じい様が行く 「いのちだいじに」異世界ゆるり旅

蛍石(ふろ~らいと)

文字の大きさ
表紙へ
6 / 166
1巻

1-3

しおりを挟む
「で、いくらじゃ?」

 あまり時間をかけても仕方ないので単刀直入じゃ。これで即答できないなら他に行こう。

「100ランカ12万リルでいかがでしょう?」
「相場は100ランカ15万リルじゃないのかの?」
「それは以前の相場です。今はもっと下がってますのでこの値段になります」
「ふむ。帰るのじゃ」

 全てを鞄に収納して席を立つ。

「ま、待ってください。安すぎでしたか」
「当たり前じゃ。自分たちの指、鼻、舌で最高品質と納得したんじゃろ? それなのにそんな値段では、売る必要がないじゃろう。他に行くだけじゃ」

 目先のもうけに釣られて欲をかきすぎじゃ。

「儂としてはこのギルドに登録したから売ろうかと思っただけじゃ。別にここで売らねばならん理由は全くないからのぅ」

 当面の資金もまだまだあるからこれは事実じゃ。あなどられてまで売る必要は全くないんじゃよ。

「分かりました。この品質のモノを仕入れない馬鹿はいません。100ランカ20万リルでいかがですか?」
「それは真っ当な相場じゃな」
「ではそれで」

 ネイサンが言い終わる前に言葉を付け足していく。

「ただ軽く馬鹿にされたからのぅ。誠意くらいは見せてほしいんじゃよ。ダメかのぅ?」

 目を見開き、思わずビルを見るネイサンじゃが、彼は味方であっても若干立場が違う。良い品を仕入れることが一番大事な紅茶担当者。そんな者が目の前にある最高品質の仕入れの機会を逸するはずもない。力強く頷かれると、ネイサンはこう言うしかなかった。

「……100ランカ23万リルでお願いします」

 苦虫を噛み潰したかのような渋い表情で、声を絞り出してネイサンは小さく答える。
 その値段で仕入れても全く問題ないくらいの利益は出るじゃろ。

「それで手を打とうかの。ここに全部出せばいいのかの?」
「ビル、量ってください。私はアサオさんとまだ商談がありますので」

 木筒100本を鞄から出してテーブルに並べる。
 ビルは部屋から一度出て、量りを持ってまた戻ってきた。儂から見える所で計量をするようじゃな。

「で、商談の残りとは何じゃ?」
「この茶葉の仕入れはどちらからなんで」
「教えるわけないじゃろ」

 ネイサンの言葉をさえぎりぴしゃりと言い放つ。

「紅茶の買い取りだけでおしまいじゃ」
「だけ、ということは他にも何かあるんでしょうか?」

 こんな目先の利益しか見えないヤツがなんでおさなんてやっとるんじゃろか。

「あるぞ。じゃが売らん。諦めることじゃな」

 コーヒーはどこか別の街で売ることにするかの。紅茶だけで十分な利益になっとるからのぅ。こんな所からはさっさとオサラバするのじゃ。
 量り終えたビルが項垂うなだれているネイサンに結果を告げる。

「紅茶1万ランカ、確かにあります。買付金額は2300万リルになります。よろしいでしょうか」
「間違いないのぅ」
「では代金を持ってきますので少々お待ちください」

 ネイサンが部屋を出ていき、残るはビルと嬢ちゃん。

「あんなのがなんで長なんてできとるんじゃ? 目先の利益しか見えとらん小物に思えるのじゃが」
「その目先の利益にものすごく鼻が利くんです。ですからギルドマスターをしてるんです」
「マスターを小物って……」

 ビルは苦笑いしながらも、なんとかネイサンを庇おうと声を出す。かたや嬢ちゃんは二の句が継げない状態じゃった。

「そうか。大局を見誤らんようにせんと大変じゃな」

 それだけ告げると全員黙ることになった。
 しばらくするとネイサンが笑顔で戻ってくる。

「お待たせしました。こちら代金になります。またお越しの際はお願いします」

 まだ何か金になるネタがあると分かったから下手に出とるんじゃろな。
 やはり小物じゃな。ここに来ることはもうないじゃろ。

「また機会があったらお願いするのじゃ」

 代金を受け取って鞄に仕舞い、部屋をあとにする。
 今日はもう疲れた。肉体的には問題ないが精神的にへろへろじゃ。宿で一服しながらのんびりするしかないじゃろ。
 あー明日からは何するかのぅ。冒険者ギルドに顔を出してみるかの。いや、その前に仮身分証を返しに行かんとダメじゃな。
 よし、明日はそれからやることにしよう。


《 7 冒険者ギルドに行こう 》
 翌朝一番で門番さんの所へ行き、仮身分証を返却。そこでまた門番さんと少し世間話をした。
 どうやら儂が初めにいたジャミの森は、高ランク冒険者向けの場所になっとるそうじゃ。
 というか一般市民や低ランク冒険者は、立ち入ることすら禁止されとるほど危険らしい。
 スールへの道中、脇を通ったことにして話したら驚かれたんじゃ。すぐ傍を通るのも危ないそうでな。そこを一人で通り抜けてきたんだから驚かれもするかの。
 ただ、あそこの戦利品という名の魔物の死体はどうすればいいんじゃろか……と思っとったら門番さんが教えてくれたんじゃ。
 魔物は素材や食材になるので、冒険者ギルドで買い取りをしてくれると。登録しないでも買い取りしてくれるならいいんじゃが、どうするかのぅ。
 悩んだところでしょうがない。冒険者ギルドに行くしかないじゃろ。
 ただ朝一番は混雑するから避けたほうが賢いそうじゃ。門番さんとの世間話で時間を潰せたから、今から行く分には空いてるじゃろ。


 南門のすぐ近くにある石造りの二階建てが冒険者ギルドじゃった。
 世間話をした門番さんがいるのは西門。大抵の街は南門近くに冒険者ギルドを置くそうじゃ。南門が正門で『顔』になるんじゃと。
 討伐した魔物の死体運搬や採取の納品などで荷車を使うことがままあり、街中だと邪魔になるからのぅ。
 ギルド内は職員以外ほとんど人がおらんかった。受付に顔を出すと女性が一人来てくれた。

「討伐した魔物を売りたいんじゃが、登録せんとダメなのかのぅ?」
「売却だけでしたら登録は必要ありません。ただ魔物の討伐報酬が出ませんので登録をオススメしております」
「商業ギルドに登録済みなんじゃが、こちらにも登録できるかの?」
「問題なくできます。カードを更新し、冒険者登録するだけなので簡単に終わりますよ」

 カード一枚で情報を一括管理とは便利じゃな。

「規約なんかがあるなら教えてくれんかの? それから登録するか決めてもいいんじゃろ?」
「はい構いません。では規約を説明させていただきますね」

 不都合や不利益があるなら登録する必要がないからのぅ。結論を急ぎ過ぎても碌なことがありゃせん。

「規約は商業ギルドと大きく変わりません。ただ冒険者の私闘はご法度はっとです。相手が一般市民であればもちろんですが冒険者同士でも同じです。依頼人との直接交渉は禁止されていませんが、トラブルが起こってもギルドは一切介入できません。なのでなるべく受けないことをオススメします。何か質問はありますか?」
「大丈夫じゃ」
「次に冒険者ランクと依頼ランクの説明です。どちらも最低がF、E、D、C、B、Aときて最高がSとなり、自分の冒険者ランクの一つ上のランクの依頼まで受注可能です。依頼失敗の場合違約金がかかりますので気を付けてください。連続で失敗するとランクダウンもあります。ランクアップは依頼の達成件数、成功率、評価により判断されます。ランクC以上は試験も課されますので頑張ってください」
「強制参加の依頼などはあるのかの?」
「あります。ギルド、国からの強制一括指名依頼などですね」

 あぁやっぱりあるんか。なら登録は見送るべきじゃな。身分証は商業ギルドカードで十分じゃ。

「登録はやめておくかの」
「そうですか。では魔物の売却はどうなさいますか?」
「そっちはお願いするのじゃ。ここで出せばいいのかの? ジャミの森の魔物なんじゃが」
「ジャ、ジャミの森ですか。しょ、少々お待ちください」

 なんか嬢ちゃん慌ててたの。ジャミ産の魔物の持ち込みは少ないのかのぅ。
 お、儂より若いおじさんが一緒に来たのぅ。
無限収納インベントリ】の中には、熊に猪、狼に兎に猿まで入っとるんじゃが……

「買い取り担当のビスと申します。ジャミ産の魔物をお持ちとのことですので、倉庫へ同行していただいてもよろしいでしょうか?」
「構わんぞい」

 ビスに連れられ倉庫に案内される。

「ところで何体まで買い取りできるんじゃ? それによって出す数が変わるんじゃが」
「そんなに沢山お持ちなのですか? 参考までに数を教えていただけますか?」
「レッドベア一〇頭、レッドボア八頭、フォレストウルフ一三頭、レッドラビ八羽、ワイルドエイプ五頭じゃな」

 これでもかなり逃げたんじゃが、向かってきた分は狩ってやったわい。

「全部買い取りさせていただきます!」

 なんか目の色変わっとるぞ。大丈夫なんか?

「ジャミ産の魔物は最近出回っていないので、ぜひ買い取りさせてください。需要に対して供給が圧倒的に不足している現状をこれで改善できます」
「そんなに不足しとるんか? 高ランクなら問題なく狩れるじゃろう」
「この街には高ランク冒険者が少ないのです。ですからパーティも組めず、狩れないのです」

 そういえばあの森は高ランクじゃったな。それなら納得じゃのぅ。そんなところでのソロ狩りは、やはりいかんな。天災級ステータスとは恐ろしいもんじゃ。

「全部買い取ってくれるならお願いするのじゃ。ここに出せばいいのかの?」
「この倉庫内でしたらどこでも構いません。出された物をすぐに査定しますので少しお待ちください」

 ビスの目が輝いておるのぅ。
無限収納インベントリ】からどんどん出して置いていく。種類ごとに置いたので魔物の小山が五つ。これでいくらくらいになるんじゃろか。
 結果が出るまで茶を飲みながらしばし待つかの。


 結果は数分とせずに出た。

「レッドベア80万リル×10頭で800万。レッドボア70万×8頭で560万。フォレストウルフ20万×13頭で260万。レッドラビ1万×8羽で8万。ワイルドエイプ30万×5頭で150万。合計1778万リルとなります。これで問題ありませんか?」
「そんな高くなるもんなのか。驚きじゃな」
「最近は高騰こうとうしてます。ですからこれだけの金額になりました」
「そんな高値ならこちらに不満はないから大丈夫じゃ」
「でしたらギルドマスターの執務室で代金をお渡しします。こちらです」

 ビスに案内され今度はギルド二階の執務室へ。
 中では太った中年男が書類とにらめっこをしておった。

「マスター、買い取り代金をお願いします。こちらが伝票です」
「ん? ここに来るくらい大量だったのか?」

 ビスから渡された伝票をちらりと見ながら、ギルドマスターらしき小太りの男が答える。

「はい。こちらの方がジャミの森産の魔物を大量に売ってくださいました」
「ほほぅ。ジャミ産を大量とはいい腕だな。Aランク辺りか?」

 ジャミの森と聞いたギルドマスターは、値踏みするような目付きで興味深そうに見てきおった。

「いいや。登録しとらん。儂は商人じゃ」
「商人がジャミで狩りなんぞできるわけないだろう」

 鼻で笑いながら小馬鹿にしてくる中年男。ここのマスターもダメなのか。

「戦うすべを持った商人くらいいるじゃろが。自衛ができれば経費が浮く。そんなの当たり前のことじゃ」
「冒険者登録はしてないのか? それだけの腕なら十分やっていけるだろう」

 商人を下に見るかのような発言を繰り返す小太り。

「儂は商人じゃ。冒険者にはならん。こんな爺を無理に登録させるようなら、さっきの魔物も全部売らん。帰るだけじゃ」
「それは困ります。マスターは余計なこと言ってないで代金をお願いします」

 売らないと言われて、ビスが慌て出す。これ、ビスがマスターやったほうが良いと思うんじゃが。

「……身分証の提示を頼む。その確認が出来次第代金を渡す」

 渋々か。この街のギルドはダメじゃな。さっさと次へ向かうとするかの。
 カードを渡し確認完了。代金と一緒に返された。

「またの機会があればお願いするのじゃ」

 それだけ言って足早に執務室を、そしてギルドをあとにする。


 ギルドで絡んでくるのは若造がテンプレなんじゃないんかのぅ。どっちのギルドでもそれがマスターとはの……組織を守る立場上、疑ってかかるのは仕方ないことだとは分かるんじゃが。
 儂もまだまだ青いのぅ。婆さんに散々たしなめられたのに、ついカッとなる癖が治らん。まぁ治す気があまりないのも事実なんじゃがな。
 権力や地位をかさに着たやからや、小狡こずるい奴が大嫌いじゃからな。
 宿屋の前払い分が切れたらさっさと出て行くかの。ここよりマシな街はいくらでもあるじゃろ。いや街は良かったんじゃが、ギルドだけがダメだったんじゃな。惜しい街じゃ。


《 8 しばらくのんびりじゃ 》
 この街ですることはもうない。なので宿屋でのんびりしつつ、気になる店などをぶらぶら。宿屋を引き払うまでのあと数日はこんな生活じゃ。
 買い物はほぼ済んでいるんじゃがな。目的もなくぷらぷらするのは楽しいもんじゃ。
 わざわざ絡まれに行くのも阿呆あほらしいから、どちらのギルドにも顔は出しとらん。
 美味しそうな焼き鳥があれば買い、【無限収納インベントリ】へ。
 美味しそうなパンがあれば買い、【無限収納インベントリ】へ。
 美味しそうな汁ものがあれば買い、【無限収納インベントリ】へ。
 食べ物ばかりじゃな。
 あぁそうじゃ。移動の時に使える魔道具としてコンロを買ったんじゃよ。魔法で大抵なんとかなるんじゃが、自炊するとなると必要じゃからな。カセットコンロみたいなもんで23万もしたわい。高いのぅ。紅茶100ランカと一緒の値段じゃ……そう考えると安いのかの?
 他にも土鍋、鉄鍋、片手鍋にフライパンを買い足した。料理を作ったら鍋ごと【無限収納インベントリ】に仕舞っておけば、いつでも出来立てほかほかじゃ。
 街にいる間は宿屋で料理を補充することにしたんじゃ。空いてる時間に頼んだら喜んで受けてくれたので、鍋と食材を渡して煮込み料理を頼み、仕上がったら【無限収納インベントリ】に収納。
 塩味しかしないからといって、料理してくれた人の目の前で調味料を足すなんてことはしとらんぞ。失礼じゃからな。
 これで食事も問題なし。
 料理ついでにサラダ用のドレッシングを教えたら、驚いておったわい。サラダにも塩かけるだけじゃったからな。塩、油、酸味のある果汁があるのに塩サラダとは勿体ない。基本のドレッシングさえ教えればあとは自分たちでいろいろ作るじゃろ。
 早速夕食にドレッシングが出てきて笑ったわい。
 しかも客の反応が面白かったんじゃ。
 素材それぞれの味は分かるのに全く知らない味になっとるんじゃからな。驚きもするじゃろ。


 翌日、マヨネーズのレシピを教えて頼んでみたら作ってくれた。
 これに関しても目からうろこ状態なんじゃろな。卵を調味料にするんじゃからそれもそうか。
 これも宿で出したいと言っとったから、構わんと伝えたんじゃ。別に秘匿ひとくするようなもんでもないからの。
 ただ卵の鮮度にだけは注意するようきつく言っといた。
 まさかのマヨネーズも【無限収納インベントリ】に収納できてほくほくじゃ。


 そんなこんなで数日経過。
 イスリールに挨拶しておこうかと思い、神殿へ足を運ぶ。
 前回と同じく正面の像の前で目を瞑る。また周囲の音が消えていく。

「セイタロウさんこんにちは。今日はどうされました?」
「そろそろ次の街へ行こうかと思っての。その挨拶じゃ」
「そうですか。旅の無事を祈ります。『いのちだいじに』ですからね」

 イスリールは小さくガッツポーズをしながらそんなことを言う。
 なんじゃ、森のを見てたんか。

「そうじゃな。あとマヨネーズとドレッシングを教えてしまったんじゃが問題ないじゃろか?」
「大丈夫ですよ。それはこちらがお礼を言いたいくらいですから」

 問題なさそうじゃ。
 おぉそうじゃ、コーヒーメーカーのことも聞いとくべきじゃな。

「電動コーヒーメーカーをこちらで使うにはどうすればいいんじゃ? さすがに電気はないじゃろ?」
「セイタロウさんの魔力を変換して使えるようにしましょうか。使用者を限定してしまえばできますから」
「流通はできないんじゃな」
「そうですね。技術レベルに合いませんからそこは制限します。ただ料理や農業などはどんどん指導していただけるとありがたいです。いまいち発展していませんので。でも無理はしないでくださいね」

 機械はダメじゃが、知識、技術はいいんじゃな。

「分かったのじゃ。気が向いた時にやるだけじゃから大丈夫じゃ」
「ならそれでお願いします」

 おぉ、そうじゃ。もひとつ気になることがあったわい。

「〈朝尾茶園〉で買った物はどこから来とるんじゃ? あっちの在庫がなくなるようなら、別の手を考えないとならんからのぅ」
「茶園と同じ物を買っていますが、在庫は一切減りません。複製してセイタロウさんのもとへと送っています。あ、お金はあちらにあるセイタロウさんの隠し口座へ入金されてます」
「隠し口座なんて持っとらんぞ!? しかも知らないうちに増えていく残高は、もっとおかしいじゃろ」

 慌ててツッコミを入れるが、暖簾のれんに腕押し。

「僕にできるタクミ君たちへのです」

 にこりと微笑みを浮かべるイスリール。なんじゃ、ギルドでのやり取りも見てたのか。

「これ以上言ってもダメそうじゃな。じゃあまたの。次の街にも神殿があれば挨拶に来るからの」
「はい。お気を付けて」

 イスリールの笑顔を最後に周囲の音が戻ってくる。
 あとは明日の出立直前に商業ギルドへ挨拶くらいするかの。挨拶だけなら絡まれることもないじゃろ。
 そうと決まれば、今日は最後の宿屋を満喫じゃな。


《 9 旅立ちじゃな 》
 翌朝。
 宿を引き払い、商業ギルドへ挨拶に向かう。建物に入ると受付の嬢ちゃんがいた。

「アサオさん。おはようございます」
「おはようさん。今日この街を出るから挨拶に来たんじゃ。嬢ちゃんには世話になったの」
「いいえ、私こそありがとうございました。マスターにご挨拶なさいますか?」
「結構じゃ。もう出るからの。ビルによろしく伝えといてくれればそれで問題ないのじゃ」
「分かりました。伝えておきます。アサオさん、怪我などに注意してくださいね」
「嬢ちゃんも元気でな」

 軽い挨拶を済ませギルドをあとにする。ネイサンに会えばまた面倒じゃろうから、これで済んだのは僥倖ぎょうこうじゃな。
 そのまま西門へと向かう。

「いろいろ世話になったのぅ。次の街へ行くから挨拶に来たのじゃ」
「爺さん、わざわざ門番へ挨拶しに来るとはマメだな」
「挨拶くらいは普通じゃろ?」
「そうでもないのが普通なんだよ」

 苦笑いの門番さん。

「旅の無事を祈る。無理だけはするなよ、爺さん」
「分かったのじゃ。門番さんも気を付けての」

 カードに街を出る記録を付けてもらい、そのまま街道へ。
 ジャミの森近くを北上すると小さな村があるらしいのでそこへ向かう。
 徒歩だと二日かかるかどうかの距離らしい。


しおりを挟む
表紙へ
感想 1,739

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。