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アタシが剣で修業をつけるわよ
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―数分後、クラウドが意識を取り戻した。
「ご、ごめんなさいね。アタシ思わず……」
「ごめんで済むか! お前、父上に続いて俺まで殺すつもりだったろ!」
「そ、そんなことないわ! アタシ、アナタのお母さんになろうと――」
「黙れ! 誰がそんなこと望むか! それに俺の母上は死んでない!」
「え? でもせめて父親代わりに――」
「必要ない! グライス様が親身になってくれている。本来、お前なんて必要ないんだ」
ガーン
――そこまで言わなくても――
「クラウド。そう邪険にすることも無いだろう」
「グライス様……」
クラウドの言葉にショックを隠し切れないでいるとグライスが助け船を出してくれた。
「たしかにデュアリスは操様に殺された。だが、戦とはそういうものだ。互いに命のやり取りをやった結果なんだ。そこは理解しているだろう?」
「……はい……」
「それに、これはまたとないチャンスではないか」
「えっ?」
「父デュアリスを殺した相手と剣を交えるのだ。こんな機会マタとないだろ」
「た、確かに……」
「お前は父を超える逸材だ。父を討った相手の剣技を学び、それを超えるべく鍛錬をするべきだ」
珍しくグライスの言葉に熱を感じた。それだけクラウドのことを気にかけているのだろう。
――親と子供ってよりおじいちゃんと孫って感じね――
二人のやり取りを見ていた操は一人涙を流していた。クラウドの父を殺したことは忘れて。
「わかりました。グライス様、俺絶対父上を超える剣士になって見せます! おい、お前。魔王様の命令とは言え、不本意ながら指導を受けてやる。そして必ずお前を超えて見せるぞ!」
――なんてひたむきなの。ほんとカワイイわ――
「いいわ。これも何かの縁。アタシの全部、見せちゃうわ」
――何なら裸の付き合いもOKよ――
「いくぞ!」
クラウドは操目掛けて斬りかかった。
――えっ? はやっ――
操が剣を構えるより先にクラウドの剣は操に迫っていた。
その剣は操の髪を数本切り空を割いた。
「ちっ。いけたと思ったんだけど」
「な、なかなかやるじゃない。ちょっと小股が濡れちゃったわよ」
――マジで――
「スグにそんな冗談言えなくしてやる――」
言い終わる前にクラウド斬撃が操を襲った――だが、操はヒラリと剣を躱した。
尚もクラウドは操へ技を繰り出した。しかし、どれも操へは届かなかった。
「くっ……」
技のすべてがすかされ、クラウドは苛立っていた。
――この子の剣、面白いわ。ドンドン速くなっていく――
クラウドとは裏腹に操はクラウドの剣を楽しんでいた。実際、クラウドの剣捌きは素晴らしく剣を振るう度メキメキ上達していき、何度も操は股間を濡らした。それでもすべての攻撃を躱すことが出来たのは操の尋常ではない野生の感があってのことだった。
「アナタ流石ね、気を抜いたらやられそうだわ」
「そう言ってまだ余裕がありそうだぞ。俺の修行なんだ。躱してばかりいないで少しは攻めて来いよ」
「あらそう? 眼も慣れてきたし、お言葉に甘えて攻めさせてもらおうかしら――」
キィン
操は言い終わるより先に剣を振った。剣で受け止めたクラウドはその勢いで数m後退したが、その剣速に驚きの表情を浮かべた。
「ヒャッヒャッ……これはこれは」
グライスも顔には出さずにいたが声が上ずっていた。
「いい反応ね。でもドンドン攻めるわよ!」
操はクラウドとの距離を一気に詰めて攻め始めた。
「……うっ……くそっ……」
先ほどとは打って変わってクラウドは防戦一方になった。操自身自覚していないが、操の剣はみるみるウチに速くなっていった。それもそのはず、操は剣を振るったのはこれが2度目なのだ。初めの戦闘では我を忘れひたすら剣を振り回したが、今回は訓練。実戦ではなく、意識して剣を振るうことで剣の扱いを今まさに覚えているのだ。
――凄いわ。この子、アタシの剣を全部受けてる。一体どうやったらこの子にアタシの剣は届くんだろう――
更に操の剣は速度を増していった。
「……や……やば――」
――ここだわ――
押し寄せる剣撃に圧倒されたクラウドの剣はわずかに弾かれた。操はその隙を逃さずクラウド目掛けて最速の剣を振るった。
シュッ
操の剣は見事にクラウドを捕らえた。
「やったわ!」
操が喜びの声を挙げクラウドを見た時、本来あるべき場所にクラウドの首は見当たらなかった。
代わりにおびただしい量の血液が首から吹き出し、クラウドの身体は後ろへ倒れた。
「あ……」
状況を理解した操はそれ以上言葉が出なかった。
「ク……クラウド……」
グライスは目を大きく見開き、膝から崩れた。
「ご……ごめんなさ~い……」
この後操は魔王にメチャメチャ怒られた。
「ご、ごめんなさいね。アタシ思わず……」
「ごめんで済むか! お前、父上に続いて俺まで殺すつもりだったろ!」
「そ、そんなことないわ! アタシ、アナタのお母さんになろうと――」
「黙れ! 誰がそんなこと望むか! それに俺の母上は死んでない!」
「え? でもせめて父親代わりに――」
「必要ない! グライス様が親身になってくれている。本来、お前なんて必要ないんだ」
ガーン
――そこまで言わなくても――
「クラウド。そう邪険にすることも無いだろう」
「グライス様……」
クラウドの言葉にショックを隠し切れないでいるとグライスが助け船を出してくれた。
「たしかにデュアリスは操様に殺された。だが、戦とはそういうものだ。互いに命のやり取りをやった結果なんだ。そこは理解しているだろう?」
「……はい……」
「それに、これはまたとないチャンスではないか」
「えっ?」
「父デュアリスを殺した相手と剣を交えるのだ。こんな機会マタとないだろ」
「た、確かに……」
「お前は父を超える逸材だ。父を討った相手の剣技を学び、それを超えるべく鍛錬をするべきだ」
珍しくグライスの言葉に熱を感じた。それだけクラウドのことを気にかけているのだろう。
――親と子供ってよりおじいちゃんと孫って感じね――
二人のやり取りを見ていた操は一人涙を流していた。クラウドの父を殺したことは忘れて。
「わかりました。グライス様、俺絶対父上を超える剣士になって見せます! おい、お前。魔王様の命令とは言え、不本意ながら指導を受けてやる。そして必ずお前を超えて見せるぞ!」
――なんてひたむきなの。ほんとカワイイわ――
「いいわ。これも何かの縁。アタシの全部、見せちゃうわ」
――何なら裸の付き合いもOKよ――
「いくぞ!」
クラウドは操目掛けて斬りかかった。
――えっ? はやっ――
操が剣を構えるより先にクラウドの剣は操に迫っていた。
その剣は操の髪を数本切り空を割いた。
「ちっ。いけたと思ったんだけど」
「な、なかなかやるじゃない。ちょっと小股が濡れちゃったわよ」
――マジで――
「スグにそんな冗談言えなくしてやる――」
言い終わる前にクラウド斬撃が操を襲った――だが、操はヒラリと剣を躱した。
尚もクラウドは操へ技を繰り出した。しかし、どれも操へは届かなかった。
「くっ……」
技のすべてがすかされ、クラウドは苛立っていた。
――この子の剣、面白いわ。ドンドン速くなっていく――
クラウドとは裏腹に操はクラウドの剣を楽しんでいた。実際、クラウドの剣捌きは素晴らしく剣を振るう度メキメキ上達していき、何度も操は股間を濡らした。それでもすべての攻撃を躱すことが出来たのは操の尋常ではない野生の感があってのことだった。
「アナタ流石ね、気を抜いたらやられそうだわ」
「そう言ってまだ余裕がありそうだぞ。俺の修行なんだ。躱してばかりいないで少しは攻めて来いよ」
「あらそう? 眼も慣れてきたし、お言葉に甘えて攻めさせてもらおうかしら――」
キィン
操は言い終わるより先に剣を振った。剣で受け止めたクラウドはその勢いで数m後退したが、その剣速に驚きの表情を浮かべた。
「ヒャッヒャッ……これはこれは」
グライスも顔には出さずにいたが声が上ずっていた。
「いい反応ね。でもドンドン攻めるわよ!」
操はクラウドとの距離を一気に詰めて攻め始めた。
「……うっ……くそっ……」
先ほどとは打って変わってクラウドは防戦一方になった。操自身自覚していないが、操の剣はみるみるウチに速くなっていった。それもそのはず、操は剣を振るったのはこれが2度目なのだ。初めの戦闘では我を忘れひたすら剣を振り回したが、今回は訓練。実戦ではなく、意識して剣を振るうことで剣の扱いを今まさに覚えているのだ。
――凄いわ。この子、アタシの剣を全部受けてる。一体どうやったらこの子にアタシの剣は届くんだろう――
更に操の剣は速度を増していった。
「……や……やば――」
――ここだわ――
押し寄せる剣撃に圧倒されたクラウドの剣はわずかに弾かれた。操はその隙を逃さずクラウド目掛けて最速の剣を振るった。
シュッ
操の剣は見事にクラウドを捕らえた。
「やったわ!」
操が喜びの声を挙げクラウドを見た時、本来あるべき場所にクラウドの首は見当たらなかった。
代わりにおびただしい量の血液が首から吹き出し、クラウドの身体は後ろへ倒れた。
「あ……」
状況を理解した操はそれ以上言葉が出なかった。
「ク……クラウド……」
グライスは目を大きく見開き、膝から崩れた。
「ご……ごめんなさ~い……」
この後操は魔王にメチャメチャ怒られた。
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