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第14話 魔法

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 冒険者ギルド資料室の一角。この騒がしい冒険者ギルドにおいて、この部屋の静寂さは有り難くも不思議な感覚を覚える。

そしてその静寂の中、魔法の参考書を広げ時間の許す限り読む事にする。
 昔から小説サイトで鍛えてある。このくらいの文字数ならなんとか読み切れるだろう。

 3冊はそれぞれ、初級から上級に分かれていた。

 ➖初級!誰でもわかる簡単魔法講座➖
 ➖中級!属性を知ることが偉大なる魔術師の第一歩➖
 ➖上級!ここまできたら使うだけ!これで貴方も魔術師だ!➖
 
うん。上巻から下巻的な扱いだな。要約すると。

 1.まずは貴方の魔力を感じましょう。職業が物理特化の人の中にも、魔力は存在します。
 2.魔力は外にも存在しています。センスがあれば感じ取れるでしょう。
 3.貴方の属性を知りましょう。属性には、火・水・風・土・光・闇 ・時空という7属性が存在します。
 4.紙に六芒星を描きその角にそれぞれの属性を書き、真ん中に時空と書きましょう。これを7枚用意します。
 5.まずは火属性です。火と書いてある星の角の部分を指先で持ち、魔力を込めましょう。紙が燃え尽きれば属性ありです。
 6.次に水属性です。以下同様。紙が濡れれば属性ありです。
 7.次に風属性です。以下同様。紙が引き裂かれれば属性ありです。
 8.次に土属性です。以下同様。紙が硬くなれば属性ありです。
 9.次に光属性です。以下同様。紙が発光すれば属性ありです。
 10.次に闇属性です。以下同様。紙が黒く染まれば属性ありです。
 11.最後に時空属性です。以下同様。紙が丸まって繊維に戻れば属性ありです。
 12.ここまで何かしらの変化が出た読者の皆さん。おめでとうございます。貴方もこれで脳筋から魔術師となりました。
 13.ここまで何も変化のなかった読者の皆さん。残念ながら貴方に魔法の才能はございません。戦士職で大成する事をお祈り致します。
 14. ここまで全てに反応を見せた読者の方。おそらく世界にも1人いるかいないかの無属性保持者です。
 魔法を良きことに使ってもらえるよう祈ります。
 15. さあ今度は紙の補助なしで、使ってみましょう。貴方の属性魔力をイメージして掌に具現化しましょう。言霊の補助を使うとやりやすいです。

 初級言霊
 ファイヤーボール
 ウォーターボール
 ウィンドボール
 アースボール
 ライトボール
 ダークボール
 時空属性は言霊はありません。イメージが大切です。

 こんな感じか。

 まずは魔力を感じてみようか。
 胡座をかき、精神を統一する。ラノベだと魔力の素は心臓もしくは丹田あたり。
 
心臓……。
 違う魔力の素はここではない。

 丹田……。
 違うのか?何も感じない。魔力の素は違う場所なのか?

 そうだ!

 僕は学ぶ者。
 自己流じゃなくて、誰かから教えてもらえば、それがきっかけになるかもしれない。

 資料室を出て一階ホールに向かう。
 こんな時間だが、何パーティかの冒険者がホールに集まっている。やはりギルド内は何時でも騒々しい。
そんな中を通り抜け、受付にいる女性のもとに向かう。

 緑色の長い髪。はっきりした目鼻立ちで、欧米人を思わせる顔立ちに細身のスタイル。やっぱりこの人も美人だ。

「すみません。Fランクのタカヤと言います。お伺いしたいのですが、訓練所は誰でも使えるのでしょうか」

「はい。タカヤ様。訓練所はどなたでも6鐘から22鐘まで無料でお使い頂けます。しかし木人形や藁人形は大破した場合、補助金支払いとなります。状態がもともと悪いものほど少ないですが、一応ご注意下さい」

「ありがとうございます。利用してみます。それと訓練的なものをしてくれる事もあるんでしょうか?」

「はい。当ギルドの職員で、得意としている分野の者が担当になりご指導させていただく事も可能です。こちらは有料ですが、今も22鐘まで剣士見習いのかたと魔術師見習いの方が、訓練中なので見学してみてはいかがですか?」

「えっ今ですか!すみません!ありがとうございます!行ってきます」

 これはいい事を聞いた。魔術師の訓練が見れるなんて。

 受付の女性に頭を下げ、足早に訓練所に向かうと、訓練所が見えてきた広さはサッカー場程あるだろうか。結構広い。

 ちょうど端の方で、魔術師2人が魔法を放っているのが見えた。

 二人を観察できる場所へと近付き、指導者であろうギルド職員に声を掛ける。

「すみません。今後訓練所を使わせて頂きたいので、ここでお邪魔にならなければ訓練風景を見学してもよろしいでしょうか?」

 一応断りを入れると、壮年の魔術師が答える。

「おっ。熱心だね。いいよ、存分に見ていきたまえ。さあキミ達。後輩が見ているよ。格好付けてみようか!」

 2人を観察する。
 学習している事を意識しながら集中する。訓練は魔法の威力を高める訓練のようだ。

「そうだ。魔法を放つ前にどれだけ魔力が供給できるかが大事なんだ!魔力を感じろ。全身から掌へ集めるんだ」

 本に書いてある内容と酷似している。訓練生も腹筋に力を入れグヌヌヌと顔をしかめている。

「そうだ、丹田内の魔力をできるだけ増やすんだ。いいぞ、増えてきている。感じるだろ?そうっ。そのままできた魔力を血管を通して心臓へ。そこでより魔力が増す。いいよ!そして一気に手のひらへ。イメージしろ。高威力の魔法を唱えろ。言霊をあの木人形に当たるイメージで放つんだ!」

 ドンっ!

 訓練生から放たれた魔法は、先ほどのファイヤーボールよりも明らかに高威力になっており、木人形を燃やし尽くした。

 どうやら限界近い魔力を放出したようで、訓練生はヘロヘロと座り込んでしまった。
その顔は何処か満足気だ。

「そうだ!それでいい。慣れるまでは一つ一つをイメージするんだ。よくやった。今日はこれで終わりだ。ゆっくり休めよ」

 こうして少し早いが、満足した結果に終わったのか、今日の訓練は終了となった。

 その場で軽く会釈をし、宿へと帰宅した。
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