騎士志望のご令息は暗躍がお得意

月野槐樹

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第3章

第223話 宿の食堂にて

食堂に着くと魔導科クラスの彼らが既に来ていて、あらためて部屋の件で礼を言われた。

「明日も出発出来るか判らないとのことでしょう? お部屋を確保してくださって本当に助かりましたわ。」

魔導科令嬢達も、宿がとれなかったらロビー泊でも、と覚悟していたようだったけど、部屋が確保されていてホッとしたそうだ。簡易ベッドで手狭になるのは全然構わないらしい。
ちらり、と、冒険者ギルドで会った三人組の話をしてみたら、アメリー嬢が驚愕していた。

「え?貴族の令嬢が冒険者ギルドで雑魚寝ですか?しかも寝袋で?なんて酷い!」
「言ってくだされば、こちらの部屋に相部屋でも良かったのに!マーカス様、どうして誘ってあげなかったんですの?」

先程まで感謝モードだったのに、急に避難モード?アメリー嬢とメイサ嬢に責められた。

「いや、君達に断りもなく勝手に決められないだろう。それに、彼らはこの先も暫く冒険者活動をするのだから、いざというときの手段として緊急寄宿がどんなものか知っておくのも大事だと思うよ。
それに、宿泊場所は男女分けてあるし。」
「でも‥‥。」

会った事もないはずなのに,学園の後輩となる予定の令嬢に、彼女達は同情的だ。
えーと、令息達もいるんですよ?心配するなら男子の後輩の心配もしてあげたら良いのに。
男子は、男子で面倒見てって事なの?

「半日の護衛依頼にそんな落とし穴があっただっぺか。」
「冬場は要注意だす。」
「緊急寄宿って初めて知ったよぉ。無料で泊まれるなら良い制度だねぇ。」

男子達は受け止め方が違うようだ。マルロイ君達は冬季休暇中に冒険者活動をして小遣い稼ぎをしようと思っていたそうで、半日護衛や緊急寄宿の方に関心を示していた。
マルロイ君とシン君、クレイリー君は冒険者登録をしているそうだ。討伐依頼が受けられる青銅級には上がったそうだけど、
まだあまり討伐実績はないらしい。

「なんと!拙者も冒険者登録したいでござる!」
「ユリウス氏は登録していなかったんだっぺ。」
「登録しようと思った矢先に色々あったでござる。」
「学科移籍してたら忙しいだすな。」

ユリウスは王都での生活に慣れてから冒険者登録をしようと思っていたそうだ。
しかし、故郷での魔獣溢れが発生して、学費の問題で魔導科から騎士科に移籍をすることになり授業についていくのに精一杯だったらしい。

ユリウスは手袋をした左手を顔の前にかざしてポーズをとった。

「冒険者になったら、この封印せし左手が火を吹くでござるよ。」
「手から火を吹いたら熱いだっぺ。」
「火傷だす。」

マルロイ君達から次々にツッコミが入るが、ユリウスはあまり気にしていなさそうだ。ごそごそと、腰にくくり付けていた麻袋から、魔法陣玉を取り出してニコニコしている。

「拙者にはこれが有るでござる。火を吹くでござるよ。」
「なんだすか?‥‥魔法陣?」

ユリウスが、丸めた羊皮紙を少しめくって、チラリと魔法陣が描かれた部分を見せた。
「魔法陣玉でござる!

「クリーン魔法だっぺか。」
「まさか用を足した後、トイレに投げ込むだすか。」
「違うでござる!」

魔法陣玉をみて、クリーン魔法の魔法陣を連想したマルロイ君とシン君の言葉に、ユリウスはむぅ~と唇を歪めた。
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