208 / 334
第1章
第208話 父上登場
しおりを挟む
「団子兎が三!蛙魔獣が十二!仕留めた魔獣の数が報告と一致しました!」
「では獲り逃しはないのだな」
「はい!」
檻の中にいた魔獣の一人討伐した魔獣の数が一致して、ほっとした空気が流れた。
土壁の囲いの外にいた騎士さん達も囲いの中に入ってきた。
「クリス君」
レオノールさんが近づいてきて腰を屈めて僕を見つめた。
「この土壁はあなたが作ってくれたのよね?ありがとう」
「魔獣が町に行かないようにって思っただけです」
「本当だったら騎士団で対処しないといけなかったことだわ。咄嗟の判断力、素晴らしいわ」
レオノールさんに褒められた。ちょっと頬が熱くなっちゃう。
「見事な土魔法だったわね。あなたは土魔法の使い手なの?」
「いえ、僕は土属性はあまりないんです。魔道具です。こういう……」
僕は別の土壁の魔法陣魔石を出してレオノールさんに見せた。
「まあ、魔道具って……魔石だけ?」
「治癒玉もそうでしょう?」
「そうね……、そうだけど……。魔石だけで四方を囲むような制御ができるの?」
「魔石が大きかったですし……」
魔道具には、魔石の魔力を動力として使って装置を動かすような魔道具もあれば
魔石に直接魔法陣を刻んで魔法を再現するような魔道具もある。
魔力を動力とするタイプの魔道具は高価だから家にはあまりないんだ。
魔石に魔法陣を刻むタイプのは、魔石さえあれば作れるから手軽で良いよね。
そういえば檻の鍵は、動力というより魔法を発する魔道具だったな。仕組みが気になる。
「この土壁は消せるのかしら」
「あ、そうだった!」
レオノールさんに言われて土壁を出したままだったことを思い出した。
土壁の囲いの入り口の方を振り向く。
「土壁を消して来ますね」
レオノールさんにそう伝えて、囲いの入り口の方に向かった。
入り口近くの地面を見回すと、土に埋もれていたけど魔石が見つかった。
水魔法で洗うと魔石に刻んだ魔法陣が見えてきた。僕が刻んだ魔法陣だ。
「これはどういうことだ!」
背後で怒鳴る声が聞こえた。「怒り」の気配がパーンと広がる。
声と気配で誰だかわかったけど、振り向いたら父上が土壁の上に仁王立ちになっていてちょっとびっくり。
少し傾いてきた日の光で逆光になっていて格好いい!
「父上!」
「ローレン、説明しろ」
兄上が駆け寄っていくと、父上が低いよく通る声で言う。「怒り」の気配がビシビシと漂ってくる。
父上は土壁の上に立ったまま兄上の説明を聞いている。
土壁を消そうと思ってたんだけど、どうしよう。
土壁の上で腕組みして仁王立ちしている父上、強そうで格好いいんだよなぁ。
とりあえず、土壁を消す準備だけしておこう。
魔法で作った土壁は、作った本人だけが消せる。そうでない場合は物理的に壁を壊すことになる。
魔法を発した当人の魔力が作用するようなんだ。
魔法陣魔石で土壁を作る時は、消すこともセットで考えないといけなかった。
だから、一つの魔石に土壁を作る魔法陣と土壁を消す魔法陣を刻んでいる。
土壁を作るのに使える魔力が減ってしまうけど、土壁を消す方の魔法はそんなに魔力を必要としないから使える魔力が半分ということもない。
落ちていた土壁の魔法陣魔石を拾い上げて水魔法で洗った。魔石にはまだ魔力が残っていてキラキラしている。
「では獲り逃しはないのだな」
「はい!」
檻の中にいた魔獣の一人討伐した魔獣の数が一致して、ほっとした空気が流れた。
土壁の囲いの外にいた騎士さん達も囲いの中に入ってきた。
「クリス君」
レオノールさんが近づいてきて腰を屈めて僕を見つめた。
「この土壁はあなたが作ってくれたのよね?ありがとう」
「魔獣が町に行かないようにって思っただけです」
「本当だったら騎士団で対処しないといけなかったことだわ。咄嗟の判断力、素晴らしいわ」
レオノールさんに褒められた。ちょっと頬が熱くなっちゃう。
「見事な土魔法だったわね。あなたは土魔法の使い手なの?」
「いえ、僕は土属性はあまりないんです。魔道具です。こういう……」
僕は別の土壁の魔法陣魔石を出してレオノールさんに見せた。
「まあ、魔道具って……魔石だけ?」
「治癒玉もそうでしょう?」
「そうね……、そうだけど……。魔石だけで四方を囲むような制御ができるの?」
「魔石が大きかったですし……」
魔道具には、魔石の魔力を動力として使って装置を動かすような魔道具もあれば
魔石に直接魔法陣を刻んで魔法を再現するような魔道具もある。
魔力を動力とするタイプの魔道具は高価だから家にはあまりないんだ。
魔石に魔法陣を刻むタイプのは、魔石さえあれば作れるから手軽で良いよね。
そういえば檻の鍵は、動力というより魔法を発する魔道具だったな。仕組みが気になる。
「この土壁は消せるのかしら」
「あ、そうだった!」
レオノールさんに言われて土壁を出したままだったことを思い出した。
土壁の囲いの入り口の方を振り向く。
「土壁を消して来ますね」
レオノールさんにそう伝えて、囲いの入り口の方に向かった。
入り口近くの地面を見回すと、土に埋もれていたけど魔石が見つかった。
水魔法で洗うと魔石に刻んだ魔法陣が見えてきた。僕が刻んだ魔法陣だ。
「これはどういうことだ!」
背後で怒鳴る声が聞こえた。「怒り」の気配がパーンと広がる。
声と気配で誰だかわかったけど、振り向いたら父上が土壁の上に仁王立ちになっていてちょっとびっくり。
少し傾いてきた日の光で逆光になっていて格好いい!
「父上!」
「ローレン、説明しろ」
兄上が駆け寄っていくと、父上が低いよく通る声で言う。「怒り」の気配がビシビシと漂ってくる。
父上は土壁の上に立ったまま兄上の説明を聞いている。
土壁を消そうと思ってたんだけど、どうしよう。
土壁の上で腕組みして仁王立ちしている父上、強そうで格好いいんだよなぁ。
とりあえず、土壁を消す準備だけしておこう。
魔法で作った土壁は、作った本人だけが消せる。そうでない場合は物理的に壁を壊すことになる。
魔法を発した当人の魔力が作用するようなんだ。
魔法陣魔石で土壁を作る時は、消すこともセットで考えないといけなかった。
だから、一つの魔石に土壁を作る魔法陣と土壁を消す魔法陣を刻んでいる。
土壁を作るのに使える魔力が減ってしまうけど、土壁を消す方の魔法はそんなに魔力を必要としないから使える魔力が半分ということもない。
落ちていた土壁の魔法陣魔石を拾い上げて水魔法で洗った。魔石にはまだ魔力が残っていてキラキラしている。
357
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ゲームちっくな異世界でゆるふわ箱庭スローライフを満喫します 〜私の作るアイテムはぜーんぶ特別らしいけどなんで?〜
ことりとりとん
ファンタジー
ゲームっぽいシステム満載の異世界に突然呼ばれたので、のんびり生産ライフを送るつもりが……
この世界の文明レベル、低すぎじゃない!?
私はそんなに凄い人じゃないんですけど!
スキルに頼りすぎて上手くいってない世界で、いつの間にか英雄扱いされてますが、気にせず自分のペースで生きようと思います!
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
溺愛少女、実はチートでした〜愛されすぎて大忙しです?〜
あいみ
ファンタジー
亡き祖母との約束を守るため、月影優里は誰にでも平等で優しかった。
困っている人がいればすぐに駆け付ける。
人が良すぎると周りからはよく怒られていた。
「人に優しくすれば自分も相手も、優しい気持ちになるでしょ?」
それは口癖。
最初こそ約束を守るためだったが、いつしか誰かのために何かをすることが大好きになっていく。
偽善でいい。他人にどう思われようと、ひ弱で非力な自分が手を差し出すことで一人でも多くの人が救われるのなら。
両親を亡くして邪魔者扱いされながらも親戚中をタライ回しに合っていた自分を、住みなれた田舎から出てきて引き取り育ててくれた祖父祖母のように。
優しく手を差し伸べられる存在になりたい。
変わらない生き方をして二十六歳を迎えた誕生日。
目の前で車に撥ねられそうな子供を庇い優はこの世を去った。
そのはずだった。
不思議なことに目が覚めると、埃まみれの床に倒れる幼女に転生していて……?
人や魔物。みんなに愛される幼女ライフが今、幕を開ける。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる