14 / 26
第11話 ――黒き刃の調律――
しおりを挟む■大剣の代金
黒い大剣を背負ったまま、ホークスは工房に立っていた。
「とりあえず渡しておく」
ホークスは財布を鍛冶台に置く。
中身は――500万ルクス。
クレイの眉が跳ねる。
「……おい、冗談だろ」
「持ってきた手持ちはこれで全部だ。できれば良質な鉄鉱石でも用意できればよかったんだがな」
少し笑うホークス。
「最近懐が寒くなってきてたところだ。……助かる」
お礼を言うクレイはぶっきらぼうだが、声はどこか柔らかい。
「改めて、ありがとう」
ホークスは深く一礼し、工房を後にする。
■ギルド本部へ
新しい黒い大剣に身体を慣らす必要がある。
向かったのは、ギルド本部。
受付でギルドカードを差し出す。
「訓練所を使いたい」
「かしこまりました」
受付嬢は丁寧に応じ、奥へ案内する。
訓練所では、マジックパペット相手に打ち込む者、教官と手合わせする者。
(人が増えたな……)
昔より活気がある光景に、微笑む。
さらに奥――ランクA以上のみが入れる訓練所。
■思わぬ再会
中には3人。
1人がすぐに気づいた。
「ホークス殿! お久しぶりでございます!」
この男はイングヴァル。
「久しぶりだな」
「魔界では大変お世話になりました!、本当にありがとうございました!」
イングヴァルは深く頭を下げながら、背中の黒い大剣に目を向ける。
「新しい武器だ。慣らしに来た」
「左様でございますか。それではお邪魔にならぬよう、失礼いたします。どうかご武運を」
敬意を込めて一礼し、仲間の元へ戻る。
魔界で、イングヴァルが魔物にやられかけた場面が脳裏をよぎる。
(イングヴァルもあの頃より強くなっているな)
■黒き刃の重み
再生の土塊の前に立ち、黒い大剣を抜く。
やはり重い。
重心を探り、構えを変える。
再生の土塊を斬る。
土塊が裂け、再度斬り、土塊は再生を繰り返す。
まだ重さに慣れない。
様々な構え、踏み込み、角度。
鍛冶屋で黒鉄の大剣を闘技大切断で斬り落とした瞬間を思い出す。
(この大剣の真髄は強力な一撃、半端な振りは、隙になる)
一撃離脱、あるいは防御からのカウンター。
防御構えを取り、そこから渾身の一撃。
土塊にそこそこの手応えを感じる。
さらに闘技斬撃を放つ、確かな手応えを感じる。
だが、防御の感覚をもっと明確にしたい。
ホークスは少し考え、戦士を相手取りたいと考え先程の三人の方へ歩く。
■対人調整
ホークスはイングヴァルに声をかける。
「イングヴァル、少しいいか?」
事情を説明する。
イングヴァルが隣の大男を示す。
「それでしたら私の刀よりも、こちらの大剣の方が適しているかと存じます。こちらはマイルズと申します」
筋骨隆々の男が一歩前へ出る。
「Aランクのマイルズでございます」
「ホークスだ。Xランク」
「……Xランクでいらっしゃいますか! 光栄でございます」
隣の女性も一礼する。
「ミールと申します。Aランクの魔法使いでございます」
ホークスはミールがAランクとして申し分ない魔力の持ち主である事に気づき質問をする。
「ホークスだ、不躾ですまないが強化魔法は使えるか?」
「はい。ランク4までの筋力強化魔法と、ランク4までの衝撃吸収魔法が使用可能でございます」
ホークスはそれを聞いて防御訓練の内容を決また。
「ランク4か、良い使い手だな、すまないが協力してくれるか?」
「喜んでお手伝いいたします」
ホークスは3人に礼を言い、広場中央へ。
■防御の構え
◆第一段階
「まずは闘技なしで攻撃してくれ」
ホークスが防御の構えを取る。
マイルズが大剣を構え、ホークスへ突進し、攻撃を仕掛ける。
――マイルズの大剣がホークスへ叩きつけられる。
ホークスは黒い大剣でその攻撃を受け止める。
腕に強い衝撃を覚えるが体勢は崩れない。
(こいつも中々やるな)
ホークスは構えを変えながら、マイルズの連続攻撃を受け止め続ける。
ホークスはマイルズの攻撃を受け止め競り合いになる。
ホークスが力を込め、マイルズを弾き飛ばす。
マイルズは空中で体勢を整える。
(流石はランクX、何よりあの大剣の硬度はなんだ?俺の大剣が心配になるな)
◆第二段階
ホークスは防御の手応えを感じつつ次の段階に移る。
「次は闘技も使ってくれ、全力で頼む」
「承知いたしました」
(俺の大剣が壊れると困るし、闘技で大剣を強化して相手の防御を崩す方向で行くか)
マイルズが自分自身に闘技【腕力強化】を使用。
続いて自分の大剣に闘技【武器硬化】を使用。
強化を終えたマイルズがホークスへ突進。
「闘技――強打!」
マイルズが闘技強打をホークスに向けて放つ。
ホークスは黒い大剣で防御し、マイルズの闘技強打を受け止める。
(大剣での強打にしては思ったより軽…)
「5連打!」
直後、マイルズがホークスに対して闘技強打を五連続で放つ。
ホークスは構えを微調整しながら、その場を動かず5連打をすべて受け切る。
「強打の5連打か、少し肝が冷えたぞ」
ホークスはマイルズに称賛の言葉を贈る。
マイルズは後退し距離を取り、息を整える。
(今のを受けきった上に微動だにしてないだと!?これがランクXなのか!?)
マイルズは内心驚きつつ、ランクXの実力を実感し戦士として尊敬する。
◆第三段階
ホークスがミールへ視線を向ける。
「ミール、マイルズにランク4の腕力強化を」
ホークスの指示を聞いたミールは魔法の詠唱を始める。
「承知いたしました。……マイルズ、強化するよ」
「ああ、頼む」
ミールがマイルズに対して腕力強化魔法【パワード(ランク4)】を使用。
魔法がマイルズに付与される。
強化されたマイルズが再びホークスへ突進。
「闘技――崩打!」
マイルズが闘技崩打をホークスに向けて放つ。
ホークスは改めて防御構えを取り、黒い大剣でマイルズの闘技崩打を正面から受け止める。
「中々の衝撃だ、だが」
その瞬間、ホークスは受け流しながらマイルズの重心を崩す。
「何!?」
体勢を崩されたマイルズは急いで体勢を整えようとする。
そこにホークスは黒い大剣を振り下ろし、マイルズの顔前で寸止めする。
マイルズは顔前の黒い大剣に自らの敗北を察しへたり込む。
「参りました……完敗でございます」
「最後の崩打はかなりの物だった、いい手合わせだったぞ、感謝する」
ホークスは三人に礼を言い、再生の土塊の前へ戻る。
マイルズは呆然と呟く。
「闘技も魔法支援も通じないとは……」
イングヴァルが興奮気味に言う。
「魔界で助けられた時さ、大鎌で魔物の首を一刀両断だったんだぞ!、あの人はあの新しい武器で、もっと強くなるはずだ!」
ミールも頷く。
「うん……あれ、本気出されたら私たちじゃ触れもしないかも」
マイルズが苦笑する。
「次はもう少し粘りたいもんだな」
■到達の予感
ホークスは再び土塊へ。
アルクの薙ぎ払いを受け止め、カウンターを叩き込む場面を思い描く。
闘技切断、闘技強斬撃。
一撃一撃、丁寧に放つ。
後方へ飛び、
「闘技――飛剣風」
飛剣風を再生の土塊へ放つ。
想定以上の威力。
「……悪くない」
手に馴染み始めた黒い大剣。
(これを使いこなせれば――)
ゲンやシルバーの領域。
そこへ届く手応え。
黒き刃が唸る。
再生の土塊へ、さらに闘技を撃ち込んでいく。
戦いの日は、近い。
第11話――終
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
サディストの私がM男を多頭飼いした時のお話
トシコ
ファンタジー
素人の女王様である私がマゾの男性を飼うのはリスクもありますが、生活に余裕の出来た私には癒しの空間でした。結婚しないで管理職になった女性は周りから見る目も厳しく、私は自分だけの城を作りまあした。そこで私とM男の週末の生活を祖紹介します。半分はノンフィクション、そして半分はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる