断罪を避けて国を出ようとした結果

月野槐樹

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第4話 光属性の素養

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本を閉じて、小さな覗き窓のお芝居の事を思い巡らす。視点は男爵令嬢だ。
王子の婚約者の家庭の様子などないんだけど……。

舞踏会で断罪された後、騎士に拘束されて乱れた髪の状態で自宅に戻る。
父親である伯爵と嫡男がアリアを責める。顔ははっきりしないけど、お父様とお兄様だ。
お母様は……?

『光属性を授かったというのに、鍛錬もせず、他人を妬むとは……っ』

悔しそうな台詞を吐き、アリアに家を出ていくように命じる。修道院に行く前の場面だ。

お母様は瘴気の影響で亡くなった?私は、光属性の素養があったのに、お母様を助けられなかった?
ガーンと頭を叩かれたようなショックを受けた。
ドクドクドクドク。心臓が早鐘のように鳴る。

光属性の素養があったなら、素養のランクが多少低くても、少しは浄化ができたんじゃないの?
それなのにお芝居の中の私……、未来の私は、光魔法が使えるように努力しなかった?

いや、魔法の練習はしたはずだ。厳しい王子妃教育を受けていながら、魔法の練習をサボっていたって矛盾していない?
お母様の病を治すのに間に合わなかったのかもしれない。

バタンと本を閉じて、机の上の本を重ねて立ち上がった。
書庫を開けてもらって、魔法に関する本を探した。

「早速、魔法の勉強を始めたんだって?」

翌朝、お兄様がニヤニヤしながら話しかけてきた。
まるで私が加護を得てテンションが上がっているみたいに思っているようでちょっとムッとする。

それでも、急いで魔法の練習をしなくてはという気持ちがある。
唇を少し尖らせながらもお兄様に頼んだ。

「お兄様。魔法を教えてくれる?」
「え?僕が?……うーん……」

上目遣いに頼んでみたけど、お兄様は顎に手を当てて考え込んだ。そして、顔を上げて言った。

「僕は光魔法はないし、教えられないよ」
「魔法を見せてくれるだけでも良いの」
「勝手に魔法を使うと怒られるんだよ」
「そうなの?」
「危ないからね。アリアも本を読んでも勝手に魔法を発動させようとしちゃダメだよ。魔法の勉強については父上と母上に相談してみるからね」

お兄様はそういうと、私の手を引いてお父様とお母様に相談しに行ってくれた。
お兄様の魔法の家庭教師に一緒に教えてもらえないかと提案してくれた。
私は水魔法の素養もあるから、水魔法で魔法の基礎を学べば良いんじゃないかということだ。

私も早く魔法を覚えて人の役に立ちたいのだとアピールをするとお母様が微笑んだ。

「そうね。魔法で人の役に立てば、女神様の恩に報いることができるかもしれないわね」

お母様の言葉を聞いて、魔法をちゃんと覚えて人の役に立てれば国を出ることもできるのではという希望も出てきた。
そんなにすぐに成果が出せるかはわからないけど。
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