転移先では望みのままに〜神族を助け異世界へ 従魔と歩む異世界生活〜 

荘助

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第24話 オリジナル

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 ポシルをモンスターBOXに待機させ、【クイート】の街に戻る。

 他の検証はなるべく人目に付かないよう、宿でやる予定だ。

 出るときに《気配遮断》を使い街を出てしまったため、僕は街から出ていないことになっている。

 なので、そのまま《気配遮断》を使い門をくぐる。

 《気配遮断》のLvが上がったことで、先程以上に気付かれることはなくすんなりと、門を通過する。

 この世界に《気配遮断》を使っている人はいないのだろうか?こんな門もガバガバっていうのは。
 ものすごい不味い気がしないでもないんだけど……。

 このとき僕は、盛大な勘違いをしていた。
 
 たしかに《気配遮断》はLv2でも、非常に強力な認識阻害を発揮し、Lv30以下では発見するスキルを持った者か余程の野生の勘を働かせられるもの以外、認識できる者はいない。

 先程のゴブリン達は魔物らしく野生の勘で、何となく存在は感じていたが、それでも何かまでは認識できなかった。それ程に強力なスキルなのだ。

 だからこそ《気配遮断》自体、日常的に常に気配を殺し、人の視線を誘導し自分に向けさせない訓練を受けたものが、長い訓練期間を持って発動するかしないかのスキルであり、かつて妻宣言し、ストーカーと化した幼馴染との命懸け?の隠れんぼが、いかに死活問題であったか想像に難くないだろう。

 つまり《気配遮断》のスキルを持っている者も稀少であり、それこそそんなスキルを持たれていたら、王城レベルのセキュリティが必要であるため、この規模の街なら諦めるか、個人を守る事しか出来ない。

「ただいま帰りましたー」

 時間は21鐘になる直前。
 このまま夕飯を食べるため、食堂のラーダさんとコックスさんに声をかける。

「おっ帰ったね。おかえり。ずいぶん遅かったじゃないか」

「ただいまラーダさん。依頼を済ませた後色々と」
「おや。無事依頼達成かい。そりゃあよかった。まあ無理しないようにね。夕飯は食べるんだろ?」

「はい。お願いします」

「カウンターに座りな」

 ラーダさんにカウンターに誘導され、すぐに今日の夕飯が出てくる。

「今日の夕飯はクッコ鳥の素揚げ定食さね。ソースに付けてお食べ」

 見た目は完全に唐揚げ定食だ。
 熱々の素揚げは少しスパイシーな食欲を刺激する香りを食堂全体に広げている。

「いただきます」

 手を合わせ、熱々の素揚げに手を伸ばす。
「熱っ!うま!」

 熱々の素揚げを一口で頬張ると、火傷しそうな程大量の肉汁が口いっぱいに広がる。

 下味は塩と香草だろうか、鼻から抜ける鶏肉の香りに一切の臭みはない。
 ソースは醤油ベースの甘辛いソースで、これもまた非常にあう。残念なのは白いご飯が無いことだろう。

 市場でも探したが、この地方には米は伝わっておらず、もっと東に行けば変わった穀物を食べる習慣がある部族がいるということで、大いに期待している。

 パンに挟めば、ハンバーガーだな。これはこれでうまい。

「ご馳走さまでした!」

「おうよっ」

 再度手を合わせ、厨房のコックスさんにお礼を伝える。

 そして、部屋に帰り、早速検証に取り掛かる。

 ポシルについて検証すべきは3つ
 1.ポシルへの魔力提供
 2.分裂化とその影響
 3.縮小化の限界と肥大化の限界の確認

「さて、ポシル?これから僕の魔力を糧にしてもらうけど、基本人の魔力を吸収する事で、不味い事はある?」

 吸収した後まずい事が起こるのは、避けたいところだが、ポシルは軽く体を横に振り《大丈夫》だと意思を伝えてくる。

「マ ス タ う え」「き も ち い い」
 どうやら僕の上にいると吸収しなくても、僕の魔力に触れるだけで、気持ちが良いようだ。

 ポシルからの意思を受け、魔力提供を始める。

 ポシルをベッドの上に乗せ。丹田より全属性となった魔力を活性化させる。

 全身の魔力を十分に活性化させたところで、魔力操作により右手の指先に魔力を集める。

「さあ。指先の魔力を吸収してごらん。MPには余裕があるから、ストップって言うまで自由に吸収していいよ」
 左手でポシルの頭部を撫でながら、右手の指先を近付ける。

 ポシルからどんどん意思が伝わってくる。そのほとんどが喜びやソワソワとした期待感。

 どうやら待ちきれないようだ。ポシルは直ぐに触手を伸ばし、吸収を始めた。

 吸収を始めると同時に、ポシルは薄く虹色に輝き出す。
 指先からは明らかに魔力が奪われている感覚があり、勢いよく魔力がポシルに流れている。
 同時に魔法感知で魔力の流れを感じて、無駄のないように魔力を流していく。

 そして
 MP 1690
 MP 1320
 MP 1120
 MP 920

 MPがどんどん減っていく。
 それに伴い、ポシルの輝きも強くなっているように見える。
 この辺りで補助なしでもポシルは、無駄なく魔力を吸収し始めた。

 MP 710
 MP 520
 MP 330

 そろそろ限界だろうか。ギリギリまでポシルに与えるつもりで、指を差し出す。

 MP 220

「くっ……」

 急激に魔力が減り体から力が抜ける。
 もう少し……。

 MP 100
 MP 40

「すっストップ!」
 少しの倦怠感と共に指をポシルから離す。
 そして最終的には……。

 MP 4

 ここまでギリギリだとまずいかな。
 ふらつく体になんとか力を込めて、姿勢を正す。
 そして、直ぐに座禅を組み魔力還元を発動する。

 そういえばHPポーションも、MPポーションも買ってないや。迂闊だったな。
 明日は《狐屋》に行って買わないと。

 ふらつきがなくなるくらいにMPを回復させ、《幸せ》という意思が伝わってくるポシルを解析する。

 オリジナルスライム♯定着
【Name】ポシル
【age】0
【Lv】1
【HP】 380/380
【MP】 320/320
【力】       120
【体力】    110
【器用】    100
【知力】 85
【素早さ】80
【魔力】   120

【スキル】
 ユニークスキル
 吸収 
 透明化 

 ノーマルスキル
 分裂体<Lv1> 魔力操作<Lv1> 魔力感知<Lv1> 念話<Lv1>衝撃耐性<Lv1> 全属性耐性<Lv1>   硬化<Lv1>  薬生成<Lv1>

「ふぁっ!」

 あっなんかやってしまったかも……。

 まずは種族名が変わってしまった。
 オリジンからまさかのオリジナル。原初から独創物へ。そして定着の文字。

 どうやらこれが、ポシルの定着先のようだ。

 見た目は元のオリジンスライムとほとんど変わらず。
 ステータスは大幅UP。もはや僕より強いんじゃないかこれ。

 同時に新スキル取得。 
 魔力操作と魔力感知は、吸収の時の補助が急にいらなくなったから、もしやと思ったけど他はなんとも……。

 分裂体
 ※分裂した側に自我を付加 お互いの意思を共有可能。 分裂数はLvに依存 最大Lv10

 全属性耐性
 ※全ての属性に対し耐性を得る。耐性はLvに依存 最大Lv10

 硬化
 ※体の一部分もしくは、全体を硬化する事が出来る。硬化硬度、硬化時間はLv依存 最大Lv10

 薬生成
 ※ 体内に取り入れた全属性の魔力と、効能のある植物から薬を生成する。薬の種類 効果 量はLvに依存 最大Lv10

 これだもんなー

 検証項目が増えてしまった……。

「マスター?」

 そしてポシルとは違う、はっきりとした声が頭に響いた。
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