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第3章
第116話 お疲れさん会
彼らの足音が少し遠ざかるのを待ってから消音魔法を展開した。
ふぅっと深く息を吐く。変な疲れ方をした気がする。それからジークヴァルドさんとエドワードにお礼を言った。
「ジークヴァルドさん、エドワード来てくれて助かりました。」
「マーカスの役に立ったなら良かったよ!」
エドワードが嬉しそうな声を上げた。ジークヴァルドさんはエドワードの方を見やってちょっと眉を吊り上げた。
「エドワードの発言はちょっとヒヤヒヤしたよ。あの従者二人、暴れ出しそうだったし。」
「えー?そうだった?」
エドワードは悪びれない様子でニコニコしている。
その隣でトマソンは青い顔だ。キリキリと眉間の皺が深まっている。
「‥‥あ、あの‥‥大丈夫なんでしょうか。相手は公爵家‥‥ですよね?」
「大丈夫だと思うよ~。シュヴァルツ公爵令息は兄上の事、先輩って敬っていたっぽいし。」
「そ、それはアインホルン家に対してだけでは?」
「そうかなぁ。きっと大丈夫だよ。」
トマソンはハラハラと落ち着きない様子だけど、エドワードは気にしていなさそうだ。一方デリックさんはずっと俯いていて無言だ。
ジョセフィンがお茶を入れ直してくれた。いつの間に彼らのお茶のカップも片付いている。入れ直してくれたお茶は少し香りが爽やかだ。
一口だけ口の中に含むと、爽快な香りが鼻に抜けた。。
深く呼吸をして気分を切り替えるよう意識しよう。
ガタリと音を立ててデリックさんが立ち上がって頭を下げ始めた。
「色々面倒な事に巻き込んで申し訳なかった。教室にジャケットを着ていったのが間違いだった。」
「それを言うならジャケットを渡したのは俺ですから‥‥。気にしないでください、デリックさん。」
「しかし‥‥。」
俺がなだめても、デリックさんの眉間の皺は消えない。
席を立ってデリックさんの座るテーブルに移動した。
ジークヴァルドさんも移動してくる。お茶を配り終えたジョセフィンも一緒のテーブル席についた。
「俺もあの位なら問題ないかなと思うけど‥‥。そういえばデリックさんは同じクラスなんでしたね。気まずいですかね。」
「それは‥‥いいんだ。ただもしも、マーカスやジョセフィンに公爵家から嫌がらせなんかがあったりしたら‥‥。」
「エルマーさんは、怒ってなさそうでしたよ?‥‥まあ、あの従者二人は良くわからないけど。‥‥そもそもあの二人、いまひとつ公爵家の侍従らしくなかったですね。」
「ラウムは‥‥オーディス・ラウムは2学年になってから特進科に入って来たんだ。元は子爵家だったらしい‥‥。それが、公爵家の侍従候補になって調子に‥‥、いや‥‥気負ってるのだろう‥‥。」
今、調子に乗ってるって言おうとしませんでしたか?
「そう言えばラウム家が陞爵したのって結構最近でしたね。」
「ああ。薬草類‥‥だったか、ポーションだったか?隣国との貿易でかなりの利益を上げたとか、販路を切り開いたとかで評価されたって聞いたな。」
薬草類‥‥。ちらりと、白蛇山のマルム草のことが頭をよぎった。
ラウム伯爵領は白蛇山から南に行った位置にある。白蛇山からは距離的には少し離れているが、まっすぐ街道が通っていたはずだ。
頭の中に地理を思い浮かべた。白蛇山付近のロセウス子爵領、ダリス伯爵領、アリアス子爵領。白蛇山の東脇を通る街道が南へと伸びていてラウム伯爵領まで続いている。そしてその街道は更に南に伸びてエルストベルクより少し西にある国境まで続くのだ。
貿易で利益を上げているといっていたか‥‥。
もしかして‥‥どこかで密かにマルム草からポーションにして隣国に売っているとか?
ちょっと調べてみよう。
ふぅっと深く息を吐く。変な疲れ方をした気がする。それからジークヴァルドさんとエドワードにお礼を言った。
「ジークヴァルドさん、エドワード来てくれて助かりました。」
「マーカスの役に立ったなら良かったよ!」
エドワードが嬉しそうな声を上げた。ジークヴァルドさんはエドワードの方を見やってちょっと眉を吊り上げた。
「エドワードの発言はちょっとヒヤヒヤしたよ。あの従者二人、暴れ出しそうだったし。」
「えー?そうだった?」
エドワードは悪びれない様子でニコニコしている。
その隣でトマソンは青い顔だ。キリキリと眉間の皺が深まっている。
「‥‥あ、あの‥‥大丈夫なんでしょうか。相手は公爵家‥‥ですよね?」
「大丈夫だと思うよ~。シュヴァルツ公爵令息は兄上の事、先輩って敬っていたっぽいし。」
「そ、それはアインホルン家に対してだけでは?」
「そうかなぁ。きっと大丈夫だよ。」
トマソンはハラハラと落ち着きない様子だけど、エドワードは気にしていなさそうだ。一方デリックさんはずっと俯いていて無言だ。
ジョセフィンがお茶を入れ直してくれた。いつの間に彼らのお茶のカップも片付いている。入れ直してくれたお茶は少し香りが爽やかだ。
一口だけ口の中に含むと、爽快な香りが鼻に抜けた。。
深く呼吸をして気分を切り替えるよう意識しよう。
ガタリと音を立ててデリックさんが立ち上がって頭を下げ始めた。
「色々面倒な事に巻き込んで申し訳なかった。教室にジャケットを着ていったのが間違いだった。」
「それを言うならジャケットを渡したのは俺ですから‥‥。気にしないでください、デリックさん。」
「しかし‥‥。」
俺がなだめても、デリックさんの眉間の皺は消えない。
席を立ってデリックさんの座るテーブルに移動した。
ジークヴァルドさんも移動してくる。お茶を配り終えたジョセフィンも一緒のテーブル席についた。
「俺もあの位なら問題ないかなと思うけど‥‥。そういえばデリックさんは同じクラスなんでしたね。気まずいですかね。」
「それは‥‥いいんだ。ただもしも、マーカスやジョセフィンに公爵家から嫌がらせなんかがあったりしたら‥‥。」
「エルマーさんは、怒ってなさそうでしたよ?‥‥まあ、あの従者二人は良くわからないけど。‥‥そもそもあの二人、いまひとつ公爵家の侍従らしくなかったですね。」
「ラウムは‥‥オーディス・ラウムは2学年になってから特進科に入って来たんだ。元は子爵家だったらしい‥‥。それが、公爵家の侍従候補になって調子に‥‥、いや‥‥気負ってるのだろう‥‥。」
今、調子に乗ってるって言おうとしませんでしたか?
「そう言えばラウム家が陞爵したのって結構最近でしたね。」
「ああ。薬草類‥‥だったか、ポーションだったか?隣国との貿易でかなりの利益を上げたとか、販路を切り開いたとかで評価されたって聞いたな。」
薬草類‥‥。ちらりと、白蛇山のマルム草のことが頭をよぎった。
ラウム伯爵領は白蛇山から南に行った位置にある。白蛇山からは距離的には少し離れているが、まっすぐ街道が通っていたはずだ。
頭の中に地理を思い浮かべた。白蛇山付近のロセウス子爵領、ダリス伯爵領、アリアス子爵領。白蛇山の東脇を通る街道が南へと伸びていてラウム伯爵領まで続いている。そしてその街道は更に南に伸びてエルストベルクより少し西にある国境まで続くのだ。
貿易で利益を上げているといっていたか‥‥。
もしかして‥‥どこかで密かにマルム草からポーションにして隣国に売っているとか?
ちょっと調べてみよう。
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