97 / 99
2章
マグナ大森林part32
しおりを挟む
一夜明け、気づけば、不可思議なほどに一帯を覆っていた濃霧は晴れている。
「一寸先は霧だったのに、こんなに見通せる程になるなんてね。これってイフリートが起こしてたの?」
「アタシだけど、アタシのせいじゃないわ。自然現象っていうか、保管の仕方のせいね。」
フローラの問いに、サラッと答えてくれる。
「保管の仕方って…?」
「…。」
聞き耳をピンと立てているニーナが思わず、聞くもイフリートは無視(シカト)している。
ガタガタ揺れる馬車はまるでニーナの感情の浮き沈みでも表しているかのようだ。
うぁぁぁん。と嘆く度に運転が荒れるものだから、ミルトは後ろで酔ってしまっている。
シヴァもフローラ以外には大概感心を示すことはないが、話せる事が分かって以来、言葉数は少ないもののニーナやミルトが話し掛けて、無視するような対応はしない。
「まぁまぁ…。もうちょっとしたら心を開いてくれますよ。そんなに落ち込まないで?ニーナさん」
ニーナが落ち込んではフローラが慰め、その度に玉砕するものだから、一向にミルトの酔いはますます酷くなる。
イフリートがだんまりを決め込むので、代わりにシヴァ姉が話し始める。
「私達の指輪が魔力を吸うってことは分かってるわよね。二回も契約してるんだから。まあ、本来人間の持ってる魔力量なんて微々たるものだから何回魔力を込められようと何も起きない筈なんだけどね(契約出来ちゃうアンタ(フローラ)が特別なだけで。)…。でも自然に存在する魔力(マナ)っていうのは人族なんか比にならないくらい潤沢に保有してるわけ。その指輪(私達)を自然界に捨てたとしたら…、自然の魔力(マナ)を大量に吸収し続けるのよ。吸収した魔力は私達の特色・特性を引き継いでしまうから、否が応にも、発散されれば環境に影響を及ぼしてしまうの。私等の場合だと、万年猛吹雪って所かしらね。」
「シヴァ御姉様の言う通りよ。因みにだけどこの程度で済んだのは、水の中だったからよ。最も相性の悪い水属性の魔力(マナ)じゃなかったら、ここら辺なんて火口一色(マグマ)にでも変えて差し上げたのに。」
それじゃ、森が消失してただろうに…。
話を黙って聞いていたフローラ達は冷や汗をかいている。
なくさないようにしないとね…。わたしは自分の左指に付けている二つの指輪をみて、改めて思う。
ミネストロ池一帯の調査も兼ねて馬車で機動力にモノを言わせた探索をしている。
「ねぇ。ちょっとアレ…!!」
ニーナは進路を変えようと、進路上に何かを発見したようだ。
それは肌がべたつくような嫌な臭いも放っている。
結論から言うと、ニーナが見つけたのは死体だった。
以降、“同じような死体”を見つけるも、辺りは閑散としていただけであった。
同じような死体と言ったのは、どの死体も首から上がなかったからだ。
四肢もズタズタに引き裂かれ、何かの拷問にでも遭っていたかのような特徴的な殺され方をしている。
「抵抗の痕がありますね…。誰かと、交戦でもしてたんですかね。」
「ふむ…。ミルト助士もそう思うかね。」
ニーナは犯行を調べる刑事の真似事でもしているのだろう。口調とは裏腹に表情は真剣そのものだから、ミルトは何も言わない。
「物盗りに遭ったってわけでもないか…。」
ズボンには金袋が縫い付けられており、銀貨数枚が入ったままだ。
「ミルト助士、良いとこに目がいくね。今回が初めての助手としての仕事だというのに、ミルト助士(貴方)…なかなか期待できそうね。」
急になりきり始めたニーナに戸惑いつつも褒められたのだから悪い気はしない。
「えっと…、ありがとうございます…?それで、ニーナさん…」
「ニーナ先輩って呼びなさいっていつも言ってるでしょ!!」
「ふぁ!??ええと、すみませんっ!!ニーナ先輩!!…それでこの案件はどうなさいますか…?」
必死に設定を崩さないように、ニーナに合わせるミルトの柔軟性の高さはパシリ時代の賜物だろうか。
「うむ…。私達の仕事自体はもう終わりね。」
ニーナは真剣な顔で、頷きを打ち続けている。深く掘り下げて欲しいのだろう。
「というと…?」
ミルトは恐る恐る訊ねた。
「死人にクチなし。…これ以上手掛かりもないし、事件は暗礁に乗り上げたって事。生き残りが居たとしても、もう此処にはいないでしょ?」
「確かに、もうここには盗賊はいなさそうですね…。それなら、僕達もフローラがしてくれてる火葬の準備の手伝いに回りましょうか。」
少し残念そうにミルト達はこれ以上の捜査は無意味と判断し、切り上げる。
「ほんっとにね。死体は死体でアンデッドになられでもしたら…。ミルト助士、枝葉に死体に、さっさと集めるわよ!!」
ニーナとミルトは、一人火葬の準備を任せていたフローラの手伝いに精を出しはじめた。
「一寸先は霧だったのに、こんなに見通せる程になるなんてね。これってイフリートが起こしてたの?」
「アタシだけど、アタシのせいじゃないわ。自然現象っていうか、保管の仕方のせいね。」
フローラの問いに、サラッと答えてくれる。
「保管の仕方って…?」
「…。」
聞き耳をピンと立てているニーナが思わず、聞くもイフリートは無視(シカト)している。
ガタガタ揺れる馬車はまるでニーナの感情の浮き沈みでも表しているかのようだ。
うぁぁぁん。と嘆く度に運転が荒れるものだから、ミルトは後ろで酔ってしまっている。
シヴァもフローラ以外には大概感心を示すことはないが、話せる事が分かって以来、言葉数は少ないもののニーナやミルトが話し掛けて、無視するような対応はしない。
「まぁまぁ…。もうちょっとしたら心を開いてくれますよ。そんなに落ち込まないで?ニーナさん」
ニーナが落ち込んではフローラが慰め、その度に玉砕するものだから、一向にミルトの酔いはますます酷くなる。
イフリートがだんまりを決め込むので、代わりにシヴァ姉が話し始める。
「私達の指輪が魔力を吸うってことは分かってるわよね。二回も契約してるんだから。まあ、本来人間の持ってる魔力量なんて微々たるものだから何回魔力を込められようと何も起きない筈なんだけどね(契約出来ちゃうアンタ(フローラ)が特別なだけで。)…。でも自然に存在する魔力(マナ)っていうのは人族なんか比にならないくらい潤沢に保有してるわけ。その指輪(私達)を自然界に捨てたとしたら…、自然の魔力(マナ)を大量に吸収し続けるのよ。吸収した魔力は私達の特色・特性を引き継いでしまうから、否が応にも、発散されれば環境に影響を及ぼしてしまうの。私等の場合だと、万年猛吹雪って所かしらね。」
「シヴァ御姉様の言う通りよ。因みにだけどこの程度で済んだのは、水の中だったからよ。最も相性の悪い水属性の魔力(マナ)じゃなかったら、ここら辺なんて火口一色(マグマ)にでも変えて差し上げたのに。」
それじゃ、森が消失してただろうに…。
話を黙って聞いていたフローラ達は冷や汗をかいている。
なくさないようにしないとね…。わたしは自分の左指に付けている二つの指輪をみて、改めて思う。
ミネストロ池一帯の調査も兼ねて馬車で機動力にモノを言わせた探索をしている。
「ねぇ。ちょっとアレ…!!」
ニーナは進路を変えようと、進路上に何かを発見したようだ。
それは肌がべたつくような嫌な臭いも放っている。
結論から言うと、ニーナが見つけたのは死体だった。
以降、“同じような死体”を見つけるも、辺りは閑散としていただけであった。
同じような死体と言ったのは、どの死体も首から上がなかったからだ。
四肢もズタズタに引き裂かれ、何かの拷問にでも遭っていたかのような特徴的な殺され方をしている。
「抵抗の痕がありますね…。誰かと、交戦でもしてたんですかね。」
「ふむ…。ミルト助士もそう思うかね。」
ニーナは犯行を調べる刑事の真似事でもしているのだろう。口調とは裏腹に表情は真剣そのものだから、ミルトは何も言わない。
「物盗りに遭ったってわけでもないか…。」
ズボンには金袋が縫い付けられており、銀貨数枚が入ったままだ。
「ミルト助士、良いとこに目がいくね。今回が初めての助手としての仕事だというのに、ミルト助士(貴方)…なかなか期待できそうね。」
急になりきり始めたニーナに戸惑いつつも褒められたのだから悪い気はしない。
「えっと…、ありがとうございます…?それで、ニーナさん…」
「ニーナ先輩って呼びなさいっていつも言ってるでしょ!!」
「ふぁ!??ええと、すみませんっ!!ニーナ先輩!!…それでこの案件はどうなさいますか…?」
必死に設定を崩さないように、ニーナに合わせるミルトの柔軟性の高さはパシリ時代の賜物だろうか。
「うむ…。私達の仕事自体はもう終わりね。」
ニーナは真剣な顔で、頷きを打ち続けている。深く掘り下げて欲しいのだろう。
「というと…?」
ミルトは恐る恐る訊ねた。
「死人にクチなし。…これ以上手掛かりもないし、事件は暗礁に乗り上げたって事。生き残りが居たとしても、もう此処にはいないでしょ?」
「確かに、もうここには盗賊はいなさそうですね…。それなら、僕達もフローラがしてくれてる火葬の準備の手伝いに回りましょうか。」
少し残念そうにミルト達はこれ以上の捜査は無意味と判断し、切り上げる。
「ほんっとにね。死体は死体でアンデッドになられでもしたら…。ミルト助士、枝葉に死体に、さっさと集めるわよ!!」
ニーナとミルトは、一人火葬の準備を任せていたフローラの手伝いに精を出しはじめた。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる