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2章
休息 PART2 回復魔法キ
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張り切ってみたものの、大してやることがない。
土地勘があり、擬態の得意なトレントとゴブリンのアシシとイシシにミネストロ池の正確な位置と根城について調べてくるようお願いして…里の周りを一周して巡回してみたけど…、魔物一匹見当たらないとは…。夕方~夜にかけて活発化しているのか、単にこの辺りの魔物を一掃してしまっているのか・・・。
「私することなくない…?」
フローラは里の中央広場に腰を下ろしている。こうも平和だとスライムのあかちゃとゆきじですら、二人で戯れて遊んでしまう始末。
それに比べて…ミルトは一件一件見て回っているようだ。さらりとした薄緑色のボブヘアが邪魔になったのか片耳に掛けて、あくせく任された仕事に従事している姿は凛々しくも可愛くも見える。。感謝している猫人達にはどのように見えているのだろうか。
私も何かしたいな~。と考えていると、ミルトに貰ったスクロールを思い出した。
杖を置き、暇潰しに、ミルトのくれたスクロールをポーチから取り出す。
「確かこうやって、手を翳すんだよね?」翳している左手に魔力を込めるとスクロールが淡黄色に光り出す。
すると、描かれた魔法陣が螺旋状に形を変え、五指に分かれて収束していくのが分かる。
ぽわぁっと魔法の残像が直接、頭に語り掛けてくる。
【 生者に慈悲を 】
【 癒せ 】
【 聖者は願わん 】
【 其の者に祝福を 】
【 届け 】
【キュア】
フローラは聞こえたまま、言葉にしてみる。
左手に収束していた魔力が、ほんのり温かみを帯び左手を包み込む。
十数秒間掛けて、送り込んだ魔力が発散されていくのが分かる。
魔法として維持できなくなると、光はスクロールに還り、魔法陣に戻っていく。
スクロールを使い、何度も試行してみたが、結果は同じ。
「魔法は発動してたっぽい…?追体験ってことはただ再現できただけなのかな…?」
こういうものなのかな…。実験に使う様で悪いけど…
「ゆきじ~、あかちゃ~。ちょっときて?」
フローラに呼ばれると、さっと反応し、こちらにぷにぷに跳ねながら駆け寄ってくる。
膝の上に乗り、こちらをじーっと見つめ、次の指示を待っている。
「ちょっと新しく覚えてる魔法使ってみるから、じっとしててね。」
ゆきじとあかちゃは実験台か?!おい!!!とでも言いたそうな反応だ。
でも、逃げようとしないので、フローラは肯定の意と取る。
【 生者に慈悲を 癒せ 聖者は願わん 其の者に祝福を 届け 】
【キュア】
スクロールを使用した時と、同じように魔法が発動する。
淡い光に包まれるゆきじとあかちゃ。
光が拡散され、二匹の様子をみる。
「どう…?」
首を傾げ、顎に左手を当てているフローラの真似事でもするようにゆきじとあかちゃも体を器用にくねらせる。
「そう言えばあなた達ケガらしいケガしてなかったわ…。」
根本的な問題で、ケガがなければ効果も表れない。
どうしたものか…。視界に映しだされている光景には負傷した猫人(キャットピープル)が…。
ミルトの治療の噂を聞きつけた猫人(キャットピープル)が、ちらほらと木製の家から出てきているのだ。安静にしていなければならない患者から診て回っているのか、足や腕を負傷した人は順番を待っている様だ。
私も覚えたてだけど…少しは助けになるかな…?
杖を持ち、立ち上がり、辺りをキョロキョロ見渡す。
ちょうど家から出てきたばかりの片腕に添え木を当てている猫人に話し掛ける。
「おはようございます。フローラです。あそこに入って行った、ミルト君の治療待ちですか?」
薄緑色の髪の少年が案内されながら、家に入っていくのを指で指し示しながら訪ねる。
「フローラ嬢、おはようございますにゃ。そうにゃんだ、俺っちのこの腕、骨に罅でも入ってるっぽいんだけど、多分来てくれるのは午後くらいかもにゃ…。それと教えてくれてありがとうにゃ!」
「教えてくれて?わたし何か言いましたっけ…?」
「にゃはははは。ここから見る限りじゃ、ありゃてっきり女子かと思ってたにゃ…。女先生かと思ってたのに男先生だったって、にゃったら驚きを隠せなかったんじゃにゃいかってね。」
「あ、ああ…。なるほど…。」
少しばかり同情したフローラは、温かい視線をミルトへ送る。
キィー、バタン。扉が閉まるとともに、ミルトは視線を感じたような気がした。
頑張って。って誰かがエールでも送ってくれたのかな?
ミルトはベッドで安静にしている患者の下へ張り切って向かうのであった。
「それで、フローラ嬢は何かあったんじゃにゃいか?ん??」
「あ、そうなんです。わたしも回復魔法がちょっと使えるようになったので効果はミルト君より劣るかもですが…」
「にゃーるほど!そいつは助かる。ちょいとばかし、やってみてくんねえかにゃ?!」
快諾した様子で、焦げ茶色の縞柄の彼(猫人)は負傷した右腕をフローラの前に出してくれる。
「それじゃあ、やってみますね。」
【 生者に慈悲を 癒せ 聖者は願わん 其の者に祝福を 届け 】
【キュア】
右腕に両手を添え、回復魔法を唱える。
フローラの両手から淡い光が収束し出し、患部を包み込んでいく。
「どうですか…?少しは楽になりましたか?」
恐る恐る右腕を動かしてみる。曲げたり捻ったりしても痛みはなさそうだ。少し力を入れ、物を持ったり、軽く動かしていく内に、表情が次第に明るくなっていく。
「フローラ嬢…治ったにゃ!!全然イタくにゃい!!暇なら他のヤツもやってくれにゃ?!」
「ええ、わたしで良ければ。」
だいぶ集中しなきゃだけど…効果は上々?…ただ、覚えたての魔法を使うのって、違和感というか、何というか…無駄を感じちゃうわ。
自分の世界に入って、【キュア】について分析していると…。
続々と、フローラの下にも怪我人が集まり出す。
「へへ、フローラ嬢!呼んできたにゃ!!後は任せたにゃ!」先程、実験台1号にした彼(猫人)がビシっと親指を立てて、はにかんでいる。
何て言って触れ回ってきたのか、フローラの前には、あっという間にそこそこの列が既に出来ていた。
「フローラの嬢ちゃん、感謝するぜ。ありがとにゃ!!」
「いえ、どういたしまして。」
時刻は正午。
幸いにも襲撃はなく、あれからずっと治療していたフローラは一区切りついたようだ。
ティガの邸宅に戻って一休みすることにした。
邸宅に戻ると、ティガに仕えている侍女達が出迎えてくれる。案内されるがまま、移動すると食卓に着く。
「フローラさま、此方にどうぞ。お食事の方、温かいうちに召し上がって下さいませ。」
「…ありがとうございます。では、お先に、いただきますね。」
フローラの椀にスープなどが盛られていく。
どうやら、一番らしい。ミルト、ニーナやティガの姿は見えない。
ティガに関しては朝の段階から見てはいないが、ニーナの姿も見かけない。遠出してるのかな?
玄関の扉が開く音が聞こえる。
スープをスプーンで掬い、飲んでいるとミルトがやってきたようだ。
「ふろ~らぁ~。おつかれさまぁ。」
「わぁ…。お疲れ様、ミルト。」
顔を見てみると、げっそりとしている。魔法の使用限界ぎりぎりまで魔力を使い果たしたのだろう。
フローラは隣に座るミルトに、【ヒーリング】を掛けながら労う。
「そっちは大変みたいね。」
「うん、思いの外、怪我が酷くてね。ここに戻る途中、フローラも手当てを手伝ってくれてたんだってね。ありがとうね。到底、僕一人じゃ、診切れないから助かったよ。」
「んん、ミルトに教えてもらった魔法のおかげだよ。【キュア】を覚えてなかったら、骨折してる人とか絶対治せなかったしさ。」
さらっと【キュア】を覚えたことをミルトに伝えると、自身の成長に自然と笑みが溢れる。
「ぶふぅっ?!?!?!?ごほごほっっっつ?!?!?」
可愛い過ぎる天使の笑みに加え、【キュア】をマスターしたフローラの才能に頭がパンクしかける。
「?!ちょ、ちょっと…。もう、大丈夫?」
咽るミルトの背中をトントンと叩く。落ち着きを取り戻したミルトが動揺しながら、質問してくる。
「あ、ああの今朝あげたスクロールをもう覚えたっていうの??!」
何をそんなに動揺しているのか…。咳払いを一つすると、落ち着き払った声音でフローラは答える。
「ええ、そうよ。余りにも退屈でさ、小一時間はみっちり練習したもん。なんなら、お披露目する?」
信じていないわけではないが、ミルトは【キュア】を一時間程でマスターしたという少女の申し出に願ったり叶ったりとばかりに頷いてみせる。
「それじゃ、いくよ。」
パンを置き、ミルトに向かって両手を添え、詠唱を始める。
【 生者に慈悲を 癒せ 聖者は願わん 其の者に祝福を 届け 】
【キュア】
ミルトの全身はフローラの回復魔法【キュア】の光に包まれる。
ミルトに傷はない。だが、【ヒーリング】以上の魔力回復が起きている事が知覚出来た。
「ホント凄いや…。【キュア】はマスターしたんだね。」才能とはこういう事を言うのだろうか。最短でも数カ月は掛かる中級魔法をいとも簡単に覚えてしまうフローラに畏怖すら覚えてしまう。
「ええ、それじゃ【ヒーリング】に切り替えるね。【キュア】じゃ、魔力回復はできないもんね。」
「あ、あぁ…そういう事なら【キュア】を掛けてもらってもいい?ちゃんとした魔法効果を説明してなかったから誤解してるみたい。キュアには中程度の外傷だけじゃなくて、一部の状態異常や魔力回復効果もあるんだ。二つの能力の違いを簡潔に説明するとね…」
【キュア】…肉体的損傷(中)及び、一部の状態異常回復(毒、麻痺)、魔力回復(小)
【ヒーリング】…自己治癒能力の向上、肉体的損傷(小)、魔力回復(微小)
「どう、分かった?」ミルトは手帳を取り出し、書いて分かり易く説明してくれる。
「じゃあ、結構万能な魔法なんだね。道理で覚えるの大変だったわけかぁ。」理解を示した様子で、フローラはミルトに相槌を打つ。
【キュア】は【ヒーリング】の完全上位互換ってことかぁ。分かってはいたけど、すぐ使えた【ヒーリング】と比べて、練習が必要だったわけね。ミルトがパーティーに重宝?されていたのが分かる気がした。
食後、全回復したミルトはフローラに【リフレッシュ】と【リヒール】、【バニッシュ】の3魔法を【キュア】と同様の形でスクロールに記し、手渡した。
「ごめん。スクロールが足りなくて、厳選したんだけど、僕が今教えられる魔法だよ。」
スクロールの裏に効果は書いておいたから、覚えたいものから順に覚えてみて。とだけ言い残して、午後の巡回に診て回りに行ってしまった。
回復魔法をミルトに掛けていたので、結局ミルトより食べるのが遅くなってしまったフローラも、侍女達に挨拶して家を出る。
土地勘があり、擬態の得意なトレントとゴブリンのアシシとイシシにミネストロ池の正確な位置と根城について調べてくるようお願いして…里の周りを一周して巡回してみたけど…、魔物一匹見当たらないとは…。夕方~夜にかけて活発化しているのか、単にこの辺りの魔物を一掃してしまっているのか・・・。
「私することなくない…?」
フローラは里の中央広場に腰を下ろしている。こうも平和だとスライムのあかちゃとゆきじですら、二人で戯れて遊んでしまう始末。
それに比べて…ミルトは一件一件見て回っているようだ。さらりとした薄緑色のボブヘアが邪魔になったのか片耳に掛けて、あくせく任された仕事に従事している姿は凛々しくも可愛くも見える。。感謝している猫人達にはどのように見えているのだろうか。
私も何かしたいな~。と考えていると、ミルトに貰ったスクロールを思い出した。
杖を置き、暇潰しに、ミルトのくれたスクロールをポーチから取り出す。
「確かこうやって、手を翳すんだよね?」翳している左手に魔力を込めるとスクロールが淡黄色に光り出す。
すると、描かれた魔法陣が螺旋状に形を変え、五指に分かれて収束していくのが分かる。
ぽわぁっと魔法の残像が直接、頭に語り掛けてくる。
【 生者に慈悲を 】
【 癒せ 】
【 聖者は願わん 】
【 其の者に祝福を 】
【 届け 】
【キュア】
フローラは聞こえたまま、言葉にしてみる。
左手に収束していた魔力が、ほんのり温かみを帯び左手を包み込む。
十数秒間掛けて、送り込んだ魔力が発散されていくのが分かる。
魔法として維持できなくなると、光はスクロールに還り、魔法陣に戻っていく。
スクロールを使い、何度も試行してみたが、結果は同じ。
「魔法は発動してたっぽい…?追体験ってことはただ再現できただけなのかな…?」
こういうものなのかな…。実験に使う様で悪いけど…
「ゆきじ~、あかちゃ~。ちょっときて?」
フローラに呼ばれると、さっと反応し、こちらにぷにぷに跳ねながら駆け寄ってくる。
膝の上に乗り、こちらをじーっと見つめ、次の指示を待っている。
「ちょっと新しく覚えてる魔法使ってみるから、じっとしててね。」
ゆきじとあかちゃは実験台か?!おい!!!とでも言いたそうな反応だ。
でも、逃げようとしないので、フローラは肯定の意と取る。
【 生者に慈悲を 癒せ 聖者は願わん 其の者に祝福を 届け 】
【キュア】
スクロールを使用した時と、同じように魔法が発動する。
淡い光に包まれるゆきじとあかちゃ。
光が拡散され、二匹の様子をみる。
「どう…?」
首を傾げ、顎に左手を当てているフローラの真似事でもするようにゆきじとあかちゃも体を器用にくねらせる。
「そう言えばあなた達ケガらしいケガしてなかったわ…。」
根本的な問題で、ケガがなければ効果も表れない。
どうしたものか…。視界に映しだされている光景には負傷した猫人(キャットピープル)が…。
ミルトの治療の噂を聞きつけた猫人(キャットピープル)が、ちらほらと木製の家から出てきているのだ。安静にしていなければならない患者から診て回っているのか、足や腕を負傷した人は順番を待っている様だ。
私も覚えたてだけど…少しは助けになるかな…?
杖を持ち、立ち上がり、辺りをキョロキョロ見渡す。
ちょうど家から出てきたばかりの片腕に添え木を当てている猫人に話し掛ける。
「おはようございます。フローラです。あそこに入って行った、ミルト君の治療待ちですか?」
薄緑色の髪の少年が案内されながら、家に入っていくのを指で指し示しながら訪ねる。
「フローラ嬢、おはようございますにゃ。そうにゃんだ、俺っちのこの腕、骨に罅でも入ってるっぽいんだけど、多分来てくれるのは午後くらいかもにゃ…。それと教えてくれてありがとうにゃ!」
「教えてくれて?わたし何か言いましたっけ…?」
「にゃはははは。ここから見る限りじゃ、ありゃてっきり女子かと思ってたにゃ…。女先生かと思ってたのに男先生だったって、にゃったら驚きを隠せなかったんじゃにゃいかってね。」
「あ、ああ…。なるほど…。」
少しばかり同情したフローラは、温かい視線をミルトへ送る。
キィー、バタン。扉が閉まるとともに、ミルトは視線を感じたような気がした。
頑張って。って誰かがエールでも送ってくれたのかな?
ミルトはベッドで安静にしている患者の下へ張り切って向かうのであった。
「それで、フローラ嬢は何かあったんじゃにゃいか?ん??」
「あ、そうなんです。わたしも回復魔法がちょっと使えるようになったので効果はミルト君より劣るかもですが…」
「にゃーるほど!そいつは助かる。ちょいとばかし、やってみてくんねえかにゃ?!」
快諾した様子で、焦げ茶色の縞柄の彼(猫人)は負傷した右腕をフローラの前に出してくれる。
「それじゃあ、やってみますね。」
【 生者に慈悲を 癒せ 聖者は願わん 其の者に祝福を 届け 】
【キュア】
右腕に両手を添え、回復魔法を唱える。
フローラの両手から淡い光が収束し出し、患部を包み込んでいく。
「どうですか…?少しは楽になりましたか?」
恐る恐る右腕を動かしてみる。曲げたり捻ったりしても痛みはなさそうだ。少し力を入れ、物を持ったり、軽く動かしていく内に、表情が次第に明るくなっていく。
「フローラ嬢…治ったにゃ!!全然イタくにゃい!!暇なら他のヤツもやってくれにゃ?!」
「ええ、わたしで良ければ。」
だいぶ集中しなきゃだけど…効果は上々?…ただ、覚えたての魔法を使うのって、違和感というか、何というか…無駄を感じちゃうわ。
自分の世界に入って、【キュア】について分析していると…。
続々と、フローラの下にも怪我人が集まり出す。
「へへ、フローラ嬢!呼んできたにゃ!!後は任せたにゃ!」先程、実験台1号にした彼(猫人)がビシっと親指を立てて、はにかんでいる。
何て言って触れ回ってきたのか、フローラの前には、あっという間にそこそこの列が既に出来ていた。
「フローラの嬢ちゃん、感謝するぜ。ありがとにゃ!!」
「いえ、どういたしまして。」
時刻は正午。
幸いにも襲撃はなく、あれからずっと治療していたフローラは一区切りついたようだ。
ティガの邸宅に戻って一休みすることにした。
邸宅に戻ると、ティガに仕えている侍女達が出迎えてくれる。案内されるがまま、移動すると食卓に着く。
「フローラさま、此方にどうぞ。お食事の方、温かいうちに召し上がって下さいませ。」
「…ありがとうございます。では、お先に、いただきますね。」
フローラの椀にスープなどが盛られていく。
どうやら、一番らしい。ミルト、ニーナやティガの姿は見えない。
ティガに関しては朝の段階から見てはいないが、ニーナの姿も見かけない。遠出してるのかな?
玄関の扉が開く音が聞こえる。
スープをスプーンで掬い、飲んでいるとミルトがやってきたようだ。
「ふろ~らぁ~。おつかれさまぁ。」
「わぁ…。お疲れ様、ミルト。」
顔を見てみると、げっそりとしている。魔法の使用限界ぎりぎりまで魔力を使い果たしたのだろう。
フローラは隣に座るミルトに、【ヒーリング】を掛けながら労う。
「そっちは大変みたいね。」
「うん、思いの外、怪我が酷くてね。ここに戻る途中、フローラも手当てを手伝ってくれてたんだってね。ありがとうね。到底、僕一人じゃ、診切れないから助かったよ。」
「んん、ミルトに教えてもらった魔法のおかげだよ。【キュア】を覚えてなかったら、骨折してる人とか絶対治せなかったしさ。」
さらっと【キュア】を覚えたことをミルトに伝えると、自身の成長に自然と笑みが溢れる。
「ぶふぅっ?!?!?!?ごほごほっっっつ?!?!?」
可愛い過ぎる天使の笑みに加え、【キュア】をマスターしたフローラの才能に頭がパンクしかける。
「?!ちょ、ちょっと…。もう、大丈夫?」
咽るミルトの背中をトントンと叩く。落ち着きを取り戻したミルトが動揺しながら、質問してくる。
「あ、ああの今朝あげたスクロールをもう覚えたっていうの??!」
何をそんなに動揺しているのか…。咳払いを一つすると、落ち着き払った声音でフローラは答える。
「ええ、そうよ。余りにも退屈でさ、小一時間はみっちり練習したもん。なんなら、お披露目する?」
信じていないわけではないが、ミルトは【キュア】を一時間程でマスターしたという少女の申し出に願ったり叶ったりとばかりに頷いてみせる。
「それじゃ、いくよ。」
パンを置き、ミルトに向かって両手を添え、詠唱を始める。
【 生者に慈悲を 癒せ 聖者は願わん 其の者に祝福を 届け 】
【キュア】
ミルトの全身はフローラの回復魔法【キュア】の光に包まれる。
ミルトに傷はない。だが、【ヒーリング】以上の魔力回復が起きている事が知覚出来た。
「ホント凄いや…。【キュア】はマスターしたんだね。」才能とはこういう事を言うのだろうか。最短でも数カ月は掛かる中級魔法をいとも簡単に覚えてしまうフローラに畏怖すら覚えてしまう。
「ええ、それじゃ【ヒーリング】に切り替えるね。【キュア】じゃ、魔力回復はできないもんね。」
「あ、あぁ…そういう事なら【キュア】を掛けてもらってもいい?ちゃんとした魔法効果を説明してなかったから誤解してるみたい。キュアには中程度の外傷だけじゃなくて、一部の状態異常や魔力回復効果もあるんだ。二つの能力の違いを簡潔に説明するとね…」
【キュア】…肉体的損傷(中)及び、一部の状態異常回復(毒、麻痺)、魔力回復(小)
【ヒーリング】…自己治癒能力の向上、肉体的損傷(小)、魔力回復(微小)
「どう、分かった?」ミルトは手帳を取り出し、書いて分かり易く説明してくれる。
「じゃあ、結構万能な魔法なんだね。道理で覚えるの大変だったわけかぁ。」理解を示した様子で、フローラはミルトに相槌を打つ。
【キュア】は【ヒーリング】の完全上位互換ってことかぁ。分かってはいたけど、すぐ使えた【ヒーリング】と比べて、練習が必要だったわけね。ミルトがパーティーに重宝?されていたのが分かる気がした。
食後、全回復したミルトはフローラに【リフレッシュ】と【リヒール】、【バニッシュ】の3魔法を【キュア】と同様の形でスクロールに記し、手渡した。
「ごめん。スクロールが足りなくて、厳選したんだけど、僕が今教えられる魔法だよ。」
スクロールの裏に効果は書いておいたから、覚えたいものから順に覚えてみて。とだけ言い残して、午後の巡回に診て回りに行ってしまった。
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