テイマーですが何か?

姓名は無し

文字の大きさ
86 / 99
2章

マグナ大森林part25

しおりを挟む
フローラは魔力の奔流をかき分け、辿り着くと、ブリザードは止み、嘘のような銀世界ならぬ氷世界が広がっていた。一帯を覆い尽くし最大厚さ20C(せるち)はあるのではないかと思われる氷の彫刻の中に樹々の葉一枚一枚に至るまで凍っていた。地面は鏡のようで自分の姿が鮮明に見えるほどだ。
耳を澄ませると話声が聞こえてくる。声の主はおそらく二人だけだろう。
澄んだ声で言い争っている中の端端に“フローラ”の名が飛び交っているような…。
もしかして…。そうであってほしくない。と願いながら突き進んだ先に見た光景は…。

フローラはシヴァの争っている相手がシヴァであって欲しくない。そんなわけない。薄々気づいていながらも信じたくない自分が居た…が、そんな思いは粉々に打ち砕かれた。
華麗に演舞でも踊っているような洗練された動きとは裏腹に罵り合っている精霊王たる姿が見えた。
「この分からず屋!」「うっさい、チビ!」
「姉さんも身長変わらないだろ!」「私の方が二mm(みるち)おっきいもんねー!」
「ぐ、うあーーーー!!!」
口論の内容が下らなさ過ぎる…。
シヴァ同士…姉弟喧嘩?にしては規模がデカすぎる。現実の光景に目も当てられず、話声すら頭に入ってこない。
シヴァ達が苦戦する程の敵でも現れたのかと心配したのもバカらしくなり、だんだんと怒りが湧いてくる。
「すーーーーとーーーーーーーーーっぷ!!!!!!」
フローラはあらん限りの声で叫んだ。

ビクッと反応し、体がピタっと止まる。
無我夢中でやり合っていた二人は冷静になったのかそろーっと此方に歩み寄ってくる。
「これはどういうことなの…?」
「にこにこしながら怒る所は母親譲りか(なのね)…?!」
「で?」
「「すみませんでした…!!」」

一通り説明を終えると、フローラは機嫌を直したようだ。
「なんで今まで言ってくれなかったの?喋れるなら話してくれていいのにー。」
「結構魔力使うでしょ?僕達が力を開放してるとさ。」
「んー、確かに倍くらいには疲れるけど大したことないよ?それで近くに指輪があるってホントなの?!」
「うん、私達を信じなさい。(流石魔女の娘だね)」目配せしてくる弟が何を言いたいのか察したシヴァ(姉)だが、無視してフローラの問いに自信たっぷりに応える。
フローラは、パァっと顔を明るくする。そこで一つ疑問に思ったことを聞いてみる。
「てことは、他のも何処にあるか分かったりするの…?近くまで来ないと分からない…?」
シヴァはお互い目配せし、頭を捻る。少しの間沈黙が続いた後、シヴァ(弟)が口を開いた。
「うーん…。今回はどうゆうわけか魔力を向こうから放出してくるもんだから分かっただけなんだよね。」
「え…っと…。どういうこと?誰かが使いこなしてるとか?」

「そーゆーのじゃないとは思うよ。少なくと僕達が此処に辿り着いた時から反応はあったし。もしこんなにずーっと魔力を注ぎ込んでたらフツーは死んでると思うし?(君なら余裕なんだろうけどさ!)まあ、今回は僕達に任せてよ。」ウインクしながらフローラに宣誓する。
「そっかぁ。じゃあ、頼りにしてるからね。取り敢えずは一旦戻りましょ。ニーナさん達心配だもん」
「「ハーイ」」
「あ、次こんな事起こしたら許さないからね?」微笑みながらシヴァに諭すように語り掛ける。
「「はぃ…。」」笑みを崩さないフローラの顔に母親の顔を幻視(み)た精霊王は全身に悪寒が走り顔を強張らせた。

くるりと方向転換した一行は、ニーナ達の待つ馬車へ戻るのであった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...