Kadath Ragnarok Story

甲斐 結城

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お掃除

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 「メランさん、また依頼を受けてきました。あとスキルを育てたんでみてください」

 あれから幾ばくかたち、ラビット狩りに勤しんでスキルのレベルアップを頑張っていた。

「嬢ちゃんかい。で、どのくらいになったんだい」
「風、光、闇の魔法スキルを全部30にしました。そしたらメランさんの言う通り【魔力操作】が出たのでとりました」
「ほう、頑張ったじゃないかい。なら【魔法陣】の使い方と【錬金】の特訓でもするかね。じゃあまずは掃除を頼むよ。まだ体がなおらないからね、頑張っとくれ」

 というわけではじまりました掃除タイム。スキルを育てることを考えて前回よりも細かいところを掃除していく。しかし、前回あらかた掃除をしているのでおわってもまだレベル9だった。

「あらあら、あと少しだったのにねぇ。ああ、そうだ。嬢ちゃんは【風魔法】をもっていたね。それと【清掃】を一緒に使うことを意識して玄関前のゴミをとばしといてくれるかい。スキルはほかのと一緒に使うとレベルの上がりがすこーしばかりよくなるらしいから覚えておきな。そうじゃなくとも同時に育てられて、変わった効果をださせることもできるうえに、これまた面白いスキルがとれるから他でも試しときな」

 これはいい情報だね。理恵と翔は知ってるのかな?
 
 ではさっそく試してみる。いつもスキルはかってに発動されるから意識して併用するのは結構大変だった。何度も試していると今までとなんか感触というか具合が違うように感じた。おそらくこれが成功時の感触かな?
      
 結果、スキルのレベルが上がり【清掃】がカンストした。すると【生活魔法】と【除去】の2つが獲得可能になった。

「メランさん、【清掃】が最大になりました。それから【生活魔法】と【除去】が手に入りました。前いってた面白いスキルってこの2つのことですか?あ、掃除はぶじ完了しました」
「お疲れ様。その2つであってるよ。前者は名前の通り生活で使うような魔法だね。例えば火種をおこすとか、コップ一杯分の水をだすとかだね。これは魔法スキルがなくても使えるから各家庭の主婦はもちろん冒険者も野宿のときとかに使えるとても便利なスキルなんだよ。女はちっさい頃から掃除をやらされることが多いから大体は大人になるまでにはとってるね。ああ、ほかの家庭的なスキルを育てても手に入るはずだよ。まあ冒険者で【清掃】とかを待ってないヤツは多いみたいだから、嬢ちゃんみたいに手に入らんとはおもうがね。次に後者のスキルだが、簡単に説明すると対象を消すスキルなんだよ。魔法スキルではないのに魔法に分類されとる。使い方は【魔法陣】と一緒に使うんだよ。対象を決めて【魔法陣】のサークルかエリアを発動させる。サークルならその魔法陣にのっているものが、エリアならその効果範囲内を消す。ただ、生物と魔法耐性が高いものには効かない。とりあえず処分に困るゴミ掃除用と思ってくれればいいさ」
「へー、便利ですねー。というか【除去】のスキルって危険すぎませんか!?」
「まあ大丈夫なんじゃないかい?というのも地面とか建物とか環境破壊になるものは消せないみたいだし、第一このスキルの所持者は驚くほどに少ないとおもうからね。なんせ【清掃】と【魔力操作】と【魔法陣】が必要なんだからね。一つ目は主婦で二つ目と三つ目は冒険者とか魔法の研究者ぐらいしか持ってないようなスキルだから両方をキチンと育てなきゃいけないんだよ」
    
 いいスキルを教えてもらえたな。【生活魔法】は普通の魔法スキルと違って暮らしに使用するのにいい感じの威力で発動されるのでかなり便利だ。そして【除去】。これはかなり便利そうだ。効かないものは結構あるが十分につかえそうだ。生物に効かないだけのようなので無機物系や死霊系にはたぶん効くと思う。このスキルは隠しておいた方が良さそうだ。取得条件を考えると【生活魔法】も教えられないね。

「【魔法陣】の使い方はさっきみたいに併用させなきゃ何にもならないからね。それじゃあ【錬金】を教えるよ」


~~~

「いい感じだよ。次のポーションにいってもよさそうだね。さて、お疲れ様。もう少ししたら体もなおるだろうし掃除の依頼はなくすが、教えてやるからまた来なさいな。こっちが勝手に嬢ちゃんのことを気に入っただけなんだから遠慮なんてしなさんなよ」
「はい、ありがとうございました」
「あっと、ちょっとまちな。えっと……、これだね。ほら、渡しそびれるところだったよ。あぶないあぶない」
「これは何ですか?」
「紹介状さ。この街には図書館があるだろう。金を少し払うと誰でも使用可能になるんだよ。で、だ。この紹介状を持ってりゃ一般開放されてない奥の書庫まで入れるようになるはずさ。そして本をたくさんよみな。知識は武器となるんだからね」
      
 本当にメランさんには足を向けて寝れないなぁ。一体メランさんは何者なのか気になるけど、私にとって親切なおばあさんとおもっとけばいいかな。
 本は大好きだし、これからしばらく図書館通いとスキル実験を兼ねた狩りだね。
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