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何事もなく門を通過して、一軒の大きな宿に案内された。
どうやらここで儀式までの一ヶ月を過ごすらしい。
宿は貸しきりになっていて、周りには警備の騎士が配備されている。
やっとゆっくりできると思っていたわたしは、このあと途方に暮れることになる。
「貴女の部屋はないわ」
「は?」
「貴女は付き人から外すの。わたしたちには侍女が派遣されるから、貴女はもういらないわ」
「そんな勝手な」
「あら、王都はもう見たから満足でしょう?貴女はその穢れた獣と村に帰りなさいな」
結局、何を言っても聞き入れてもらえず、関係者じゃなくなったわたしは宿から追い出されてしまった。
辺りは暗くなり始めている。
せめて一泊くらいしたかった。
「ルーナ、悪いけど村まで乗せてくれる?」
「ミギャ?」
「しょうがないわ。宿を探そうにも、お金がないのよ」
「ミィ~………ミゥア!」
「え!?ルーナ待って!」
ルーナが突然腕から飛び出して走って行ってしまった。
慌てて追いかけるけど、全然追い付けなくて見失わないようにするのがやっとだった。
そして、ルーナは目的地……いや、目的の人を見つけてその頭に飛び乗った。
「うわっ!?こらルーナ、いきなり乗るな!お前だと気づかなかったら斬ってたぞ!」
「ミィ~」
「まったく……ん?そういえば何でここにいるんだ?レティシアは?」
「……ミギャ?」
「……だ、団長様っ……す…すみませ……ゴホッ…ゼーゼー」
「レティシア!?しっかりしろ!」
団長はルーナを追いかけ力尽きたわたしの背中をさすってくれた。
わたしの息が整うのをまってくれていたが、その前に近くの建物から人が出てきた。
副団長のセルジオ様だ。
「団長、どうされました?おや、レティシア嬢ですか?」
「セルジオ、水を用意してくれ。レティシア、ひどず詰所に入るぞ」
そう言って団長様はわたしを横抱きにして歩きだした。
息を整えるのに集中していなかったら、赤面して暴れていたことだろう。
部屋に入りソファに下ろされると、水を差し出されたので遠慮なく飲んだ。
「……ふぅ~」
「落ち着いたようだな。それで?何故ひとりで出歩いていた?いくら王都と言っても、この時間に女がひとりで出歩くなど不用心だぞ」
な、何か恐い。
誰か助けて!
「ミギャ!」
「ルーナ、君は可愛らしい子猫にしか見えるから馬鹿共の牽制にはなれないよ」
「ミィ!?ミゥ~」
いやルーナ、そこは照れないで怒りなさいよ。
魔獣が可愛らしいって言われて照れちゃダメでしょ。
「さぁレティシア、正直に話しなさい」
「ひゃい!」
ここは下手に誤魔化さないで事実を言わないともっと恐くなる予感がする!
わたしは宿でのやり取り洗いざらい話した。
どうやらここで儀式までの一ヶ月を過ごすらしい。
宿は貸しきりになっていて、周りには警備の騎士が配備されている。
やっとゆっくりできると思っていたわたしは、このあと途方に暮れることになる。
「貴女の部屋はないわ」
「は?」
「貴女は付き人から外すの。わたしたちには侍女が派遣されるから、貴女はもういらないわ」
「そんな勝手な」
「あら、王都はもう見たから満足でしょう?貴女はその穢れた獣と村に帰りなさいな」
結局、何を言っても聞き入れてもらえず、関係者じゃなくなったわたしは宿から追い出されてしまった。
辺りは暗くなり始めている。
せめて一泊くらいしたかった。
「ルーナ、悪いけど村まで乗せてくれる?」
「ミギャ?」
「しょうがないわ。宿を探そうにも、お金がないのよ」
「ミィ~………ミゥア!」
「え!?ルーナ待って!」
ルーナが突然腕から飛び出して走って行ってしまった。
慌てて追いかけるけど、全然追い付けなくて見失わないようにするのがやっとだった。
そして、ルーナは目的地……いや、目的の人を見つけてその頭に飛び乗った。
「うわっ!?こらルーナ、いきなり乗るな!お前だと気づかなかったら斬ってたぞ!」
「ミィ~」
「まったく……ん?そういえば何でここにいるんだ?レティシアは?」
「……ミギャ?」
「……だ、団長様っ……す…すみませ……ゴホッ…ゼーゼー」
「レティシア!?しっかりしろ!」
団長はルーナを追いかけ力尽きたわたしの背中をさすってくれた。
わたしの息が整うのをまってくれていたが、その前に近くの建物から人が出てきた。
副団長のセルジオ様だ。
「団長、どうされました?おや、レティシア嬢ですか?」
「セルジオ、水を用意してくれ。レティシア、ひどず詰所に入るぞ」
そう言って団長様はわたしを横抱きにして歩きだした。
息を整えるのに集中していなかったら、赤面して暴れていたことだろう。
部屋に入りソファに下ろされると、水を差し出されたので遠慮なく飲んだ。
「……ふぅ~」
「落ち着いたようだな。それで?何故ひとりで出歩いていた?いくら王都と言っても、この時間に女がひとりで出歩くなど不用心だぞ」
な、何か恐い。
誰か助けて!
「ミギャ!」
「ルーナ、君は可愛らしい子猫にしか見えるから馬鹿共の牽制にはなれないよ」
「ミィ!?ミゥ~」
いやルーナ、そこは照れないで怒りなさいよ。
魔獣が可愛らしいって言われて照れちゃダメでしょ。
「さぁレティシア、正直に話しなさい」
「ひゃい!」
ここは下手に誤魔化さないで事実を言わないともっと恐くなる予感がする!
わたしは宿でのやり取り洗いざらい話した。
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