異世界に召喚されたオレだが、可哀そうだからゴブリンを殺せない

たけるん

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開戦直前

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「ナオキ、よく言った! 俺は初めからお前のこと信じてたぞ!」



 レイはナオキに向って身構えていたが、ナオキに近寄り肩を抱き喜んだ。



「レイ、お前疑ってたろ?」

「ま、まさかぁ、俺たちの絆はそんなにヤワじゃないぜ」



今日会ったばっかりだけどな……



「ナオキ君、もう一度聞くけど後悔は無いんだね?」



 八京の口調はさっきまでと変わり、どこか機械的なものに変わった。その変化にナオキは驚き少し戸惑ったが。



「はい。この覚悟は変わりません」

「………………」

「八京。残念だが、ナオキ君の決心は本物のようだ。なら私たちの行うことは一つしかない。そうだろ?」



 ジュダは八京に言った。その言葉からはジュダの感情は分からない。



「………………」

「八京、お前が辛いのは分かるが、これはナオキ君が決めたことだ。もうお前に出来ることは事を最小限に留めてナオキ君を止めることだ」

「……そうですね」

「それと、エルフ。お前に一つ質問があるんだが?」



 ジュダはレイに話し掛けた。



「俺? 何だ? 妹の居場所でも教えてくれるのかなら応えてやらんことも無いが?」

「それは出来ない相談だが、ここまでの道に兵士を一人、警備をさせていたんだが、会わなかったか?」

「警備? あぁいたな。俺くらいの背丈で金髪オールバックの奴が」



 金髪オールバック――ナオキが知っている兵士でそんな人物は一人しかい。ナオキ達リスタを執拗に嫌い嫌味を言うキツネ野郎――



「っ!! お前、そいつはどうした?」

「俺がここにいるってことはもう分かってるんだろ?」

「殺したのか!?」

「俺はそれでも良いと思ってたんだが、ナオキが出来るだけ殺さないように言うもんでね。今は大人しく伸びてるよ」

「スティルトン……そうか、それは有難い。アイツは中々優秀な部下なんでな。八京、聞いていたろ? そう言うことだ。お前も腹をくくらないと。今までのように淡々とこなせばそれでいい。わかったか?」

「……わかりました……」



 ジュダが話を終えたその後、八京の纏っている空気が変わったのがはっきりわかった。今までは穏やかな春風のような暖かい、ホッとするような空気を纏っていたが、今は違う。冷たく、突き刺さりそうな、寒気がする、近づくだけで身体に刺さりそうな空気を纏っている。



「アイツ。殺気が半端ねぇな。さっきとは大違いだ」



 ナオキの隣でレイが構えながら言った。



……これが殺気……これが八京さん……



 今までの八京ではなく、戦場の八京を垣間見た気がした。



「さぁ相棒。何だか良くないほうに進んでるがどうする? 勿論、戦うんだろ?」



 明るい口調でいるが、声に緊張が混じっている。八京のヤバさを理解したのだろう。



「もうそれしかない。どうだ、何とかなりそうか?」

「正直厳しいな。話には聞いていたが、まさかここまでとは……」



 やはり。レイは自身の剣の腕を高く評価している。いや、実際かなりの腕前だ。だが八京の強さは反則だ。チートの域を超えている。そんな八京に向かおうとしているのだからナオキもレイも頭のネジが吹っ飛んでいると言われても仕方がない。



「……こりゃあ俺もマジになんなきゃダメだな……」

「え?」



 レイは何て言った? そう思った瞬間、レイの周りの空気が一瞬にして変わった。熱く、強く、まるで熱風だ。八京とは対象で隣に立つだけでその身が焼かれてしまいそうだ。八京の放っているのが殺気ならレイの放っているのは闘気と呼ばれるだろう。



「……す、凄い……」



 ナオキは驚き、その場に立っているのがやっとだった。



「な、なんだと……こ、こんな……」



 ジュダもレイの闘気に驚いている。当然だ。二人の放つ波動は拮抗しているように感じる。



「へぇ、キミ強いね」



 それでも八京は冷静だ。レイの闘気を肌で感じても眉一つ動かさない。



「そりゃどうも。自慢じゃないが剣では負け知らずでね」

「じゃあ今日が初めての敗北になるのかな?」

「いいや、俺はこれからも負け知らずさ!」

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