平民で貧乏な家を追い出されたので王女になって見返してやる!

しらす

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家、追い出されました

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今日も一人、薄い布団とも言えないただの布をかけて硬い床で寝ていた。
寒い。そんな気持ちさえも消えてしまった。

いつものように父と母は喧嘩している。

お腹がすいた。
もう何日まともなご飯を口にしていないだろう。

「お母さん、お父さん。ごはんってないの?」

恐る恐る聞いてみる。

「あるわけないじゃない。もともとこいつが仕事をしてないからよ!」

母は父に指をさして怒鳴り散らしている。

「お前がいなかったらよかったんだよ!ミーシャ!」

父が私にそう言ってきた。
そんなこと言われても仕方ないよ。

「二度と戻ってくるな!」

そう言って父は私を真冬の森の中に放り出した。

肌が焼けるように痛い。でもやっとあの家から離れられる。あの地獄から抜け出せると考えただけで無意識に足が前に進む。

痛いけどそれ以上に、最高にうれしい。こんなうれしいの久しぶりだ。何年ぶりだろう。学校さえ通わせてもらえなかったし、誕生日だって祝ってもらってなかったから今自分が何歳かもうろ覚えだ。

多分17だったと思う。

あ、考えてみたら家なくなったんだ。
ご飯も、お金も、家族も、何もかもがなくなったんだ。

仕事。
仕事をしなくちゃ。

お金がなかったら何もできない。どこかに雇ってくれるところないかな。この国だったら16歳から働けたと思うけど。お金が欲しい。家も欲しい。

足が痛い。靴も履いてこなかったから足に木の枝が刺さったり雪が傷口にしみる。靴も買わないといけないけどどこに仕事をさせてもらえるところがあるのだろうか。

山を下りたところに町があった。

いっぱい人がいる。私は町の人からじろじろ見られた。
そんなに見ないでほしい。

だけどそんな中一人私に声をかけてくる人がいた。

「どうしたの?ひとり?」

話しかけてきたのは20歳後半のきれいな女性だった。
私はその質問に対してこくりとうなずいた。

「家出かな?私の家来る?」

どうせ行くところもない。
ついていくしかない。

「うん」


着いたのはこじんまりした一軒家だった。

ドアを開けた瞬間、
「ねえちゃんー!おかえり!」

急に3人の子供が出てきた。

「うん。ただいま」

「ねえちゃんその人だれー?」

3人の中で一番おっきい男の子が言った。

「後で話すからとりあえず中に入らせてね」

はーい。とその子供たちはおとなしく中に入っていった。そして中に入るとさっきの人にこっちこっちと口パクをしながら手招きをしていたのでついていくとお風呂に着いた。

「寒かったでしょ。洗ってあげるからおいで」

いわれるがままに服を脱いで椅子に座った。

「いっぱいけがしてるじゃない。後で手当てするから今はちょっと我慢してね」

袖をまくって私の頭にシャンプーをつけて洗ってくれた。お風呂なんていつぶりだろう。優しく頭を洗ってくれてとても気持ちいい。

「私の名前はヴィオラ。あなたの名前は?」

「ミーシャ」

ほんとの名前は知らない。父が私をそう呼んでいたから私はミーシャなのかなと思っている。母は私の名前はミーシャじゃないと言っていたけれど。

そんなのどうだってかまわない。

「どうしてあんなところに・・いややっぱりいい。話したくないことだってあるはずでしょうし」


洗い終わってタオルで拭いてもらえた。傷も手当てしてもらえたし、そのうえみんなで机に並んでとても温かいご飯を食べさせてもらえた。

「ごちそうさまでした!」

子供たちの大きな声が響いていた。
怒鳴り声とは違う優しい大きな声。

こんなに幸せで温かい世界は初めて。

「今日は子供たちと一緒に寝てもらってもいい?」

うなずくとすぐに子供たちは私を部屋へ引きずり込んだ。

かわいらしい女の子が
「私はエミリー」

一番おっきい男の子が
「俺はロイ」

賢そうな男の子が
「僕はケイト」

とみんなが自己紹介をしてくれた。
流れで
「私はミーシャ」と言った。

「なんでここに来たの?」「どこから来たの?」「家出?」
と一斉に話されて何から答えればいいかわからない。

「山奥から家出してヴィオラについてきたの。あなたたちはヴィオラの兄弟?」

順番にこたえて私からも質問をした。

「ううん。ちがう」
とケイト。
「俺らは孤児なんだ」

「ねえちゃんが俺らのために王室で働いてくれてるんだ」

「ヴィオラお姉ちゃんはいい人なんだよ」
と三人が話してくれた。

そしてその後すぐに寝てしまった。とても暖かい布団で、ふかふかのベットで。人のぬくもりを感じながら気持ちよく眠った。
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