7 / 23
事情
しおりを挟む
薬師が扱える薬草は、主に2種類ある。
一つは、いわゆる普通のハーブだ。栽培も比較的簡単で、順応性に長けている。そしてこの国以外でも育てることが可能だ。
もう一つは、リング・ハーブ。国の中でも限られた場所で栽培され、徹底した管理下に置かれている。この国の資源であり、財産だ。使う際も細かい手続き、そして何よりリング・エルフと呼ばれるものが必要となる。
――リング・エルフ
それは、この国と昔から共存してきた、妖精族だ。歴史は国の誕生まで遡るという。人々と何らかの契約を交わして以来、薬師とその助手という
形で、この国を守ってきた。
薬師の試験に合格すれば、リング・エルフが一人、与えられることになっている。
とはいっても、相性もある。だから試験に合格したらまず、定められた場所でリング・エルフに選ばれなければならない。
助手である立場にも関わらず、選ばれる側なのはどうなのか、という話もある。だが彼らがいないと、本当の意味で薬師として、力を発揮できないのもまた確かだ。
「どうして選ばれなかったの?」
できあがった保存食を、ライトは容器に詰める。その横で、マリーは訊いた。ちょこちょこ、つまみ食いをしているが、ライトはあえて見なかったことにしている。
「リング・エルフって、確かに相性も大事だけど、よっぽどのことがなければ、選ばれないってこともないんでしょう」
「……わかんねーよ、そんなの」
少女の言うとおりだった。
よほどのことがない限り、選ばれない、なんてことはない。
実際、ライトもそう聞いていた。だから、そんなに問題はないと思っていたのだ。
まさか、そんなところで引っかかるとは思っていなかったのだ。
なのにライトは、選ばれなかった。
どのリング・エルフからも。
珍しいこともあって、その事実は瞬く間に広がった。
「えーっと、つまりそのせいで、家を追い出されちゃったってこと?」
少女は無邪気に尋ねてくる。
「……まあ、な」
実際には、帰るに帰れない、といったところだった。
一つは、いわゆる普通のハーブだ。栽培も比較的簡単で、順応性に長けている。そしてこの国以外でも育てることが可能だ。
もう一つは、リング・ハーブ。国の中でも限られた場所で栽培され、徹底した管理下に置かれている。この国の資源であり、財産だ。使う際も細かい手続き、そして何よりリング・エルフと呼ばれるものが必要となる。
――リング・エルフ
それは、この国と昔から共存してきた、妖精族だ。歴史は国の誕生まで遡るという。人々と何らかの契約を交わして以来、薬師とその助手という
形で、この国を守ってきた。
薬師の試験に合格すれば、リング・エルフが一人、与えられることになっている。
とはいっても、相性もある。だから試験に合格したらまず、定められた場所でリング・エルフに選ばれなければならない。
助手である立場にも関わらず、選ばれる側なのはどうなのか、という話もある。だが彼らがいないと、本当の意味で薬師として、力を発揮できないのもまた確かだ。
「どうして選ばれなかったの?」
できあがった保存食を、ライトは容器に詰める。その横で、マリーは訊いた。ちょこちょこ、つまみ食いをしているが、ライトはあえて見なかったことにしている。
「リング・エルフって、確かに相性も大事だけど、よっぽどのことがなければ、選ばれないってこともないんでしょう」
「……わかんねーよ、そんなの」
少女の言うとおりだった。
よほどのことがない限り、選ばれない、なんてことはない。
実際、ライトもそう聞いていた。だから、そんなに問題はないと思っていたのだ。
まさか、そんなところで引っかかるとは思っていなかったのだ。
なのにライトは、選ばれなかった。
どのリング・エルフからも。
珍しいこともあって、その事実は瞬く間に広がった。
「えーっと、つまりそのせいで、家を追い出されちゃったってこと?」
少女は無邪気に尋ねてくる。
「……まあ、な」
実際には、帰るに帰れない、といったところだった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる