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2章
旅支度
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時刻は朝。9時40分を時計の針が指している。
浴室でシャワーを浴びている音が聞こえてきて、意識が覚醒してきたようだ。
「なんで、ゆきじもあかちゃも起こしてくれないの~」とむにゃむにゃと声にするが返事は返ってこない。当たり前だ。都市に入ってから呼び出していないのだから。そんなことにも気づかない程度にはいまだ眠気から抜け出せていないようだ。
浴室からバスタオルを巻いたニーナが出てくる。
「まだお眠かなー?そろそろ朝ごはん食べたいなあ。起きてくれないならフローラちゃんたべちゃうぞー」
本気か冗談か区別のつきにくい声音で話しかけてくるニーナさんの昨日のことを思い出したフローラはしゅばっと起きる。
「お、おはようございます!すぐ顔洗ってくるので朝ごはんにしましょう!!」
ベッドから跳ねるように起き、洗面台に向かうフローラ。
「まあ、フローラちゃんったら。可愛いなあ」くすくすと笑いながらのんびり着替えをするニーナ。
朝食はカフェで済ますことにしたため、荷物は部屋に置いてきてある。
「お待たせいたしました。こちらモーニングセットになります。お飲み物のミックスオレにゃ。…です」
猫人のウェイトレスが語尾が訛ってしまって言い直しながらご飯を運んできた。
働き始めて日が浅いのかもしれないね、と目配せしてくる。
特別気にしないようにしよう、うん。お皿の上にはソーセージにスクランブルエッグ、豆サラダ。フレンチトーストとアイスクリームのデザートがついている。ナイフとフォークが用意されているので手に取る。
大抵はお茶をしにきている客層の中で、はらぺこでもぐもぐと遅めの朝食をカフェでとっているのは私たちくらいだろう。
食事もある程度食べ、お互い一息つくと、フローラから話し掛ける。
「ニーナさんは午後から買い出しですか?もしよかったらすること特にないですしついていこうかな~、なんて。」
「あら!うれしいわ。買い出しは終わっちゃったんだけど、ちょっと付き合ってほしいところあるのよね~」
「ええ!いつの間に?!」
「フローラちゃんが寝てる間にね」
「な、なるほど…。それじゃ付き合って欲しいことって?」
「私の友人なんだけど、ちょっと紹介しておこうかなって」
「ニーナさんのお友達ですかっ、うれしいなあ。」
にこっと、はにかみながら言うと
「ああ、その言葉伝えてあげたいわ。でもその前にちょっと荷物詰め込めてるか確認してからになっちゃうけどいい?」
「もちろんですよー、任せっぱなしですみません。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げ、感謝する。
「んん、引き受けたの私だし頭下げてまで感謝しなくていいのよ。ささ、残りのデザートも食べちゃいましょ」
少し溶けかけたアイスをスプーンですくう。ひんやりとろっとした舌ざわりでおいしい~。母さまとはシャーベットや氷なんかは夏になると作って食べて、涼んだりしたけどお店で売られているものはやっぱり味が違うなあと味わいながら思う。
完食して、お代を1銅貨支払い、お店を出る。
まず向かうのは馬車小屋だ。商館に併設されている小屋へ入ると、色んな馬車が等間隔に並んでいる。白黒のモダンな馬車や質素なものから豪勢に作られているもの、機能性に特化したものなど商人ごとに個性があるようだ。
色んな馬車を通り過ぎ、ニーナさんが足を止める。
「これが私たちの乗ってく荷馬車だよ~、へへ」
なんていうか、良くも悪くもない地味な馬車だ。赤い屋根のついた木製の荷車に真っ黒な毛並みに屋根と同じ赤い目の馬だ。
「ここ外観にこだわってるのたくさんあるし、平凡だなーって思ったでしょ?」
「えっと、少しだけ…?でもでもニーナさんに初めて会った時のもこんな感じだったし、寧ろここにあるのが異色のような…」
「ふふ、そうね。確かにちょっとこだわり過ぎよね~。」
「こんなに派手なのに乗ってたら襲われちゃいそうですよね?」
「フローラちゃんの言う通り盗賊なんかに襲われるリスクもあるけど、認知度は抜群だし噂にしやすいから商人としてはコネを作りやすくなるってメリットもあるのよ。それでここの商人たちはちょっと個性的なのを愛用してるの。」
「なるほど~、荷馬車のデザインにはそんな意味があったんですね。でもなんでコネが作りやすくなるんです??」
「リスクを背負いながらでも、品物の流通を安全に行えますよってアピールになるからかな。どうせ取引するなら欲しいモノを安全に確実に運んできてほしいと思うのが普通でしょ?」
「たしかに…。そんな風に考えられた設計だったんですね。」
「ま、私はそこまでリスクを負ってまで認知度を上げたいとかもないからね。やっぱり襲われないのに越したことないし!」
「フローラちゃんはもっとおしゃれなデザインのがいい?」
ぶんぶんぶんと首を横に振る。
「危険なのはできたら遠慮したいです!」
「あはは、そかそか!じゃあ荷物の確認だけしちゃおっか!」
「はい!」
今回買い出ししたのは、干し肉、小麦、塩、香草の4つらしい。それぞれ袋にまとまって分けられて積まれている。
「あの、これって自炊するかんじですか?」
「そうそう!保存食って高いし、それなら自分たちで作ったほうが安く済んだし!」だめだった?」
「いえ!でもうまく作れるかはすこし不安ですけど…」
「ふふ、大丈夫よ。大したもの作るわけじゃないし、失敗してもなんとかなるよ、うん」
フローラは挑戦してもない状態で心配するのもどうかと考え直し、あまり深く考えないようにすることにする。
「一応、全部揃ってるわね」
二人で一通り中身が痛んでないかなどの確認をし終えると、時刻は12時を過ぎたようだ。
「それじゃ、そろそろ私の旧友を紹介したいし、移動しちゃおっか」
「なんだか、どきどきしますねっ。仲良くしてもらえるかな」
「そんな心配しなくても大丈夫だよ~」といいながら抱き着いてくるニーナさん。
基本お姉さんのように接してくれるけど、愛情表現がちょっとオーバーなような…気がしながら二人はニーナさんの旧友のもとへ足を運ぶのであった。
浴室でシャワーを浴びている音が聞こえてきて、意識が覚醒してきたようだ。
「なんで、ゆきじもあかちゃも起こしてくれないの~」とむにゃむにゃと声にするが返事は返ってこない。当たり前だ。都市に入ってから呼び出していないのだから。そんなことにも気づかない程度にはいまだ眠気から抜け出せていないようだ。
浴室からバスタオルを巻いたニーナが出てくる。
「まだお眠かなー?そろそろ朝ごはん食べたいなあ。起きてくれないならフローラちゃんたべちゃうぞー」
本気か冗談か区別のつきにくい声音で話しかけてくるニーナさんの昨日のことを思い出したフローラはしゅばっと起きる。
「お、おはようございます!すぐ顔洗ってくるので朝ごはんにしましょう!!」
ベッドから跳ねるように起き、洗面台に向かうフローラ。
「まあ、フローラちゃんったら。可愛いなあ」くすくすと笑いながらのんびり着替えをするニーナ。
朝食はカフェで済ますことにしたため、荷物は部屋に置いてきてある。
「お待たせいたしました。こちらモーニングセットになります。お飲み物のミックスオレにゃ。…です」
猫人のウェイトレスが語尾が訛ってしまって言い直しながらご飯を運んできた。
働き始めて日が浅いのかもしれないね、と目配せしてくる。
特別気にしないようにしよう、うん。お皿の上にはソーセージにスクランブルエッグ、豆サラダ。フレンチトーストとアイスクリームのデザートがついている。ナイフとフォークが用意されているので手に取る。
大抵はお茶をしにきている客層の中で、はらぺこでもぐもぐと遅めの朝食をカフェでとっているのは私たちくらいだろう。
食事もある程度食べ、お互い一息つくと、フローラから話し掛ける。
「ニーナさんは午後から買い出しですか?もしよかったらすること特にないですしついていこうかな~、なんて。」
「あら!うれしいわ。買い出しは終わっちゃったんだけど、ちょっと付き合ってほしいところあるのよね~」
「ええ!いつの間に?!」
「フローラちゃんが寝てる間にね」
「な、なるほど…。それじゃ付き合って欲しいことって?」
「私の友人なんだけど、ちょっと紹介しておこうかなって」
「ニーナさんのお友達ですかっ、うれしいなあ。」
にこっと、はにかみながら言うと
「ああ、その言葉伝えてあげたいわ。でもその前にちょっと荷物詰め込めてるか確認してからになっちゃうけどいい?」
「もちろんですよー、任せっぱなしですみません。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げ、感謝する。
「んん、引き受けたの私だし頭下げてまで感謝しなくていいのよ。ささ、残りのデザートも食べちゃいましょ」
少し溶けかけたアイスをスプーンですくう。ひんやりとろっとした舌ざわりでおいしい~。母さまとはシャーベットや氷なんかは夏になると作って食べて、涼んだりしたけどお店で売られているものはやっぱり味が違うなあと味わいながら思う。
完食して、お代を1銅貨支払い、お店を出る。
まず向かうのは馬車小屋だ。商館に併設されている小屋へ入ると、色んな馬車が等間隔に並んでいる。白黒のモダンな馬車や質素なものから豪勢に作られているもの、機能性に特化したものなど商人ごとに個性があるようだ。
色んな馬車を通り過ぎ、ニーナさんが足を止める。
「これが私たちの乗ってく荷馬車だよ~、へへ」
なんていうか、良くも悪くもない地味な馬車だ。赤い屋根のついた木製の荷車に真っ黒な毛並みに屋根と同じ赤い目の馬だ。
「ここ外観にこだわってるのたくさんあるし、平凡だなーって思ったでしょ?」
「えっと、少しだけ…?でもでもニーナさんに初めて会った時のもこんな感じだったし、寧ろここにあるのが異色のような…」
「ふふ、そうね。確かにちょっとこだわり過ぎよね~。」
「こんなに派手なのに乗ってたら襲われちゃいそうですよね?」
「フローラちゃんの言う通り盗賊なんかに襲われるリスクもあるけど、認知度は抜群だし噂にしやすいから商人としてはコネを作りやすくなるってメリットもあるのよ。それでここの商人たちはちょっと個性的なのを愛用してるの。」
「なるほど~、荷馬車のデザインにはそんな意味があったんですね。でもなんでコネが作りやすくなるんです??」
「リスクを背負いながらでも、品物の流通を安全に行えますよってアピールになるからかな。どうせ取引するなら欲しいモノを安全に確実に運んできてほしいと思うのが普通でしょ?」
「たしかに…。そんな風に考えられた設計だったんですね。」
「ま、私はそこまでリスクを負ってまで認知度を上げたいとかもないからね。やっぱり襲われないのに越したことないし!」
「フローラちゃんはもっとおしゃれなデザインのがいい?」
ぶんぶんぶんと首を横に振る。
「危険なのはできたら遠慮したいです!」
「あはは、そかそか!じゃあ荷物の確認だけしちゃおっか!」
「はい!」
今回買い出ししたのは、干し肉、小麦、塩、香草の4つらしい。それぞれ袋にまとまって分けられて積まれている。
「あの、これって自炊するかんじですか?」
「そうそう!保存食って高いし、それなら自分たちで作ったほうが安く済んだし!」だめだった?」
「いえ!でもうまく作れるかはすこし不安ですけど…」
「ふふ、大丈夫よ。大したもの作るわけじゃないし、失敗してもなんとかなるよ、うん」
フローラは挑戦してもない状態で心配するのもどうかと考え直し、あまり深く考えないようにすることにする。
「一応、全部揃ってるわね」
二人で一通り中身が痛んでないかなどの確認をし終えると、時刻は12時を過ぎたようだ。
「それじゃ、そろそろ私の旧友を紹介したいし、移動しちゃおっか」
「なんだか、どきどきしますねっ。仲良くしてもらえるかな」
「そんな心配しなくても大丈夫だよ~」といいながら抱き着いてくるニーナさん。
基本お姉さんのように接してくれるけど、愛情表現がちょっとオーバーなような…気がしながら二人はニーナさんの旧友のもとへ足を運ぶのであった。
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