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2章

マグナ大森林part32

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一夜明け、気づけば、不可思議なほどに一帯を覆っていた濃霧は晴れている。
「一寸先は霧だったのに、こんなに見通せる程になるなんてね。これってイフリートが起こしてたの?」
「アタシだけど、アタシのせいじゃないわ。自然現象っていうか、保管の仕方のせいね。」
フローラの問いに、サラッと答えてくれる。
「保管の仕方って…?」
「…。」
聞き耳をピンと立てているニーナが思わず、聞くもイフリートは無視(シカト)している。
ガタガタ揺れる馬車はまるでニーナの感情の浮き沈みでも表しているかのようだ。
うぁぁぁん。と嘆く度に運転が荒れるものだから、ミルトは後ろで酔ってしまっている。
シヴァもフローラ以外には大概感心を示すことはないが、話せる事が分かって以来、言葉数は少ないもののニーナやミルトが話し掛けて、無視するような対応はしない。

「まぁまぁ…。もうちょっとしたら心を開いてくれますよ。そんなに落ち込まないで?ニーナさん」
ニーナが落ち込んではフローラが慰め、その度に玉砕するものだから、一向にミルトの酔いはますます酷くなる。

イフリートがだんまりを決め込むので、代わりにシヴァ姉が話し始める。
「私達の指輪が魔力を吸うってことは分かってるわよね。二回も契約してるんだから。まあ、本来人間の持ってる魔力量なんて微々たるものだから何回魔力を込められようと何も起きない筈なんだけどね(契約出来ちゃうアンタ(フローラ)が特別なだけで。)…。でも自然に存在する魔力(マナ)っていうのは人族なんか比にならないくらい潤沢に保有してるわけ。その指輪(私達)を自然界に捨てたとしたら…、自然の魔力(マナ)を大量に吸収し続けるのよ。吸収した魔力は私達の特色・特性を引き継いでしまうから、否が応にも、発散されれば環境に影響を及ぼしてしまうの。私等の場合だと、万年猛吹雪って所かしらね。」
「シヴァ御姉様の言う通りよ。因みにだけどこの程度で済んだのは、水の中だったからよ。最も相性の悪い水属性の魔力(マナ)じゃなかったら、ここら辺なんて火口一色(マグマ)にでも変えて差し上げたのに。」

それじゃ、森が消失してただろうに…。
話を黙って聞いていたフローラ達は冷や汗をかいている。
なくさないようにしないとね…。わたしは自分の左指に付けている二つの指輪をみて、改めて思う。

ミネストロ池一帯の調査も兼ねて馬車で機動力にモノを言わせた探索をしている。
「ねぇ。ちょっとアレ…!!」
ニーナは進路を変えようと、進路上に何かを発見したようだ。
それは肌がべたつくような嫌な臭いも放っている。
結論から言うと、ニーナが見つけたのは死体だった。
以降、“同じような死体”を見つけるも、辺りは閑散としていただけであった。
同じような死体と言ったのは、どの死体も首から上がなかったからだ。
四肢もズタズタに引き裂かれ、何かの拷問にでも遭っていたかのような特徴的な殺され方をしている。

「抵抗の痕がありますね…。誰かと、交戦でもしてたんですかね。」
「ふむ…。ミルト助士もそう思うかね。」
ニーナは犯行を調べる刑事の真似事でもしているのだろう。口調とは裏腹に表情は真剣そのものだから、ミルトは何も言わない。
「物盗りに遭ったってわけでもないか…。」
ズボンには金袋が縫い付けられており、銀貨数枚が入ったままだ。
「ミルト助士、良いとこに目がいくね。今回が初めての助手としての仕事だというのに、ミルト助士(貴方)…なかなか期待できそうね。」
急になりきり始めたニーナに戸惑いつつも褒められたのだから悪い気はしない。
「えっと…、ありがとうございます…?それで、ニーナさん…」
「ニーナ先輩って呼びなさいっていつも言ってるでしょ!!」
「ふぁ!??ええと、すみませんっ!!ニーナ先輩!!…それでこの案件はどうなさいますか…?」
必死に設定を崩さないように、ニーナに合わせるミルトの柔軟性の高さはパシリ時代の賜物だろうか。
「うむ…。私達の仕事自体はもう終わりね。」
ニーナは真剣な顔で、頷きを打ち続けている。深く掘り下げて欲しいのだろう。
「というと…?」
ミルトは恐る恐る訊ねた。
「死人にクチなし。…これ以上手掛かりもないし、事件は暗礁に乗り上げたって事。生き残りが居たとしても、もう此処にはいないでしょ?」
「確かに、もうここには盗賊はいなさそうですね…。それなら、僕達もフローラがしてくれてる火葬の準備の手伝いに回りましょうか。」
少し残念そうにミルト達はこれ以上の捜査は無意味と判断し、切り上げる。
「ほんっとにね。死体は死体でアンデッドになられでもしたら…。ミルト助士、枝葉に死体に、さっさと集めるわよ!!」
ニーナとミルトは、一人火葬の準備を任せていたフローラの手伝いに精を出しはじめた。





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