騎士志望のご令息は暗躍がお得意

月野槐樹

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第3章

第284話 出迎え

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「騎士爵の子が入学する実績が出来て欲しいんだよ。」

副ギルド長がどうして協力的なのだろうと思ったら、副ギルド長のロンウェルさんも騎士爵で、ご子息は今12歳なのだそうだ。
騎士学校に行かせようと考えていたそうなのだけど、デヴィン君が貴族学園の入学願いを学園長に出すと聞いて、
ご子息の将来の選択肢を増やすことに繋げたいと思ったのだそうだ。

「まあ、それだけでなく、君達は街の住人でもないのに、活躍してくれたからね。」
副ギルド長はそう言ってニヒルな笑みを浮かべた。

「騎士学校ってどうなんですか?貴族学園の騎士科に入るのと違うんですか?」
デヴィン君は、副ギルド長が騎士学校の事も知っていそうだと思ったのか質問をしていた。

「騎士学校は幾つもあって、それぞれ特色があるけれどね。貴族学園の騎士科の方が王宮騎士になるには有利だし、騎士爵を得やすいというのが大きいかな。」
「王宮騎士、ですか。」
「そう。各地にある騎士学校の卒業生は、その地域の騎士になる事の方が多いんだよ。」
「そうか。そういう違いもあるのか‥‥。ありがとうございます!」
デヴィン君はキラキラした目をして、お礼を言っていた。
ローレ嬢とロアン君も一緒に明るい表情をして笑っている。
三人一緒に入学出来ると良いね。

手紙を出した後は、ロアン君達は護衛依頼の依頼主のところに予定を確認しに行った。
俺達は宿に戻ったのだが、ロビーに魔導科クラスの面々が待っていた。
俺達が宿に入ると、駆け寄って来た。

「怪我はないっぺ?」
「無事だすか?」
「避難が始まっちゃったらどうしようかと思ってたよぅ。」

どうやら警鐘が鳴ってから、何時でも避難が開始できるようにして待機をしていて、俺達が戻って来ていなかったから心配していたそうだ。
確かに全員外套を着込んだ状態でいた。

アイスリザードの討伐完了の連絡があるまでは、鞄なども持った状態で、ロビーで待機をしていたそうだけど今は、荷物は部屋に置きに戻ったらしい。しかし、俺達の事が気になるからロビーで待っていたのだそうだ。

「なんと!かたじけないでござる!心配をかけたでござるぅ!」
ユリウスはそう言うと、マルロイ君とシン君にハイタッチをした。

「無事で良かったっぺ!」
「だすだす!」
ほっとした様子を見ると、かなり心配をかけてしまったようなので詫びておいた。

成り行きでアイスリザード討伐に参加したことをユリウスが伝えると、かなり驚かれた。

「千切っては投げ!千切っては投げ!と容赦なくやっつけたでござるよ!」
「ユリウス、芋は千切ってはいないであろう。」
「そうでござった!『ソーレ』で投げるでござるよ!」
[良くわからないっぺ。魔法陣玉も投げたっぺ?」
「投げたでござーる!ソーレでボン!でござる!」
「おお!すごいっぺ!」
「だすだす!」

身振り手振りで討伐の様子を話しているユリウスの肩を、マーギットさんがポンと叩いた。

「ユリウス。その話は後でゆっくりするである。明日の朝出発するであるから準備があるである。」
「準備でござるか?あ、洗濯でござるか?クリーンクリーンでござるな。」

魔導科クラス組にも、明日の朝出発となった事を伝えた。既に避難準備の時に荷物をまとめていたらしいけど、マーギットさん達がクリーン魔法で服を洗浄すると聞いて、女子達は、自分達も洗濯をすると言って部屋に急ぎ戻って行く。
男子組も自分達も荷物の整理をすると言って部屋に引き返して行った。
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