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プロローグ
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とある山の中腹にある洞窟の中に二人の人間が暮らしていた。
一人は闇夜のような黒髪を腰まで伸ばした透き通るような赤い瞳をしたの少女。
もう一人は銀に近しい灰色の髪を肩あたりで揃えている黒い目をした大人しそうな女性であった。
二人は向かい合ってなにやら話し合っているようだ。もし容姿の特徴が近しければ姉妹のように見えただろう。だが彼女たちは姉妹でも、ましてや親子なんかでもなく、その実態は師弟である。しかも少女の方が師匠で女性が弟子なのであった。
~~~
「師匠。本当にやるんですか?」
「うん、もちろん。いや、もちろんというのは少しおかしいかな。悩みはしたよ。けどしかたがないじゃないか。だって、ねぇ?」
「そう、でしたね。わかりました」
今二人が話し合っているのは少女の封印についてだ。
少女はこのような容姿だが魔女と呼ばれ長い時を生きてきた。幼い頃から様々なことに興味津々だった少女は多くの知識を詰め込んでいったが周囲の生き物の死をみているうちに死をおそれた。そして時間という概念に影響する魔法に手を出すことにした。
それから多くの試行錯誤を経て自身の時を止めることに成功した彼女は寿命の心配をなくしたのち、興味の赴くままに調べ、魔法を研究してきた。開発した魔法は適当なものを的として試しているといつのまにか魔女と恐れられるようになっていた。
孤独となった少女は山にこもり自給自足の研究生活をしていた。だが問題もあった。ずっと山にこもっているのだ、暇になってくる。魔法の研究が好きだと言えども変化のない日常に飽きたのだ。
だがあまり出歩いては周囲の、特に長命の魔物たちへの影響でなにが起こるかわからない。
そうして暮らしていたある日、赤子を拾った。山を探索していた時に獣に襲われていたところを助けてそのまま育ていたらいつのまにか弟子となっていた。
そして弟子は大人となっていた。だから弟子を人の世に送り出し、少女は自分のことをみんなが知らない世界に変わっていることを期待し長い時を眠ろうと決意したのだ。
「うん、片付けはこんなものでいいか。ああ、何か必要なら自由にあさってくれていいからね。それじゃあそろそろ封印をはじめるけど最後に何かある?」
「……えっと、じゃあ一つ」
彼女は一度下を向き、そして改めて前ををしっかりとみて、
「今までありがとう、リオンお母さん。いってらっしゃい」
「……ああ、いってくるよ。アリシア。元気でな」
はじめて弟子が、アリシアが本当の意味で大人になったんだな、と少女は実感した。それと同時に寂しくも感じた。だがだめだ。アリシアには私とは違う、人の世で暮らしてもらいたい。そしてそこに私が一緒にいてはいけない。私も人の世に出たくなってしまう。だからこれでいいんだ、そう自身に言い聞かせる。
そして少女、リオンはアリシアに見守られる中、封印の魔法を発動し精神ごと全ての時を止める。さらに周囲の時を結晶化させて、これから先眠るような状態になるので体を守るための障壁とする。
薄れゆく意識の中私はアリシアの平穏と未来への希望を願いながら長い眠りにつく。
一人は闇夜のような黒髪を腰まで伸ばした透き通るような赤い瞳をしたの少女。
もう一人は銀に近しい灰色の髪を肩あたりで揃えている黒い目をした大人しそうな女性であった。
二人は向かい合ってなにやら話し合っているようだ。もし容姿の特徴が近しければ姉妹のように見えただろう。だが彼女たちは姉妹でも、ましてや親子なんかでもなく、その実態は師弟である。しかも少女の方が師匠で女性が弟子なのであった。
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「師匠。本当にやるんですか?」
「うん、もちろん。いや、もちろんというのは少しおかしいかな。悩みはしたよ。けどしかたがないじゃないか。だって、ねぇ?」
「そう、でしたね。わかりました」
今二人が話し合っているのは少女の封印についてだ。
少女はこのような容姿だが魔女と呼ばれ長い時を生きてきた。幼い頃から様々なことに興味津々だった少女は多くの知識を詰め込んでいったが周囲の生き物の死をみているうちに死をおそれた。そして時間という概念に影響する魔法に手を出すことにした。
それから多くの試行錯誤を経て自身の時を止めることに成功した彼女は寿命の心配をなくしたのち、興味の赴くままに調べ、魔法を研究してきた。開発した魔法は適当なものを的として試しているといつのまにか魔女と恐れられるようになっていた。
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だがあまり出歩いては周囲の、特に長命の魔物たちへの影響でなにが起こるかわからない。
そうして暮らしていたある日、赤子を拾った。山を探索していた時に獣に襲われていたところを助けてそのまま育ていたらいつのまにか弟子となっていた。
そして弟子は大人となっていた。だから弟子を人の世に送り出し、少女は自分のことをみんなが知らない世界に変わっていることを期待し長い時を眠ろうと決意したのだ。
「うん、片付けはこんなものでいいか。ああ、何か必要なら自由にあさってくれていいからね。それじゃあそろそろ封印をはじめるけど最後に何かある?」
「……えっと、じゃあ一つ」
彼女は一度下を向き、そして改めて前ををしっかりとみて、
「今までありがとう、リオンお母さん。いってらっしゃい」
「……ああ、いってくるよ。アリシア。元気でな」
はじめて弟子が、アリシアが本当の意味で大人になったんだな、と少女は実感した。それと同時に寂しくも感じた。だがだめだ。アリシアには私とは違う、人の世で暮らしてもらいたい。そしてそこに私が一緒にいてはいけない。私も人の世に出たくなってしまう。だからこれでいいんだ、そう自身に言い聞かせる。
そして少女、リオンはアリシアに見守られる中、封印の魔法を発動し精神ごと全ての時を止める。さらに周囲の時を結晶化させて、これから先眠るような状態になるので体を守るための障壁とする。
薄れゆく意識の中私はアリシアの平穏と未来への希望を願いながら長い眠りにつく。
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