ま、まさか……リリス……?」
「ええ、そうよ……私は、その男に汚されたのよ? まだ10歳だったのに…‥‥何度も、何度も……す、すごく怖くて……辛くて……」
そして、リリスは目に大粒の涙を浮かべた――
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