4 / 15
第4話 光属性の素養
しおりを挟む
本を閉じて、小さな覗き窓のお芝居の事を思い巡らす。視点は男爵令嬢だ。
王子の婚約者の家庭の様子などないんだけど……。
舞踏会で断罪された後、騎士に拘束されて乱れた髪の状態で自宅に戻る。
父親である伯爵と嫡男がアリアを責める。顔ははっきりしないけど、お父様とお兄様だ。
お母様は……?
『光属性を授かったというのに、鍛錬もせず、他人を妬むとは……っ』
悔しそうな台詞を吐き、アリアに家を出ていくように命じる。修道院に行く前の場面だ。
お母様は瘴気の影響で亡くなった?私は、光属性の素養があったのに、お母様を助けられなかった?
ガーンと頭を叩かれたようなショックを受けた。
ドクドクドクドク。心臓が早鐘のように鳴る。
光属性の素養があったなら、素養のランクが多少低くても、少しは浄化ができたんじゃないの?
それなのにお芝居の中の私……、未来の私は、光魔法が使えるように努力しなかった?
いや、魔法の練習はしたはずだ。厳しい王子妃教育を受けていながら、魔法の練習をサボっていたって矛盾していない?
お母様の病を治すのに間に合わなかったのかもしれない。
バタンと本を閉じて、机の上の本を重ねて立ち上がった。
書庫を開けてもらって、魔法に関する本を探した。
「早速、魔法の勉強を始めたんだって?」
翌朝、お兄様がニヤニヤしながら話しかけてきた。
まるで私が加護を得てテンションが上がっているみたいに思っているようでちょっとムッとする。
それでも、急いで魔法の練習をしなくてはという気持ちがある。
唇を少し尖らせながらもお兄様に頼んだ。
「お兄様。魔法を教えてくれる?」
「え?僕が?……うーん……」
上目遣いに頼んでみたけど、お兄様は顎に手を当てて考え込んだ。そして、顔を上げて言った。
「僕は光魔法はないし、教えられないよ」
「魔法を見せてくれるだけでも良いの」
「勝手に魔法を使うと怒られるんだよ」
「そうなの?」
「危ないからね。アリアも本を読んでも勝手に魔法を発動させようとしちゃダメだよ。魔法の勉強については父上と母上に相談してみるからね」
お兄様はそういうと、私の手を引いてお父様とお母様に相談しに行ってくれた。
お兄様の魔法の家庭教師に一緒に教えてもらえないかと提案してくれた。
私は水魔法の素養もあるから、水魔法で魔法の基礎を学べば良いんじゃないかということだ。
私も早く魔法を覚えて人の役に立ちたいのだとアピールをするとお母様が微笑んだ。
「そうね。魔法で人の役に立てば、女神様の恩に報いることができるかもしれないわね」
お母様の言葉を聞いて、魔法をちゃんと覚えて人の役に立てれば国を出ることもできるのではという希望も出てきた。
そんなにすぐに成果が出せるかはわからないけど。
王子の婚約者の家庭の様子などないんだけど……。
舞踏会で断罪された後、騎士に拘束されて乱れた髪の状態で自宅に戻る。
父親である伯爵と嫡男がアリアを責める。顔ははっきりしないけど、お父様とお兄様だ。
お母様は……?
『光属性を授かったというのに、鍛錬もせず、他人を妬むとは……っ』
悔しそうな台詞を吐き、アリアに家を出ていくように命じる。修道院に行く前の場面だ。
お母様は瘴気の影響で亡くなった?私は、光属性の素養があったのに、お母様を助けられなかった?
ガーンと頭を叩かれたようなショックを受けた。
ドクドクドクドク。心臓が早鐘のように鳴る。
光属性の素養があったなら、素養のランクが多少低くても、少しは浄化ができたんじゃないの?
それなのにお芝居の中の私……、未来の私は、光魔法が使えるように努力しなかった?
いや、魔法の練習はしたはずだ。厳しい王子妃教育を受けていながら、魔法の練習をサボっていたって矛盾していない?
お母様の病を治すのに間に合わなかったのかもしれない。
バタンと本を閉じて、机の上の本を重ねて立ち上がった。
書庫を開けてもらって、魔法に関する本を探した。
「早速、魔法の勉強を始めたんだって?」
翌朝、お兄様がニヤニヤしながら話しかけてきた。
まるで私が加護を得てテンションが上がっているみたいに思っているようでちょっとムッとする。
それでも、急いで魔法の練習をしなくてはという気持ちがある。
唇を少し尖らせながらもお兄様に頼んだ。
「お兄様。魔法を教えてくれる?」
「え?僕が?……うーん……」
上目遣いに頼んでみたけど、お兄様は顎に手を当てて考え込んだ。そして、顔を上げて言った。
「僕は光魔法はないし、教えられないよ」
「魔法を見せてくれるだけでも良いの」
「勝手に魔法を使うと怒られるんだよ」
「そうなの?」
「危ないからね。アリアも本を読んでも勝手に魔法を発動させようとしちゃダメだよ。魔法の勉強については父上と母上に相談してみるからね」
お兄様はそういうと、私の手を引いてお父様とお母様に相談しに行ってくれた。
お兄様の魔法の家庭教師に一緒に教えてもらえないかと提案してくれた。
私は水魔法の素養もあるから、水魔法で魔法の基礎を学べば良いんじゃないかということだ。
私も早く魔法を覚えて人の役に立ちたいのだとアピールをするとお母様が微笑んだ。
「そうね。魔法で人の役に立てば、女神様の恩に報いることができるかもしれないわね」
お母様の言葉を聞いて、魔法をちゃんと覚えて人の役に立てれば国を出ることもできるのではという希望も出てきた。
そんなにすぐに成果が出せるかはわからないけど。
53
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
【完結】悪役令嬢は婚約破棄されたら自由になりました
きゅちゃん
ファンタジー
王子に婚約破棄されたセラフィーナは、前世の記憶を取り戻し、自分がゲーム世界の悪役令嬢になっていると気づく。破滅を避けるため辺境領地へ帰還すると、そこで待ち受けるのは財政難と魔物の脅威...。高純度の魔石を発見したセラフィーナは、商売で領地を立て直し始める。しかし王都から冤罪で訴えられる危機に陥るが...悪役令嬢が自由を手に入れ、新しい人生を切り開く物語。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる