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王都へ向け出発した候補者一行、何故かわたしは馬車ではなく馬に乗っています。
まぁ、例のごとく原因はジュリアなんだけどね。
「そんな獣を乗せる気なの?」
「ずっと抱いてるから迷惑はかけないわ」
「乗せること事態が嫌だと言っているの。相変わらず空気の読めない子ね。だから村でも馴染めないのよ」
いつにもまして言葉に棘があるわね。
何かあったのかしら?
別にルーナに乗せてもらっても良いけど、それはそれで騒がれそうだし……どうしよう。
わたしが悩んでいたら身体が急に浮かんだ。
「わっ!?」
「じっとしていろ。動くと危ないぞ」
「え?団長様?」
わたしを抱え上げたのは団長様だった。
そのまま馬に乗せられ、うしろに彼が座る。
な、何ごと!?
「さぁ、みなさん馬車に乗ってください。出発しますよ」
「あ、あの……」
「馬車に乗れないならこうした方が良いだろ?従魔を落とさないようにな」
「……はい」
耳元で囁く声に、顔に熱が集まるのが分かる。
だってきょ、距離が近いのよ!
彼が手綱を握ったら更に近くなって、何だか抱き込まれてるみたいで……と、とにかく近い!
自分のことで精一杯だったわたしは、他の騎士様に馬車へ押し込まれたジュリアがどんな顔をしていたのか確認する余裕はなかった。
村を出発して五日目、王都を守る高い壁が見えた。
結局、道中は団長様の馬で移動していたの。
最初は緊張して固まってたけど、副団長のセルジオ様が気を使ってか頻繁に話しかけてくれていた。
そのおかげと言って良いのか、わたしたちはずいぶん打ち解けたと思う。
ルーナは珍しく団長様に懐いて、今は彼の頭上でダレている。
「団長様、ありがとうございました」
「………」
「団長様?」
「………」
団長にはとても助けられたので、お礼を言ったのだけど何も言ってくれず困った。
「団長様?」
「………レティシア、俺は何度も言ったよ」
「……セレスティ様?」
「…おしいね」
「……っ~エドアルド様」
「やっと呼んだね。何度言っても呼んくれなくて悲しかったよ」
「うっ……だって」
「俺が良いと言ったら良いんだよ。なぁ、ルーナ」
「ミギャ~」
「ルーナまで……」
道中、彼は友人に対する様に気さくな態度で接してくれていたけど、わたしはそれに慣れたくなかった。
本来、身分差から彼とこんな風に話をすることはできない。
今こうして話せるのは彼の優しさがあるからで、王都に入ればできないことだ。
それなのに、最後まで彼にペースを握られている様な気がする。
王都に入る門が見えてきたので、ルーナを彼の頭から下ろし腕に抱え直した。
さすがに、頭にルーナを乗せた彼を門番に見せるのはダメだと思ったからそうしたのに、何故寂しそうな顔で自分の頭を撫でてるの?
ルーナも不満そうにわたしの腕をテシテシ叩いてる。
……わたしが悪いの!?
まぁ、例のごとく原因はジュリアなんだけどね。
「そんな獣を乗せる気なの?」
「ずっと抱いてるから迷惑はかけないわ」
「乗せること事態が嫌だと言っているの。相変わらず空気の読めない子ね。だから村でも馴染めないのよ」
いつにもまして言葉に棘があるわね。
何かあったのかしら?
別にルーナに乗せてもらっても良いけど、それはそれで騒がれそうだし……どうしよう。
わたしが悩んでいたら身体が急に浮かんだ。
「わっ!?」
「じっとしていろ。動くと危ないぞ」
「え?団長様?」
わたしを抱え上げたのは団長様だった。
そのまま馬に乗せられ、うしろに彼が座る。
な、何ごと!?
「さぁ、みなさん馬車に乗ってください。出発しますよ」
「あ、あの……」
「馬車に乗れないならこうした方が良いだろ?従魔を落とさないようにな」
「……はい」
耳元で囁く声に、顔に熱が集まるのが分かる。
だってきょ、距離が近いのよ!
彼が手綱を握ったら更に近くなって、何だか抱き込まれてるみたいで……と、とにかく近い!
自分のことで精一杯だったわたしは、他の騎士様に馬車へ押し込まれたジュリアがどんな顔をしていたのか確認する余裕はなかった。
村を出発して五日目、王都を守る高い壁が見えた。
結局、道中は団長様の馬で移動していたの。
最初は緊張して固まってたけど、副団長のセルジオ様が気を使ってか頻繁に話しかけてくれていた。
そのおかげと言って良いのか、わたしたちはずいぶん打ち解けたと思う。
ルーナは珍しく団長様に懐いて、今は彼の頭上でダレている。
「団長様、ありがとうございました」
「………」
「団長様?」
「………」
団長にはとても助けられたので、お礼を言ったのだけど何も言ってくれず困った。
「団長様?」
「………レティシア、俺は何度も言ったよ」
「……セレスティ様?」
「…おしいね」
「……っ~エドアルド様」
「やっと呼んだね。何度言っても呼んくれなくて悲しかったよ」
「うっ……だって」
「俺が良いと言ったら良いんだよ。なぁ、ルーナ」
「ミギャ~」
「ルーナまで……」
道中、彼は友人に対する様に気さくな態度で接してくれていたけど、わたしはそれに慣れたくなかった。
本来、身分差から彼とこんな風に話をすることはできない。
今こうして話せるのは彼の優しさがあるからで、王都に入ればできないことだ。
それなのに、最後まで彼にペースを握られている様な気がする。
王都に入る門が見えてきたので、ルーナを彼の頭から下ろし腕に抱え直した。
さすがに、頭にルーナを乗せた彼を門番に見せるのはダメだと思ったからそうしたのに、何故寂しそうな顔で自分の頭を撫でてるの?
ルーナも不満そうにわたしの腕をテシテシ叩いてる。
……わたしが悪いの!?
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