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17 アドニスの告白 1
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――コンコン
アドニス様の書斎に来ると、扉をノックした。
『はい』
中からアドニス様の返事が聞こえた。
「アドニス様、フローネです。少しお時間よろしいでしょうか?」
『フローネ?』
驚きの声が聞こえ、直ぐに扉が開かれてアドニス様が現れた。
「アドニス様、お話したいことがあるのですが……お忙しいでしょうか?」
「勿論。中へ入ってくれ」
「ありがとうございます」
「俺もフローネとは話したいことがあったんだよ。だけど、リリスが一緒だったから遠慮していたんだ。訪ねてきてくれて良かったよ」
ソファに座ると、早速アドニス様が話しかけてきた。
「リリスは今、アデルと一緒に眠っています」
「そうか……。でも眠れたなら良かった」
「はい。リリスを今夜預かって頂き、本当にありがとうございます」
「彼女の実家は『マリ』のクレイマー伯爵家なんだろう? クリフから聞いたよ」
「クリフからですか……」
私は、改めてクリフのことを思い出し……ポツリと口にした。
「小さい頃から、私とリリスは幼馴染同士で……本当に彼は優しい人だと思っていたのです。だけど今日彼の本当の姿を改めて知りました。あんなに残酷な人だったのですね。ひょっとすると、リリスはクリフの本性に気付いていたのかもしれません」
そうだ。
だからリリスは私がクリフを諦めるように……男の人が怖くてたまらないのに、結婚したのかもしれない。
「……俺もそう思うよ」
アドニス様は静かに頷く。そこでふと疑問に思った。
「そう言えば、どうしてアドニス様は私の居場所が分かったのですか?」
「ああ、それか……実は、君があの席からいなくなるところを他の客たちが見ていたんだよ。貴族のような身なりの女性が現れて、フローネがひどく怯えていたって。それで、もしかすると攫われたのではないかと思ったんだよ」
「そうだったのですか」
「悪いとは思ったが、君の部屋に入らせてもらった。それで君の弟の手紙を見つけたんだ。そこにバーデン家がフローネを探していると書かれていたのをみつけた。俺は彼と同じ大学にいたから、名前だけは聞いたことがあってね。そこで、港に連絡を入れて、ここ最近の乗船客の名簿にバーデン家が乗っていなかったか確認したんだよ。そしたら……」
「名簿に載っていたのですね?」
私の言葉に頷くアドニス様。
「そうだ、そこでバーデン家が所有する別荘が無いか、あちこちの不動産会社に問い合わせして、場所を突き止めることができたんだよ」
「そんなに苦労されたのですか?」
まさか、アドニス様がそこまで奔走してくれたなんて思いもしなかった。
「ラインハルト家はこの土地の領主だから、誰もが協力的だったよ。それでも、見つけ出すの3時間近くもかかってしまった……もっと早く見つけ出せていれば、クリフに暴力を振るわれることも、リリスが襲われることも無かったはずなのに……済まなかった。フローネ……」
そしてアドニス様は頭を下げてきた。
「そ、そんな! 何をおっしゃっているのですか? アドニス様は何も悪くありません。それどころか、こんなに早く見つけ出してくださったなんて……感謝いたします。アドニス様が来てくださらなければ私はまだ監禁されたままでしたし、リリスは……また同じ目に会わされていたかもしれません」
私はギュッと自分の手を握りしめた。
リリス……どんなに恐怖だっただろう。辛かっただろう。きっと激しく泣いて止めてと懇願したことだろう。
それなのにクリフは無理やりリリスを奪い……壊してしまった。
「私は……クリフを許すわけにはいきません。リリスをあんな酷い目に遭わせるなんて……」
「大丈夫だ。クリフは、俺が責任を持って処罰する。ラインハルト家の管理下で狼藉を働いたんだ。それ相応の罰を与えから任せてくれ。大体、君にだって暴力をふるった男を俺は許すつもりはない」
アドニス様のその言葉で思い出した。
「アドニス様、私のためにクリフに嘘までつかせてしまって、申し訳ありませんでした」
「嘘……?」
何のことか分からないと言った様子でアドニス様は首を傾げる。
「はい、私のことを『婚約者』だと嘘をついたことです。私もつい、その嘘に乗せていただきました。私ごとにアドニス様を巻き込んでしまい、ご迷惑をおかけしてしまいました」
私は改めて謝罪した。
「……別に、嘘をついたわけではないんだけどな」
ポツリと呟くアドニス様。
「え? あの、それは一体どういうことでしょうか?」
「そうだな、順番が前後してしまったけど……今、言わせてくれ」
アドニス様は姿勢を正すと、思いもしなかった言葉を口にした。
「俺は君が好きだ。いや……好きという言葉では片付けられないな。フローネ、愛している。ずっと……俺のそばにいてくれないか?」
アドニス様はまっすぐ私の目を見つめてきた――
アドニス様の書斎に来ると、扉をノックした。
『はい』
中からアドニス様の返事が聞こえた。
「アドニス様、フローネです。少しお時間よろしいでしょうか?」
『フローネ?』
驚きの声が聞こえ、直ぐに扉が開かれてアドニス様が現れた。
「アドニス様、お話したいことがあるのですが……お忙しいでしょうか?」
「勿論。中へ入ってくれ」
「ありがとうございます」
「俺もフローネとは話したいことがあったんだよ。だけど、リリスが一緒だったから遠慮していたんだ。訪ねてきてくれて良かったよ」
ソファに座ると、早速アドニス様が話しかけてきた。
「リリスは今、アデルと一緒に眠っています」
「そうか……。でも眠れたなら良かった」
「はい。リリスを今夜預かって頂き、本当にありがとうございます」
「彼女の実家は『マリ』のクレイマー伯爵家なんだろう? クリフから聞いたよ」
「クリフからですか……」
私は、改めてクリフのことを思い出し……ポツリと口にした。
「小さい頃から、私とリリスは幼馴染同士で……本当に彼は優しい人だと思っていたのです。だけど今日彼の本当の姿を改めて知りました。あんなに残酷な人だったのですね。ひょっとすると、リリスはクリフの本性に気付いていたのかもしれません」
そうだ。
だからリリスは私がクリフを諦めるように……男の人が怖くてたまらないのに、結婚したのかもしれない。
「……俺もそう思うよ」
アドニス様は静かに頷く。そこでふと疑問に思った。
「そう言えば、どうしてアドニス様は私の居場所が分かったのですか?」
「ああ、それか……実は、君があの席からいなくなるところを他の客たちが見ていたんだよ。貴族のような身なりの女性が現れて、フローネがひどく怯えていたって。それで、もしかすると攫われたのではないかと思ったんだよ」
「そうだったのですか」
「悪いとは思ったが、君の部屋に入らせてもらった。それで君の弟の手紙を見つけたんだ。そこにバーデン家がフローネを探していると書かれていたのをみつけた。俺は彼と同じ大学にいたから、名前だけは聞いたことがあってね。そこで、港に連絡を入れて、ここ最近の乗船客の名簿にバーデン家が乗っていなかったか確認したんだよ。そしたら……」
「名簿に載っていたのですね?」
私の言葉に頷くアドニス様。
「そうだ、そこでバーデン家が所有する別荘が無いか、あちこちの不動産会社に問い合わせして、場所を突き止めることができたんだよ」
「そんなに苦労されたのですか?」
まさか、アドニス様がそこまで奔走してくれたなんて思いもしなかった。
「ラインハルト家はこの土地の領主だから、誰もが協力的だったよ。それでも、見つけ出すの3時間近くもかかってしまった……もっと早く見つけ出せていれば、クリフに暴力を振るわれることも、リリスが襲われることも無かったはずなのに……済まなかった。フローネ……」
そしてアドニス様は頭を下げてきた。
「そ、そんな! 何をおっしゃっているのですか? アドニス様は何も悪くありません。それどころか、こんなに早く見つけ出してくださったなんて……感謝いたします。アドニス様が来てくださらなければ私はまだ監禁されたままでしたし、リリスは……また同じ目に会わされていたかもしれません」
私はギュッと自分の手を握りしめた。
リリス……どんなに恐怖だっただろう。辛かっただろう。きっと激しく泣いて止めてと懇願したことだろう。
それなのにクリフは無理やりリリスを奪い……壊してしまった。
「私は……クリフを許すわけにはいきません。リリスをあんな酷い目に遭わせるなんて……」
「大丈夫だ。クリフは、俺が責任を持って処罰する。ラインハルト家の管理下で狼藉を働いたんだ。それ相応の罰を与えから任せてくれ。大体、君にだって暴力をふるった男を俺は許すつもりはない」
アドニス様のその言葉で思い出した。
「アドニス様、私のためにクリフに嘘までつかせてしまって、申し訳ありませんでした」
「嘘……?」
何のことか分からないと言った様子でアドニス様は首を傾げる。
「はい、私のことを『婚約者』だと嘘をついたことです。私もつい、その嘘に乗せていただきました。私ごとにアドニス様を巻き込んでしまい、ご迷惑をおかけしてしまいました」
私は改めて謝罪した。
「……別に、嘘をついたわけではないんだけどな」
ポツリと呟くアドニス様。
「え? あの、それは一体どういうことでしょうか?」
「そうだな、順番が前後してしまったけど……今、言わせてくれ」
アドニス様は姿勢を正すと、思いもしなかった言葉を口にした。
「俺は君が好きだ。いや……好きという言葉では片付けられないな。フローネ、愛している。ずっと……俺のそばにいてくれないか?」
アドニス様はまっすぐ私の目を見つめてきた――
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