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春の国の王と王妃が、美しいバラ園で紅茶を飲みながら寛いでいると。

誰もが心を奪われるような声で「父上。母上。急で申し訳ありませんが、確認をしたい事があるのです。今、よろしいでしょうか?」とこの国の宝と言われている第一王子として、王太子のジークがやってきた。

「まぁ~。ジークどうしたの?まずはここに座ってから、話を聞くわよ。侍女長。ジークにも紅茶をお願いね。」

「かしこまりました。」

ジークはイスに座った。

「確認したい事とは?今。取り組んでいる仕事の話か?地方の改革については、大臣達も流石王太子だと褒めていたぞ。問題でもあったのか?それとも最終確認か?」

ジークは紅茶を一口飲んでから

「いえ。仕事については、今のところ問題なく進んでます。後少し進みましたら、父上に書類を提出するので確認をお願いします。」

「わかった。それでは~他にあるのか?」

その会話を聞きながら、王妃はもしかして~あの事かしらと思い。

「もしかして~ふふ。婚約者候補のマリーナの事かしら。近々正式に婚約者を発表する舞踏会を開催するから、贈るドレスについてかしら。ふふ。いつも通りに、あなたの青色一色で構わないわよ。候補と言っても~あれを見て、マリーナがあなたに寵愛されているのが周りにもわかっているわ。良かったわね。やっとあなたの想いが叶って。これからは。王太子妃、王妃教育があるけど、あなたが支えてあげるのよ。候補者を集めての一般教養とマナーは大丈夫だと聞いているわ。」

嬉しそうに話す母を見て、ジークは嫌な顔をした。
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