Kadath Ragnarok Story

甲斐 結城

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スタート

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 白い光が消えるとそこは街の広場で、周囲に他のプレイヤーがたくさんいることからここがどうやら初期スポーン地点ならしい。よく見渡すと広場の中心部あたりに蒼い光を微かに放つ大きなクリスタルがあった。これがたぶんここにスポーンさせるマーカー的なものなのかな?
 まずは理恵との約束の教会に行きますか。
 マップ機能があるようなのでいろいろとめぐりながら教会らしき建物を探していると噴水広場を発見。でも、理恵の懸念通りテレビでみかける聖夜のクリスマスツリーのように人が密集していて待ち合わせ相手に出会えるか心配になるレベルで恐ろしい。

「ここは危険ね。落ち着くまでは近づかない方がいいかな」

 さらに探検すること20分、やっと教会を発見しました。

「おーい、お姉ちゃん。ここだよー」
「遅くなってごめんね、ちょっといろいろみてたらおそくなっちゃって」
「大丈夫だよー。あとすごいでしょ、ゲームの処理速度とか諸々が格段に上がってるから本当に現実と見間違えちゃうくらいきれいだよね。私も教会に来るまでずっとまわりをみてたしその気持ちはよ~くわかるよ」
「あはは、ありがとね。というかよくこのアバターが私だってわかったね」

 体格はそのままとはいえもとの見た目とは離れているはずなのになぜわかったのだろうか。わたしは理恵が誰だか声をかけられるまでわからなかったのに。

「なんで?私がお姉ちゃんを見間違えるはずないじゃない」

 マジですか。なにこの娘スッゴイ。

「なんか悪いなな、鈴。コイツお前のこと好きなだけだから許してやってくれ」
「なによう、お兄ちゃんだって好きなくせにー」
「ハイハイ、そうだな」
「別に怒ったりしてないから気にしなくてもいいよ。それより話し方的にもしかして翔?」
「ああ、そうだ。あとゲーム内ではリアルはご法度だ。名前はジークにしたからそう呼んでくれ」
「わかった。私はカリンだから」
「はーい、私はエリカね。それじゃ3人でフレンドになろっか。お姉ちゃんわかってるね」
「大丈夫よ、最初はエリカなのよね」

 2人とフレンド登録ををする。この行為はリアルの知り合いであっても少し嬉しい気持ちになるね。リアルに友達がいないってわけじゃないからね?
 翔ったら、ジークって名前ってことは剣士ですかね?わかりやすい。

「じゃあこれからどうする?」
「みんなでパーティー組もうよ」
「あー、すまん。もう友達と組む約束しちまっててな。たまにしか組めそうにないな」
「えーなんでよー。じゃあお姉ちゃんは?」
「んーと、ごめんね。久々のゲームだから基本一人でやってみたいかなーなんて。誘ってくれたのに、本当にごめんね」
「そっかー、なら仕方ないね。お姉ちゃんには楽しんでもらいたくて誘ったんだから。ならβ版のときのパーティーメンバーに声かけられてるからそっちいってみるね」
「誘われてるのならそっち行けよ」
「ヤダよ、お姉ちゃんを優先するに決まってるじゃん。あとお兄ちゃんにはきいてないし」
「は?お前がみんなっていうからこたえたんだろが」
「みんななんていってないし。まったく、お兄ちゃんたらそんなにお姉ちゃんと一緒にいたいの?」
「いっただろうが!あとそれお前のほうだろ!そして断ったのになんでそうなるんだよ!」
「あはは……」

 とりあえずゲーム内の今日は一緒になることで落ち着いた。ちなみにリアルの1日はゲーム内では3日、つまり6時間で1日で10日で1ヶ月となってるようです。

 3人でのパーティーをくみ、まず装備を整えに武器屋をめざして進む。β版経験者のエリカ曰く最初は素材がNPCこの世界の住人が集めている物しか出回っておらず、特にいいものもないから、使い捨て程度の装備で繋ぐ方が金策的にいいらしい。でも、使い捨て装備をかったのは私だけで、2人は初期防具のままだった。なぜ買わないのかきくと「俺らはお前よりもゲームをやってて慣れてるから大丈夫なんだよ。あとお前と違って物理補正の高い前衛職系のスキル構成だからな」、と言われました。なるほど、たしかに私は久しぶりなうえに魔女志望なので物理耐性の補正がほぼなく、序盤の敵の攻撃は体を使った単調な攻撃のみだしね。ちなみに慣れているというのはPSプレイヤースキルのことです。
 そして武器。これは買っても買わなくてもいいそうなので、パーティーを組んでいるので危なくなったら2人に頼るということで買わないでおこう。

 最後に雑貨屋でポーションを買いに行きました。私は【錬金】持ちなのでポーションの性能の基準値を調べるのに使うかもしれない。

 準備が終わったのでギルドに行きました。そのまま街の外に出て狩をすることもできるけど、ついでに金を稼げるギルドに登録した方がいいらしい。得た素材は全て出さなくてもいいので素材がなくなって生産職プレイヤーに渡せるものがなく困る心配もないです。

 さて、では街の外へ繰り出しましょうか。
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