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第3章
第157話 図書委員会
「予算の問題だと思う。つまり、君が惨めと思っている食事の内容に笑う騎士も同情する騎士もいないってことだ。」
「‥‥。」
若干面倒だなと感じ始めたけど、話す目的でここまで来たので真面目に返答すると
、ゼラルド伯爵令息はちょっと当惑したような顔をした。漸く刺々しい雰囲気が消えた気がする。話しやすくなったかな?
「食事の話は置いておいて‥‥。聞きたい事があってきたんだけど。」
「‥‥何だ?」
「猫の目魔石のペンダントを盗んで、その罪をアイヴリンガー侯爵令嬢にきせようって言い出したのは誰?」
「‥‥。」
俺が尋ねるとゼラルド伯爵令息は若干目を見開き、唇の端に力を入れて引き結んだ。
「誰か庇ってるの?捕まった他の三人は王宮の施設にいるから、食事はここより豪勢だと思うよ。何しろ王宮の料理人が作るんだし。」
「!」
ゼラルド伯爵令息の目と口がまんまるに開いた。正直、王宮の勾留施設の食事の質なんて全然知らないんだけど、食べ物に執着しているみたいだから追撃してみる。
「君一人に女子寮に忍び込んでペンダントを侯爵令嬢の部屋に置いてくるように言っていて、彼らは『晩秋の夕べ』の一流の演奏家の演奏を楽しんでいただろう。
今もそういうことじゃないか?君一人、連日ここで尋問されている間、彼らは王宮施設でどんな待遇なんだろうね。
確かに、騎士達に捕まってたけどね。侯爵令嬢に対して失礼な発言をしたんだし。でも、問題のペンダントを持っていたのは君だからね。彼らがペンダントの事は知らない、君一人でやった事だって言ったら?」
「‥‥。」
ゼラルド伯爵令息の瞳が揺れ動いた。
「君が黙ってる理由ってよくわからないんだよね。そんなに仲良さそうには見えなかったし。仲間って間柄じゃないでしょ。」
「‥‥そ、そんなことは‥‥。」
「図書委員会っていうメンバーで強い仲間意識があったとしたらさ。仲間の婚約者を罪に陥れようとかしないでしょ。」
「‥‥。」
「お揃いのジャケットなんか着て、仲良いアピールしていたけどさ。形だけだろ。
オーダーメイドって言っていたはずなのに、君が着ていたジャケット、全くサイズ合ってなかったよね。シュバルツ公爵令息とロセウス子爵令嬢が揃って同じ服を着ているのを、アイヴリンガー侯爵令嬢に見せつけるためだけの衣装だったんじゃないのか。
他三人は、理由付けの為だけに着せられていただけだろう。図書委員って結局、お揃いのジャケットと同じで誰かの企みの隠れ蓑ってだけだろ。」
「図書委員を悪く言うな!!」
ゼラルド伯爵令息が急に大きな声を出して椅子から立ち上がった。すぐに騎士が近寄って椅子に強引に座り直させた。ゼラルド伯爵令息は怒りの表情のまま俺を睨んでいた。
「図書委員は地味な役割の委員会だが、学園の歴史ある希少な蔵書の管理に携われる栄誉ある役職なんだ。絶対に‥‥絶対になくしてはいけない委員会なんだ。」
ゼラルド伯爵令息の様子が変わった。
「‥‥なくしてはいけないって、存亡の危機にあるとか?何かあった?」
今は図書委員会メンバーの大半が問題を起こした状態だから存亡の危機にあるといっていいかもしれないけど、ゼラルド伯爵令息が気にしているポイントは少し違うような気がした。
それまで黙って話を聞いていたジョセフィンが手帳に目を落として言った。
「ああ、クルト・ゼラルド伯爵令息。貴方だけ一年からずっと図書委員なんですね。
シュバルツ公爵令息が加入して来たのはわりと最近ですね。」
ジョセフィンの言葉を聞いて、ゼラルド伯爵令息が俯いた。
「それまで他の委員がいなかったってこと?」
更に尋ねてみると、ゼラルド伯爵令息が更に項垂れた。
「‥‥地味だからって‥‥皆入ってくれないんだ‥‥。」
「今は加入している人達がいるよね。シュバルツ公爵令息はどうして委員になったの?」
「‥‥エルマーさんが課題の資料を図書室で探している時があって‥‥。僕が資料を探す手伝いを申し出たんだ。
それがきっかけで、クラスも同じだったから話す機会が増えて来て。その頃‥‥、図書委員が僕一人の状態が何ヶ月も続いていて‥‥。先輩達が卒業してしまって
その後誰も加入していなかったからなんだけど。図書室の運営の中心は学園で雇われた司書さんがやっているから、委員が一人しかいない委員会は廃止にしようかって話があがってたんだ。
でも、僕は廃止にしたくなくて‥‥。エルマーさんと話をした時にちょっと愚痴ったら、入ってくれるって言ってくれたんだ。」
「いい人じゃん。」
エルマーさんて、もしかしてちょっとお人好しの所を周囲に利用されてるのか?
「‥‥。」
若干面倒だなと感じ始めたけど、話す目的でここまで来たので真面目に返答すると
、ゼラルド伯爵令息はちょっと当惑したような顔をした。漸く刺々しい雰囲気が消えた気がする。話しやすくなったかな?
「食事の話は置いておいて‥‥。聞きたい事があってきたんだけど。」
「‥‥何だ?」
「猫の目魔石のペンダントを盗んで、その罪をアイヴリンガー侯爵令嬢にきせようって言い出したのは誰?」
「‥‥。」
俺が尋ねるとゼラルド伯爵令息は若干目を見開き、唇の端に力を入れて引き結んだ。
「誰か庇ってるの?捕まった他の三人は王宮の施設にいるから、食事はここより豪勢だと思うよ。何しろ王宮の料理人が作るんだし。」
「!」
ゼラルド伯爵令息の目と口がまんまるに開いた。正直、王宮の勾留施設の食事の質なんて全然知らないんだけど、食べ物に執着しているみたいだから追撃してみる。
「君一人に女子寮に忍び込んでペンダントを侯爵令嬢の部屋に置いてくるように言っていて、彼らは『晩秋の夕べ』の一流の演奏家の演奏を楽しんでいただろう。
今もそういうことじゃないか?君一人、連日ここで尋問されている間、彼らは王宮施設でどんな待遇なんだろうね。
確かに、騎士達に捕まってたけどね。侯爵令嬢に対して失礼な発言をしたんだし。でも、問題のペンダントを持っていたのは君だからね。彼らがペンダントの事は知らない、君一人でやった事だって言ったら?」
「‥‥。」
ゼラルド伯爵令息の瞳が揺れ動いた。
「君が黙ってる理由ってよくわからないんだよね。そんなに仲良さそうには見えなかったし。仲間って間柄じゃないでしょ。」
「‥‥そ、そんなことは‥‥。」
「図書委員会っていうメンバーで強い仲間意識があったとしたらさ。仲間の婚約者を罪に陥れようとかしないでしょ。」
「‥‥。」
「お揃いのジャケットなんか着て、仲良いアピールしていたけどさ。形だけだろ。
オーダーメイドって言っていたはずなのに、君が着ていたジャケット、全くサイズ合ってなかったよね。シュバルツ公爵令息とロセウス子爵令嬢が揃って同じ服を着ているのを、アイヴリンガー侯爵令嬢に見せつけるためだけの衣装だったんじゃないのか。
他三人は、理由付けの為だけに着せられていただけだろう。図書委員って結局、お揃いのジャケットと同じで誰かの企みの隠れ蓑ってだけだろ。」
「図書委員を悪く言うな!!」
ゼラルド伯爵令息が急に大きな声を出して椅子から立ち上がった。すぐに騎士が近寄って椅子に強引に座り直させた。ゼラルド伯爵令息は怒りの表情のまま俺を睨んでいた。
「図書委員は地味な役割の委員会だが、学園の歴史ある希少な蔵書の管理に携われる栄誉ある役職なんだ。絶対に‥‥絶対になくしてはいけない委員会なんだ。」
ゼラルド伯爵令息の様子が変わった。
「‥‥なくしてはいけないって、存亡の危機にあるとか?何かあった?」
今は図書委員会メンバーの大半が問題を起こした状態だから存亡の危機にあるといっていいかもしれないけど、ゼラルド伯爵令息が気にしているポイントは少し違うような気がした。
それまで黙って話を聞いていたジョセフィンが手帳に目を落として言った。
「ああ、クルト・ゼラルド伯爵令息。貴方だけ一年からずっと図書委員なんですね。
シュバルツ公爵令息が加入して来たのはわりと最近ですね。」
ジョセフィンの言葉を聞いて、ゼラルド伯爵令息が俯いた。
「それまで他の委員がいなかったってこと?」
更に尋ねてみると、ゼラルド伯爵令息が更に項垂れた。
「‥‥地味だからって‥‥皆入ってくれないんだ‥‥。」
「今は加入している人達がいるよね。シュバルツ公爵令息はどうして委員になったの?」
「‥‥エルマーさんが課題の資料を図書室で探している時があって‥‥。僕が資料を探す手伝いを申し出たんだ。
それがきっかけで、クラスも同じだったから話す機会が増えて来て。その頃‥‥、図書委員が僕一人の状態が何ヶ月も続いていて‥‥。先輩達が卒業してしまって
その後誰も加入していなかったからなんだけど。図書室の運営の中心は学園で雇われた司書さんがやっているから、委員が一人しかいない委員会は廃止にしようかって話があがってたんだ。
でも、僕は廃止にしたくなくて‥‥。エルマーさんと話をした時にちょっと愚痴ったら、入ってくれるって言ってくれたんだ。」
「いい人じゃん。」
エルマーさんて、もしかしてちょっとお人好しの所を周囲に利用されてるのか?
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