アゲノルの挑発

霧饅苺香

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約束

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 パリスはイデ山で牛の世話をしていた。パリスは羊飼いの家で育った。
 天気のいい日。
 山の娘イリスがパリスに尋ねた。
「ねぇパリス? 裕福な国の支配者になりたくはない?」
「支配者・・・・・・。難しいことと面倒なのは嫌だよ。」
「知恵者になって世界を支えるのはどう?」
「英雄のことか?・・・・・あはは!」
「地上で一番美しいプロポーションと顔と心を持つ姫君と結ばれたくはない?」
 パリスは真剣な顔で、「結婚したい!」と答えた。
 
 パリスは捨て子だった。
 羊飼いの夫婦が赤ん坊のパリスを山で拾い家に連れて帰り育てたのだ。
 パリスの畜産能力はずば抜けて高かった。家畜の致死率が低いのだ。

 月がとてもきれいな夜の出来事。
 権力の女神ヘラ、知恵の女神アテナイ、美しの女神アフロディテが
 オーラを身にまとい現れた。
 虹の女神イリスがパリスに
「強くたくましい女神のなかで一番美しいのは誰?
 美しい女神をあなたが選んで・・・・・・。」
 パリスは突然のことで驚きはしたものの……冷静だった。
 アフロディテの手を取って、「あなたが一番美しいです。」と答えた。
 艶めく長い髪、スラリと伸びた手脚、真珠のような肌・・・・・・。
 美しさを司る女神が一番美しいのは当然のことである。
「パリス、女神よりも美しい妻を貴方に贈ります。」
 アフロディテはパリスに約束をした。


「パリス、大変だ。一番かわいがっていた牛が連れていかれた・・・・・・。」
「!」
「父さん。どこに連れていかれたのか?」
「プリアモス王主催の武闘大会の賞品にされてしまうらしい・・・・・・。」
「武闘大会で勝てばいいのか?」
「優勝して取り返すよ。」
 
 パリスは王都に行く決心をした。

 王都につくと武闘大会の申し込みをした。
 酒場に情報収集にいくとやはり武闘大会の噂で賑わっていた。
「今回の武闘大会の賞品は豪快で……豪華らしいぞ!」
「ヘクトル王子が出場するらしい。」
 パリスは牛のことが気になってしょうがない。
「君も出場するのか?」
「もちろん。俺はパリス。あなたは?」
「キティラ島から旅できたが、
 面白そうなので死なない程度に出場することにしたのだ。」
 そして旅の男と家畜や葡萄酒、オリーブオイル、武闘大会、武芸の話を
 葡萄酒が尽きるまでした。
 
 パリスのお牛への執着は凄まじく決勝まで残った。
 プリアモス王第一王子ヘクトルと対戦することになった。
 まれにみる熱戦だった。
 結果はパリスの勝利だった。
 決勝にはプリアモス王、ヘカベ王妃、カサンドラ王女・・・・王族が観戦していた。
 予言姫カサンドラが気が付いた。
「父上、母上、優勝した羊飼いは兄です。
 ヘクトルお兄様の他にもお兄様がいる・・・・・・。」
「カサンドラ・・・・・・。」

 パリスは牛を取り返すことに成功した。
 金や銀もたくさんもらえて満足してイデ山に帰還した。








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