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ソロデビュー
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理恵と翔と別れてから部屋でぐっすりと寝た。たとえゲームでも時間が3倍速となっているせいで脳に一日分の負担がかかってるので、脳の休息として睡眠時間の確保を推奨されている。もし寝ずにゲーム内徹夜を連続でやらかした場合、安全機能によりゲームを強制的に中断させられるようになっているらしい。ベッドはなかなか気持ちよかったと付け加えておく。
あの後別れた時に食堂から「やめてくれ!俺は悪くない!無実だぁ!」とかきこえてきたけど本当に大丈夫なのか心配になる。
「取り敢えずギルドにきたけどどうしようか、やっぱり依頼を受けるのがよさそうかな?」
希望としては街の中で一人でできるやつなんだけどどうだろうか。ざっと見回しただけでも討伐が過半数でやや採取、残りが街の中の依頼のように見える。
「ん~、少ないな~。どれにしようかなー。あれ、これ清掃だよね。うん、これにしよう。スキルを育てるのに良さそうだしね。ポーションを買った道具屋に掃除用具あったかな?みてからいくかな」
さっそく清掃の依頼を受理してもらい道具屋を目指す。
店内をみわたすとすみの方におかれていた。【清掃】スキルをとるひとなんていないだろうし、人気がないのも仕方ないか。取り敢えず数種類購入してから依頼主のもとへとむかう。
「ごめんくださーい。ギルドで清掃の依頼を受けたものです」
「はいはい、おや、可愛い嬢ちゃんじゃね。依頼を受けてくれて助かるよ。わしはメラン。よろし頼むね」
「私はカリンといいます。よろしくお願いします」
メランさんは一人暮らしで先日体を痛めて知り合いに頼んで依頼をだしたらしい。
「でも大丈夫なのかい?一人じゃ大変だろうからある程度でいいからね」
「わかりました、でも私、【清掃】スキルをもっていますので、結構できるとおもいますよ」
「ほう、アレをかい。嬢ちゃんは冒険者なんだろう。【清掃】なんて普通主婦とか清掃を仕事してるもんどもくらいしかもってないんだけどねぇ。ちょっとした好奇心からでわるいんだがなんで持ってるのかきいてもいいかい」
「いいですよ。私の家では家事のうち掃除が私の担当だからっていうのと、その、あれです。魔女って知ってます?」
「……ああ、知ってるよ。それで?」
「はい、私魔女ってちょっと憧れでして逸話にそってかたちだけでも真似てみようかなー、なんて思いまして。なので【清掃】とか【錬金】とか【魔法陣】とか、それっぽいものをとってみた次第です。まあそんな感じですね、あまりおもしろおかしい理由じゃなくてすみません」
「いや、謝ることじゃあないさ。目標をもってそれにむかってゆく。そのことを笑うのはいけないことさ。それがたとえ自分自身であってもね。完全に諦めちまって過去の話として笑うのならまあ自分のことだからいいんじゃないかい。すまないね。初対面の嬢ちゃんに説教じみたこといっちまってさ。ただ、一ついいかい。【調合】はいらないのかい」
「ちょっと悩んだんですけど、どっちかっていうと薬師かなー、と思いまして」
「ふむ、そうかい。ありがとね」
「いえ、きいてくださってありがとうございます!」
「別に感謝されるようなことじゃないさ。ただの世間話さ。さ、横道にそれた話は置いといて、さっそく依頼をやってくれるかい」
それからしばらくメランさんの指示に従って掃除をこなしていた。
リアルと比べるとやはりスキルによる補正はかなりのもので、身体能力がからっきしなこの体でさほど疲れを感じずに綺麗に仕上げられた。
「ありがとうね。おかげで綺麗になったよ。スキルの方はどうだい?」
「えっと、6になりました!」
「そうかい、【清掃】は掃除の時間と範囲、とりにくい汚れをとることの三点の具合でレベルの上がりがかわる。今回なら数時間で家一軒分だからだろうね。元気な時にこまめに掃除してなかったらもうすこしあがっただろうにねぇ」
レベルの上げ方は予想どうりだね。こういう補助系のスキルの最大値はたしか10だから一回で折り返し地点をこえちゃったね。
「まだ治りそうにないからね、依頼をだしたらまたきてくれるかい?」
「はい、いいですよ。」
「すまんねぇ。そうだ、いい仕事をしてくれたから、特別報酬がわりに嬢ちゃんに少し面白い情報をやろう」
一体なんだろうか。知恵袋かな。
「攻撃魔法のスキルはいくつもってるんだい?」
「6種全部です」
「ほう、ならまず育てるのは3つに絞りな。魔法スキルが3つレベルが30になると【魔力操作】というのが手に入る。【魔法陣】はそれからだよ。そして【清掃】スキルも育てな。面白いスキルが貰えるからね。あとはそうさね、【錬金】を教えてあげるからもっかいあがりな」
おお、ありがたい情報をもらえた。【魔力操作】か。なら最初に決めた【光魔法】と【闇魔法】と【風魔法】かな。【清掃】はまたメランさんの家の掃除をやらせてくれるそうだから置いといて、【錬金】についてさっそく教えてもらいましょう。
あれから初歩的なことなどをいろいろと教わった。初期ライフポーションの作り方から道具の使い方まで。
「さすがだねぇ。初歩とはいえもうそこまで極めるとは。依頼とは別でスキルを鍛えたいときはきな。またおしえたるよ」
これはたぶん結構気に入られたんだと思う。なぜかはわからないがいいことなのでよろこぶとしよう。
「いろいろとありがとうございました」
「それはこっちもだよ。なかなか受けてもらえない依頼を受けてくれたり、綺麗に掃除をしてくれたり、あとこんなババアの話し相手になってくれたりね」
とてもいい依頼だった。メランさんの言う通りまたここにこさせてもらおう。
「ふむ、いったかい。あの嬢ちゃんならいいかもしんないね。いずれはみんなにも紹介しようかね」
あの後別れた時に食堂から「やめてくれ!俺は悪くない!無実だぁ!」とかきこえてきたけど本当に大丈夫なのか心配になる。
「取り敢えずギルドにきたけどどうしようか、やっぱり依頼を受けるのがよさそうかな?」
希望としては街の中で一人でできるやつなんだけどどうだろうか。ざっと見回しただけでも討伐が過半数でやや採取、残りが街の中の依頼のように見える。
「ん~、少ないな~。どれにしようかなー。あれ、これ清掃だよね。うん、これにしよう。スキルを育てるのに良さそうだしね。ポーションを買った道具屋に掃除用具あったかな?みてからいくかな」
さっそく清掃の依頼を受理してもらい道具屋を目指す。
店内をみわたすとすみの方におかれていた。【清掃】スキルをとるひとなんていないだろうし、人気がないのも仕方ないか。取り敢えず数種類購入してから依頼主のもとへとむかう。
「ごめんくださーい。ギルドで清掃の依頼を受けたものです」
「はいはい、おや、可愛い嬢ちゃんじゃね。依頼を受けてくれて助かるよ。わしはメラン。よろし頼むね」
「私はカリンといいます。よろしくお願いします」
メランさんは一人暮らしで先日体を痛めて知り合いに頼んで依頼をだしたらしい。
「でも大丈夫なのかい?一人じゃ大変だろうからある程度でいいからね」
「わかりました、でも私、【清掃】スキルをもっていますので、結構できるとおもいますよ」
「ほう、アレをかい。嬢ちゃんは冒険者なんだろう。【清掃】なんて普通主婦とか清掃を仕事してるもんどもくらいしかもってないんだけどねぇ。ちょっとした好奇心からでわるいんだがなんで持ってるのかきいてもいいかい」
「いいですよ。私の家では家事のうち掃除が私の担当だからっていうのと、その、あれです。魔女って知ってます?」
「……ああ、知ってるよ。それで?」
「はい、私魔女ってちょっと憧れでして逸話にそってかたちだけでも真似てみようかなー、なんて思いまして。なので【清掃】とか【錬金】とか【魔法陣】とか、それっぽいものをとってみた次第です。まあそんな感じですね、あまりおもしろおかしい理由じゃなくてすみません」
「いや、謝ることじゃあないさ。目標をもってそれにむかってゆく。そのことを笑うのはいけないことさ。それがたとえ自分自身であってもね。完全に諦めちまって過去の話として笑うのならまあ自分のことだからいいんじゃないかい。すまないね。初対面の嬢ちゃんに説教じみたこといっちまってさ。ただ、一ついいかい。【調合】はいらないのかい」
「ちょっと悩んだんですけど、どっちかっていうと薬師かなー、と思いまして」
「ふむ、そうかい。ありがとね」
「いえ、きいてくださってありがとうございます!」
「別に感謝されるようなことじゃないさ。ただの世間話さ。さ、横道にそれた話は置いといて、さっそく依頼をやってくれるかい」
それからしばらくメランさんの指示に従って掃除をこなしていた。
リアルと比べるとやはりスキルによる補正はかなりのもので、身体能力がからっきしなこの体でさほど疲れを感じずに綺麗に仕上げられた。
「ありがとうね。おかげで綺麗になったよ。スキルの方はどうだい?」
「えっと、6になりました!」
「そうかい、【清掃】は掃除の時間と範囲、とりにくい汚れをとることの三点の具合でレベルの上がりがかわる。今回なら数時間で家一軒分だからだろうね。元気な時にこまめに掃除してなかったらもうすこしあがっただろうにねぇ」
レベルの上げ方は予想どうりだね。こういう補助系のスキルの最大値はたしか10だから一回で折り返し地点をこえちゃったね。
「まだ治りそうにないからね、依頼をだしたらまたきてくれるかい?」
「はい、いいですよ。」
「すまんねぇ。そうだ、いい仕事をしてくれたから、特別報酬がわりに嬢ちゃんに少し面白い情報をやろう」
一体なんだろうか。知恵袋かな。
「攻撃魔法のスキルはいくつもってるんだい?」
「6種全部です」
「ほう、ならまず育てるのは3つに絞りな。魔法スキルが3つレベルが30になると【魔力操作】というのが手に入る。【魔法陣】はそれからだよ。そして【清掃】スキルも育てな。面白いスキルが貰えるからね。あとはそうさね、【錬金】を教えてあげるからもっかいあがりな」
おお、ありがたい情報をもらえた。【魔力操作】か。なら最初に決めた【光魔法】と【闇魔法】と【風魔法】かな。【清掃】はまたメランさんの家の掃除をやらせてくれるそうだから置いといて、【錬金】についてさっそく教えてもらいましょう。
あれから初歩的なことなどをいろいろと教わった。初期ライフポーションの作り方から道具の使い方まで。
「さすがだねぇ。初歩とはいえもうそこまで極めるとは。依頼とは別でスキルを鍛えたいときはきな。またおしえたるよ」
これはたぶん結構気に入られたんだと思う。なぜかはわからないがいいことなのでよろこぶとしよう。
「いろいろとありがとうございました」
「それはこっちもだよ。なかなか受けてもらえない依頼を受けてくれたり、綺麗に掃除をしてくれたり、あとこんなババアの話し相手になってくれたりね」
とてもいい依頼だった。メランさんの言う通りまたここにこさせてもらおう。
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