愛してるとか言わないで

宇流

文字の大きさ
21 / 35

時間

しおりを挟む
僕は知ってる大事な人を失う悲しみを
そして人は嫌な思い出は時間が解決してくれる
なんて都合のいい事はありえないと言う事も。
僕には3つ離れた兄さんがいた。
そしてその兄さんはいつも俺の味方だった。
僕は元々病弱で共働きで育児に関心のない
親に代わって俺の世話や看病はいつも兄さんがしてくれていた。
そんなある日父が持病で急死した。
そしてその日から母は新しい男を作り
あまり家に帰ってこなくなった
おそらく父が生きていた頃から浮気していたのだろう。
帰ってこない母の代わりに家事やまだ中学生だった
僕に寂しい思いをさせないために兄さんはいつも
笑顔で僕を甘やかせてくれた。
ある日いつものように学校から帰ってくると
玄関には母の靴が置いてあった。
僕は驚いてリビングに行くと下着姿で血塗れの母と
呆然と座り込みながらカッターナイフを握っていた兄がいた。
僕は一瞬何が起こっているのか分からなかった。
が、嫌でもその状況が現状を物語っていた。
兄さんは俺に気づいて泣きながらただ一言
『ごめんな』と言いそれと同時に
自分の首を切り自殺してしまった。
そして僕は母の親戚の家に引き取られた。
でもそこに僕の居場所は無かった。
『親殺しの弟』『何で私たちが引き取らなあかんの』
『早く出て行けや』『怒らせたら殺されるで笑』
僕は高校入学と同時に一人暮らしをはじめた。
正直料理や家事は全くできなくて困る事は多かったけどあの家にいるよりかは百倍マシだった。
そして料理や家事が出来ない自分を自覚すればする程兄にどれだけ甘えていたか思い知らされる。
兄が死んで今年で4年。
それだけの月日が流れてもあの日の出来事は
鮮明に脳裏にこびりついて離れない。
時間が解決するなんて都合の良いこときっとありえない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

優秀な婚約者が去った後の世界

月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。 パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。 このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り

結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。 そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。 冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。 愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。 禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...