悪魔との100日ー淫獄の果てにー

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26日目―蛍の平日、梓の平日2―

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 手足の拘束は外されていた。
「ああああっ! も、だすけ、……で、……っ! っく、あああ! ま、たあ」
 意味もなく部屋の隅っこに寄って、蛍は横たえさせた体を力なく動かす。 
 どれだけやっても意味がないとわかっていながらも。
 両の手はそれぞれ陰部と胸に押し当てられていて、必死に快楽を得ようと蠢いていた。
 ぐい、とスーツを押し込んだタイミングで振動を与えられ、蛍は魚のように激しく体を震わせた。
「あ、あああっ! あ、うああっ⁉ なんで、なんでよぉ! もう、許して、無理だから、イかせて、イかせてぇ………っ!」
 果てを極める直前で刺激が止まり、体の中で荒れ狂う欲が蛍を焼く。
 そして、急に動いたせいで、別の我慢も限界を超えた。
「あ、あんっ、んんん……」
 スーツの中を満たすように、尿を漏らす蛍。
 開発されきった体はそれだけで絶頂を迎えそうになるが、企画者の悪魔は周到だった。
「あがっ⁉ あががががあっ!」
 バチバチっ! と快楽とは程遠い大電圧が梓にかかる。
 痛みで強制的に絶頂を取り上げられた蛍は、足首からたらたらと尿と潮の混じった液を垂れ流して泣き叫ぶ。
「いだい、痛いの嫌だ! もう助けてよ、なんでこんなことするのよっ! なんでこんな目に遭わないといけないのよぉっ! も、あん、また……くはあああっ! あ、うぁ………イ、……けないぃぃぃっ!」
 そして、正午になって、部屋に鈴の音が響く。
 四肢が自由な蛍は、しかし心を縛られて、中央にずりずりと這っていく。
 時間内に所定の体勢を取らないと、また電圧責めにかけられるからだ。
 部屋の中央に突き出ている、一本の金属製の機材。
「………く、ぅぅ」
 それに尻を向けて、猫のように四つん這いになる。
 すると、背後から嫌な駆動音が聞こえて、蛍の肛門にチューブが突き刺さった。
「あはあっ! っぐああああっ! あ、っく、はあ!」
 肛門を抉られ、その刺激で絶頂を迎えそうになり、結局電撃を喰らう蛍。
 刺激は与えられないぐらいに、ただし補給だけはできるようにスーツに開けられた穴から、最低限の栄養が注入される。
「っく、あぅ、あ、ああ、あはあっ、……う、ぅん、っふ、ぁ」
 四つん這いになり、首を垂れて、肛門に管を入れられ、家畜のように管理され。
「あ、あああああっ! あぐっ! っく、ああああああっ!」
 管を抜かれるとき、窄まった襞を撫でられる刺激に再び果てそうになって、蛍はかくかくと腰を震わせて、べしゃりと突っ伏す。
 糸の切れた人形のように、ごろりと仰向けになると、天井のモニターが目に入った。
『経過日数:26/100』『機械停止:100/100』
「100たまってるんだから、振動、止めなさいよ……くはああああああああっ!」
 イけないとわかっていても、刺激に喘ぎ声を上げて悶える。
 ピッタリと張り付いたラバースーツに、くびれた腰や引き締まった太腿、少し膨らんだ秘丘を浮かび上がらせて、蛍は電流と振動に狂い、蛍は泣き笑いのような表情を作る。
―――次に梓が来る日まで、私は耐えられるのかなあ……。
「あ、ああああああっ! イ……、イかせ、て……っ」
 片手で顔を覆って、体だけ別の生き物のようにがくがくと震わせて、蛍は叫ぶ。
 もう片方の手で、いつまでも秘部を擦り続けながら。

■■■

「不感剤、朝昼晩一錠の30日分で、45万円になります」
「やっぱり高すぎるよねぇこれ……。作ったの私なんだけど」
「私に言われましても……」
 のっぺりとした仮面で顔全体を覆っている茶髪の女性に困ったように言われ、梓は「まあ君に言ってもしょうがないんだけどさ」とため息をつく。
 研究所内の自室前。
 定期便よろしく依頼している薬を受け取って、梓は現金で料金を払った。
「そういえば、いつもの配達の人じゃないよね、君。名前は?」
「はい。今月から私の担当になったみたいで。名前は勘弁してください」
「あー。まあそうだよね」
 素性を隠せるぐらいの下部なら、隠しておいたほうが良い。
 適当にお礼を言って部屋に戻り、モニターを眺める。
 壊れたような表情でこちらを見上げ、一心不乱に股間をまさぐる蛍が映っていた。
「あはは。鎖で自分の首を絞め出したから野放しにしたけど、元気そうでよかった」
 不感剤は使ってしまっているし、焦らされきった今の蛍なら梓でも完封できるだろう。
 もうすぐ薬の効果が切れるころで。
 梓は新しい薬を用意して、ためらいなく服を脱ぐ。
 全裸に白衣だけ羽織って椅子に座り、すー、と陰唇をなぞった。
「……んっ! ああっ」
 自らの手で与えた刺激に反応して、一瞬で体が熱くなる。
 白衣の衣擦れですらゾクゾクとした快感に代わり、椅子に愛液が染み込んでいく。
「あ、ははっ……。ほたるちゃん、そうやって、触るの好きなんだね、あんっ!」
 画面の向こうで蛍がしているように、陰核をぐりぐりと押して、梓はきゅっと太ももに力を入れた。
―――終わったら、ここで飼ってあげるからね。
 寝室に繋いで、アラーム代わりに快楽責めにしても良い。
 両腕両足を畳んで縛って、犬みたいにしてから梓の股間を舐めさせても良い。
 たまには薬を与えて、ゆっくりお話しするのも楽しそうだ。
「もっと根性があったら、っは、助手にしても良かったのだけど……あ、っくう!」
 想像のせいか、目の前で悶える蛍の映像のせいか。
 体の火照りが限界だった。
 くちゅくちゅと淫液をかき回して、梓は机に額を乗せて、体を縮こめる。
 最後にそっと、Gスポットを指で押した。
「っくあ、ああっ! イーー~~~っ! ……っく、イくイくっ!」
 ぎしぎし、と椅子を軋ませて、染みついてしまった癖で絶頂を宣言しながら、梓は熱い息を吐く。
 そして。
「あ、っ……、またっ、あああっ! あ、っく、はあっ! うあっ! ……んっ!」
 果てを極めた体はタガを外れ、完全に以前の感度に戻った。
 白衣が太ももを撫でて1回。
 薬を取ろうとしたときに手首が机に擦れて1回。
 さらに絶頂で震える手を内腿に当ててしまい、さらに1回。
 三度の余分な絶頂を迎えながら薬を嚙み、飲む。
「………次から白衣も脱がないとダメか」
 ちょっと、いやかなり恥ずかしいけど。
 ぐっしょりと濡れてしまった白衣と椅子を見て、梓はあはは、と苦笑いした。
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