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1巻
1-3
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「で、いくらじゃ?」
あまり時間をかけても仕方ないので単刀直入じゃ。これで即答できないなら他に行こう。
「100ランカ12万リルでいかがでしょう?」
「相場は100ランカ15万リルじゃないのかの?」
「それは以前の相場です。今はもっと下がってますのでこの値段になります」
「ふむ。帰るのじゃ」
全てを鞄に収納して席を立つ。
「ま、待ってください。安すぎでしたか」
「当たり前じゃ。自分たちの指、鼻、舌で最高品質と納得したんじゃろ? それなのにそんな値段では、売る必要がないじゃろう。他に行くだけじゃ」
目先の儲けに釣られて欲をかきすぎじゃ。
「儂としてはこのギルドに登録したから売ろうかと思っただけじゃ。別にここで売らねばならん理由は全くないからのぅ」
当面の資金もまだまだあるからこれは事実じゃ。侮られてまで売る必要は全くないんじゃよ。
「分かりました。この品質のモノを仕入れない馬鹿はいません。100ランカ20万リルでいかがですか?」
「それは真っ当な相場じゃな」
「ではそれで」
ネイサンが言い終わる前に言葉を付け足していく。
「ただ軽く馬鹿にされたからのぅ。誠意くらいは見せてほしいんじゃよ。ダメかのぅ?」
目を見開き、思わずビルを見るネイサンじゃが、彼は味方であっても若干立場が違う。良い品を仕入れることが一番大事な紅茶担当者。そんな者が目の前にある最高品質の仕入れの機会を逸するはずもない。力強く頷かれると、ネイサンはこう言うしかなかった。
「……100ランカ23万リルでお願いします」
苦虫を噛み潰したかのような渋い表情で、声を絞り出してネイサンは小さく答える。
その値段で仕入れても全く問題ないくらいの利益は出るじゃろ。
「それで手を打とうかの。ここに全部出せばいいのかの?」
「ビル、量ってください。私はアサオさんとまだ商談がありますので」
木筒100本を鞄から出してテーブルに並べる。
ビルは部屋から一度出て、量りを持ってまた戻ってきた。儂から見える所で計量をするようじゃな。
「で、商談の残りとは何じゃ?」
「この茶葉の仕入れはどちらからなんで」
「教えるわけないじゃろ」
ネイサンの言葉を遮りぴしゃりと言い放つ。
「紅茶の買い取りだけでおしまいじゃ」
「だけ、ということは他にも何かあるんでしょうか?」
こんな目先の利益しか見えないヤツがなんで長なんてやっとるんじゃろか。
「あるぞ。じゃが売らん。諦めることじゃな」
コーヒーはどこか別の街で売ることにするかの。紅茶だけで十分な利益になっとるからのぅ。こんな所からはさっさとオサラバするのじゃ。
量り終えたビルが項垂れているネイサンに結果を告げる。
「紅茶1万ランカ、確かにあります。買付金額は2300万リルになります。よろしいでしょうか」
「間違いないのぅ」
「では代金を持ってきますので少々お待ちください」
ネイサンが部屋を出ていき、残るはビルと嬢ちゃん。
「あんなのがなんで長なんてできとるんじゃ? 目先の利益しか見えとらん小物に思えるのじゃが」
「その目先の利益にものすごく鼻が利くんです。ですからギルドマスターをしてるんです」
「マスターを小物って……」
ビルは苦笑いしながらも、なんとかネイサンを庇おうと声を出す。かたや嬢ちゃんは二の句が継げない状態じゃった。
「そうか。大局を見誤らんようにせんと大変じゃな」
それだけ告げると全員黙ることになった。
しばらくするとネイサンが笑顔で戻ってくる。
「お待たせしました。こちら代金になります。またお越しの際はお願いします」
まだ何か金になるネタがあると分かったから下手に出とるんじゃろな。
やはり小物じゃな。ここに来ることはもうないじゃろ。
「また機会があったらお願いするのじゃ」
代金を受け取って鞄に仕舞い、部屋をあとにする。
今日はもう疲れた。肉体的には問題ないが精神的にへろへろじゃ。宿で一服しながらのんびりするしかないじゃろ。
あー明日からは何するかのぅ。冒険者ギルドに顔を出してみるかの。いや、その前に仮身分証を返しに行かんとダメじゃな。
よし、明日はそれからやることにしよう。
《 7 冒険者ギルドに行こう 》
翌朝一番で門番さんの所へ行き、仮身分証を返却。そこでまた門番さんと少し世間話をした。
どうやら儂が初めにいたジャミの森は、高ランク冒険者向けの場所になっとるそうじゃ。
というか一般市民や低ランク冒険者は、立ち入ることすら禁止されとるほど危険らしい。
スールへの道中、脇を通ったことにして話したら驚かれたんじゃ。すぐ傍を通るのも危ないそうでな。そこを一人で通り抜けてきたんだから驚かれもするかの。
ただ、あそこの戦利品という名の魔物の死体はどうすればいいんじゃろか……と思っとったら門番さんが教えてくれたんじゃ。
魔物は素材や食材になるので、冒険者ギルドで買い取りをしてくれると。登録しないでも買い取りしてくれるならいいんじゃが、どうするかのぅ。
悩んだところでしょうがない。冒険者ギルドに行くしかないじゃろ。
ただ朝一番は混雑するから避けたほうが賢いそうじゃ。門番さんとの世間話で時間を潰せたから、今から行く分には空いてるじゃろ。
南門のすぐ近くにある石造りの二階建てが冒険者ギルドじゃった。
世間話をした門番さんがいるのは西門。大抵の街は南門近くに冒険者ギルドを置くそうじゃ。南門が正門で『顔』になるんじゃと。
討伐した魔物の死体運搬や採取の納品などで荷車を使うことがままあり、街中だと邪魔になるからのぅ。
ギルド内は職員以外ほとんど人がおらんかった。受付に顔を出すと女性が一人来てくれた。
「討伐した魔物を売りたいんじゃが、登録せんとダメなのかのぅ?」
「売却だけでしたら登録は必要ありません。ただ魔物の討伐報酬が出ませんので登録をオススメしております」
「商業ギルドに登録済みなんじゃが、こちらにも登録できるかの?」
「問題なくできます。カードを更新し、冒険者登録するだけなので簡単に終わりますよ」
カード一枚で情報を一括管理とは便利じゃな。
「規約なんかがあるなら教えてくれんかの? それから登録するか決めてもいいんじゃろ?」
「はい構いません。では規約を説明させていただきますね」
不都合や不利益があるなら登録する必要がないからのぅ。結論を急ぎ過ぎても碌なことがありゃせん。
「規約は商業ギルドと大きく変わりません。ただ冒険者の私闘はご法度です。相手が一般市民であればもちろんですが冒険者同士でも同じです。依頼人との直接交渉は禁止されていませんが、トラブルが起こってもギルドは一切介入できません。なのでなるべく受けないことをオススメします。何か質問はありますか?」
「大丈夫じゃ」
「次に冒険者ランクと依頼ランクの説明です。どちらも最低がF、E、D、C、B、Aときて最高がSとなり、自分の冒険者ランクの一つ上のランクの依頼まで受注可能です。依頼失敗の場合違約金がかかりますので気を付けてください。連続で失敗するとランクダウンもあります。ランクアップは依頼の達成件数、成功率、評価により判断されます。ランクC以上は試験も課されますので頑張ってください」
「強制参加の依頼などはあるのかの?」
「あります。ギルド、国からの強制一括指名依頼などですね」
あぁやっぱりあるんか。なら登録は見送るべきじゃな。身分証は商業ギルドカードで十分じゃ。
「登録はやめておくかの」
「そうですか。では魔物の売却はどうなさいますか?」
「そっちはお願いするのじゃ。ここで出せばいいのかの? ジャミの森の魔物なんじゃが」
「ジャ、ジャミの森ですか。しょ、少々お待ちください」
なんか嬢ちゃん慌ててたの。ジャミ産の魔物の持ち込みは少ないのかのぅ。
お、儂より若いおじさんが一緒に来たのぅ。
【無限収納】の中には、熊に猪、狼に兎に猿まで入っとるんじゃが……
「買い取り担当のビスと申します。ジャミ産の魔物をお持ちとのことですので、倉庫へ同行していただいてもよろしいでしょうか?」
「構わんぞい」
ビスに連れられ倉庫に案内される。
「ところで何体まで買い取りできるんじゃ? それによって出す数が変わるんじゃが」
「そんなに沢山お持ちなのですか? 参考までに数を教えていただけますか?」
「レッドベア一〇頭、レッドボア八頭、フォレストウルフ一三頭、レッドラビ八羽、ワイルドエイプ五頭じゃな」
これでもかなり逃げたんじゃが、向かってきた分は狩ってやったわい。
「全部買い取りさせていただきます!」
なんか目の色変わっとるぞ。大丈夫なんか?
「ジャミ産の魔物は最近出回っていないので、ぜひ買い取りさせてください。需要に対して供給が圧倒的に不足している現状をこれで改善できます」
「そんなに不足しとるんか? 高ランクなら問題なく狩れるじゃろう」
「この街には高ランク冒険者が少ないのです。ですからパーティも組めず、狩れないのです」
そういえばあの森は高ランクパーティ向けじゃったな。それなら納得じゃのぅ。そんなところでのソロ狩りは、やはりいかんな。天災級ステータスとは恐ろしいもんじゃ。
「全部買い取ってくれるならお願いするのじゃ。ここに出せばいいのかの?」
「この倉庫内でしたらどこでも構いません。出された物をすぐに査定しますので少しお待ちください」
ビスの目が輝いておるのぅ。
【無限収納】からどんどん出して置いていく。種類ごとに置いたので魔物の小山が五つ。これでいくらくらいになるんじゃろか。
結果が出るまで茶を飲みながらしばし待つかの。
結果は数分とせずに出た。
「レッドベア80万リル×10頭で800万。レッドボア70万×8頭で560万。フォレストウルフ20万×13頭で260万。レッドラビ1万×8羽で8万。ワイルドエイプ30万×5頭で150万。合計1778万リルとなります。これで問題ありませんか?」
「そんな高くなるもんなのか。驚きじゃな」
「最近は高騰してます。ですからこれだけの金額になりました」
「そんな高値ならこちらに不満はないから大丈夫じゃ」
「でしたらギルドマスターの執務室で代金をお渡しします。こちらです」
ビスに案内され今度はギルド二階の執務室へ。
中では太った中年男が書類とにらめっこをしておった。
「マスター、買い取り代金をお願いします。こちらが伝票です」
「ん? ここに来るくらい大量だったのか?」
ビスから渡された伝票をちらりと見ながら、ギルドマスターらしき小太りの男が答える。
「はい。こちらの方がジャミの森産の魔物を大量に売ってくださいました」
「ほほぅ。ジャミ産を大量とはいい腕だな。Aランク辺りか?」
ジャミの森と聞いたギルドマスターは、値踏みするような目付きで興味深そうに見てきおった。
「いいや。登録しとらん。儂は商人じゃ」
「商人がジャミで狩りなんぞできるわけないだろう」
鼻で笑いながら小馬鹿にしてくる中年男。ここのマスターもダメなのか。
「戦う術を持った商人くらいいるじゃろが。自衛ができれば経費が浮く。そんなの当たり前のことじゃ」
「冒険者登録はしてないのか? それだけの腕なら十分やっていけるだろう」
商人を下に見るかのような発言を繰り返す小太り。
「儂は商人じゃ。冒険者にはならん。こんな爺を無理に登録させるようなら、さっきの魔物も全部売らん。帰るだけじゃ」
「それは困ります。マスターは余計なこと言ってないで代金をお願いします」
売らないと言われて、ビスが慌て出す。これ、ビスがマスターやったほうが良いと思うんじゃが。
「……身分証の提示を頼む。その確認が出来次第代金を渡す」
渋々か。この街のギルドはダメじゃな。さっさと次へ向かうとするかの。
カードを渡し確認完了。代金と一緒に返された。
「またの機会があればお願いするのじゃ」
それだけ言って足早に執務室を、そしてギルドをあとにする。
ギルドで絡んでくるのは若造がテンプレなんじゃないんかのぅ。どっちのギルドでもそれがマスターとはの……組織を守る立場上、疑ってかかるのは仕方ないことだとは分かるんじゃが。
儂もまだまだ青いのぅ。婆さんに散々窘められたのに、ついカッとなる癖が治らん。まぁ治す気があまりないのも事実なんじゃがな。
権力や地位を笠に着た輩や、小狡い奴が大嫌いじゃからな。
宿屋の前払い分が切れたらさっさと出て行くかの。ここよりマシな街はいくらでもあるじゃろ。いや街は良かったんじゃが、ギルドだけがダメだったんじゃな。惜しい街じゃ。
《 8 しばらくのんびりじゃ 》
この街ですることはもうない。なので宿屋でのんびりしつつ、気になる店などをぶらぶら。宿屋を引き払うまでのあと数日はこんな生活じゃ。
買い物はほぼ済んでいるんじゃがな。目的もなくぷらぷらするのは楽しいもんじゃ。
わざわざ絡まれに行くのも阿呆らしいから、どちらのギルドにも顔は出しとらん。
美味しそうな焼き鳥があれば買い、【無限収納】へ。
美味しそうなパンがあれば買い、【無限収納】へ。
美味しそうな汁ものがあれば買い、【無限収納】へ。
食べ物ばかりじゃな。
あぁそうじゃ。移動の時に使える魔道具としてコンロを買ったんじゃよ。魔法で大抵なんとかなるんじゃが、自炊するとなると必要じゃからな。カセットコンロみたいなもんで23万もしたわい。高いのぅ。紅茶100ランカと一緒の値段じゃ……そう考えると安いのかの?
他にも土鍋、鉄鍋、片手鍋にフライパンを買い足した。料理を作ったら鍋ごと【無限収納】に仕舞っておけば、いつでも出来立てほかほかじゃ。
街にいる間は宿屋で料理を補充することにしたんじゃ。空いてる時間に頼んだら喜んで受けてくれたので、鍋と食材を渡して煮込み料理を頼み、仕上がったら【無限収納】に収納。
塩味しかしないからといって、料理してくれた人の目の前で調味料を足すなんてことはしとらんぞ。失礼じゃからな。
これで食事も問題なし。
料理ついでにサラダ用のドレッシングを教えたら、驚いておったわい。サラダにも塩かけるだけじゃったからな。塩、油、酸味のある果汁があるのに塩サラダとは勿体ない。基本のドレッシングさえ教えればあとは自分たちでいろいろ作るじゃろ。
早速夕食にドレッシングが出てきて笑ったわい。
しかも客の反応が面白かったんじゃ。
素材それぞれの味は分かるのに全く知らない味になっとるんじゃからな。驚きもするじゃろ。
翌日、マヨネーズのレシピを教えて頼んでみたら作ってくれた。
これに関しても目から鱗状態なんじゃろな。卵を調味料にするんじゃからそれもそうか。
これも宿で出したいと言っとったから、構わんと伝えたんじゃ。別に秘匿するようなもんでもないからの。
ただ卵の鮮度にだけは注意するようきつく言っといた。
まさかのマヨネーズも【無限収納】に収納できてほくほくじゃ。
そんなこんなで数日経過。
イスリールに挨拶しておこうかと思い、神殿へ足を運ぶ。
前回と同じく正面の像の前で目を瞑る。また周囲の音が消えていく。
「セイタロウさんこんにちは。今日はどうされました?」
「そろそろ次の街へ行こうかと思っての。その挨拶じゃ」
「そうですか。旅の無事を祈ります。『いのちだいじに』ですからね」
イスリールは小さくガッツポーズをしながらそんなことを言う。
なんじゃ、森のを見てたんか。
「そうじゃな。あとマヨネーズとドレッシングを教えてしまったんじゃが問題ないじゃろか?」
「大丈夫ですよ。それはこちらがお礼を言いたいくらいですから」
問題なさそうじゃ。
おぉそうじゃ、コーヒーメーカーのことも聞いとくべきじゃな。
「電動コーヒーメーカーをこちらで使うにはどうすればいいんじゃ? さすがに電気はないじゃろ?」
「セイタロウさんの魔力を変換して使えるようにしましょうか。使用者を限定してしまえばできますから」
「流通はできないんじゃな」
「そうですね。技術レベルに合いませんからそこは制限します。ただ料理や農業などはどんどん指導していただけるとありがたいです。いまいち発展していませんので。でも無理はしないでくださいね」
機械はダメじゃが、知識、技術はいいんじゃな。
「分かったのじゃ。気が向いた時にやるだけじゃから大丈夫じゃ」
「ならそれでお願いします」
おぉ、そうじゃ。もひとつ気になることがあったわい。
「〈朝尾茶園〉で買った物はどこから来とるんじゃ? あっちの在庫がなくなるようなら、別の手を考えないとならんからのぅ」
「茶園と同じ物を買っていますが、在庫は一切減りません。複製してセイタロウさんのもとへと送っています。あ、お金はあちらにあるセイタロウさんの隠し口座へ入金されてます」
「隠し口座なんて持っとらんぞ!? しかも知らないうちに増えていく残高は、もっとおかしいじゃろ」
慌ててツッコミを入れるが、暖簾に腕押し。
「僕にできるタクミ君たちへの誠意です」
にこりと微笑みを浮かべるイスリール。なんじゃ、ギルドでのやり取りも見てたのか。
「これ以上言ってもダメそうじゃな。じゃあまたの。次の街にも神殿があれば挨拶に来るからの」
「はい。お気を付けて」
イスリールの笑顔を最後に周囲の音が戻ってくる。
あとは明日の出立直前に商業ギルドへ挨拶くらいするかの。挨拶だけなら絡まれることもないじゃろ。
そうと決まれば、今日は最後の宿屋を満喫じゃな。
《 9 旅立ちじゃな 》
翌朝。
宿を引き払い、商業ギルドへ挨拶に向かう。建物に入ると受付の嬢ちゃんがいた。
「アサオさん。おはようございます」
「おはようさん。今日この街を出るから挨拶に来たんじゃ。嬢ちゃんには世話になったの」
「いいえ、私こそありがとうございました。マスターにご挨拶なさいますか?」
「結構じゃ。もう出るからの。ビルによろしく伝えといてくれればそれで問題ないのじゃ」
「分かりました。伝えておきます。アサオさん、怪我などに注意してくださいね」
「嬢ちゃんも元気でな」
軽い挨拶を済ませギルドをあとにする。ネイサンに会えばまた面倒じゃろうから、これで済んだのは僥倖じゃな。
そのまま西門へと向かう。
「いろいろ世話になったのぅ。次の街へ行くから挨拶に来たのじゃ」
「爺さん、わざわざ門番へ挨拶しに来るとはマメだな」
「挨拶くらいは普通じゃろ?」
「そうでもないのが普通なんだよ」
苦笑いの門番さん。
「旅の無事を祈る。無理だけはするなよ、爺さん」
「分かったのじゃ。門番さんも気を付けての」
カードに街を出る記録を付けてもらい、そのまま街道へ。
ジャミの森近くを北上すると小さな村があるらしいのでそこへ向かう。
徒歩だと二日かかるかどうかの距離らしい。
あまり時間をかけても仕方ないので単刀直入じゃ。これで即答できないなら他に行こう。
「100ランカ12万リルでいかがでしょう?」
「相場は100ランカ15万リルじゃないのかの?」
「それは以前の相場です。今はもっと下がってますのでこの値段になります」
「ふむ。帰るのじゃ」
全てを鞄に収納して席を立つ。
「ま、待ってください。安すぎでしたか」
「当たり前じゃ。自分たちの指、鼻、舌で最高品質と納得したんじゃろ? それなのにそんな値段では、売る必要がないじゃろう。他に行くだけじゃ」
目先の儲けに釣られて欲をかきすぎじゃ。
「儂としてはこのギルドに登録したから売ろうかと思っただけじゃ。別にここで売らねばならん理由は全くないからのぅ」
当面の資金もまだまだあるからこれは事実じゃ。侮られてまで売る必要は全くないんじゃよ。
「分かりました。この品質のモノを仕入れない馬鹿はいません。100ランカ20万リルでいかがですか?」
「それは真っ当な相場じゃな」
「ではそれで」
ネイサンが言い終わる前に言葉を付け足していく。
「ただ軽く馬鹿にされたからのぅ。誠意くらいは見せてほしいんじゃよ。ダメかのぅ?」
目を見開き、思わずビルを見るネイサンじゃが、彼は味方であっても若干立場が違う。良い品を仕入れることが一番大事な紅茶担当者。そんな者が目の前にある最高品質の仕入れの機会を逸するはずもない。力強く頷かれると、ネイサンはこう言うしかなかった。
「……100ランカ23万リルでお願いします」
苦虫を噛み潰したかのような渋い表情で、声を絞り出してネイサンは小さく答える。
その値段で仕入れても全く問題ないくらいの利益は出るじゃろ。
「それで手を打とうかの。ここに全部出せばいいのかの?」
「ビル、量ってください。私はアサオさんとまだ商談がありますので」
木筒100本を鞄から出してテーブルに並べる。
ビルは部屋から一度出て、量りを持ってまた戻ってきた。儂から見える所で計量をするようじゃな。
「で、商談の残りとは何じゃ?」
「この茶葉の仕入れはどちらからなんで」
「教えるわけないじゃろ」
ネイサンの言葉を遮りぴしゃりと言い放つ。
「紅茶の買い取りだけでおしまいじゃ」
「だけ、ということは他にも何かあるんでしょうか?」
こんな目先の利益しか見えないヤツがなんで長なんてやっとるんじゃろか。
「あるぞ。じゃが売らん。諦めることじゃな」
コーヒーはどこか別の街で売ることにするかの。紅茶だけで十分な利益になっとるからのぅ。こんな所からはさっさとオサラバするのじゃ。
量り終えたビルが項垂れているネイサンに結果を告げる。
「紅茶1万ランカ、確かにあります。買付金額は2300万リルになります。よろしいでしょうか」
「間違いないのぅ」
「では代金を持ってきますので少々お待ちください」
ネイサンが部屋を出ていき、残るはビルと嬢ちゃん。
「あんなのがなんで長なんてできとるんじゃ? 目先の利益しか見えとらん小物に思えるのじゃが」
「その目先の利益にものすごく鼻が利くんです。ですからギルドマスターをしてるんです」
「マスターを小物って……」
ビルは苦笑いしながらも、なんとかネイサンを庇おうと声を出す。かたや嬢ちゃんは二の句が継げない状態じゃった。
「そうか。大局を見誤らんようにせんと大変じゃな」
それだけ告げると全員黙ることになった。
しばらくするとネイサンが笑顔で戻ってくる。
「お待たせしました。こちら代金になります。またお越しの際はお願いします」
まだ何か金になるネタがあると分かったから下手に出とるんじゃろな。
やはり小物じゃな。ここに来ることはもうないじゃろ。
「また機会があったらお願いするのじゃ」
代金を受け取って鞄に仕舞い、部屋をあとにする。
今日はもう疲れた。肉体的には問題ないが精神的にへろへろじゃ。宿で一服しながらのんびりするしかないじゃろ。
あー明日からは何するかのぅ。冒険者ギルドに顔を出してみるかの。いや、その前に仮身分証を返しに行かんとダメじゃな。
よし、明日はそれからやることにしよう。
《 7 冒険者ギルドに行こう 》
翌朝一番で門番さんの所へ行き、仮身分証を返却。そこでまた門番さんと少し世間話をした。
どうやら儂が初めにいたジャミの森は、高ランク冒険者向けの場所になっとるそうじゃ。
というか一般市民や低ランク冒険者は、立ち入ることすら禁止されとるほど危険らしい。
スールへの道中、脇を通ったことにして話したら驚かれたんじゃ。すぐ傍を通るのも危ないそうでな。そこを一人で通り抜けてきたんだから驚かれもするかの。
ただ、あそこの戦利品という名の魔物の死体はどうすればいいんじゃろか……と思っとったら門番さんが教えてくれたんじゃ。
魔物は素材や食材になるので、冒険者ギルドで買い取りをしてくれると。登録しないでも買い取りしてくれるならいいんじゃが、どうするかのぅ。
悩んだところでしょうがない。冒険者ギルドに行くしかないじゃろ。
ただ朝一番は混雑するから避けたほうが賢いそうじゃ。門番さんとの世間話で時間を潰せたから、今から行く分には空いてるじゃろ。
南門のすぐ近くにある石造りの二階建てが冒険者ギルドじゃった。
世間話をした門番さんがいるのは西門。大抵の街は南門近くに冒険者ギルドを置くそうじゃ。南門が正門で『顔』になるんじゃと。
討伐した魔物の死体運搬や採取の納品などで荷車を使うことがままあり、街中だと邪魔になるからのぅ。
ギルド内は職員以外ほとんど人がおらんかった。受付に顔を出すと女性が一人来てくれた。
「討伐した魔物を売りたいんじゃが、登録せんとダメなのかのぅ?」
「売却だけでしたら登録は必要ありません。ただ魔物の討伐報酬が出ませんので登録をオススメしております」
「商業ギルドに登録済みなんじゃが、こちらにも登録できるかの?」
「問題なくできます。カードを更新し、冒険者登録するだけなので簡単に終わりますよ」
カード一枚で情報を一括管理とは便利じゃな。
「規約なんかがあるなら教えてくれんかの? それから登録するか決めてもいいんじゃろ?」
「はい構いません。では規約を説明させていただきますね」
不都合や不利益があるなら登録する必要がないからのぅ。結論を急ぎ過ぎても碌なことがありゃせん。
「規約は商業ギルドと大きく変わりません。ただ冒険者の私闘はご法度です。相手が一般市民であればもちろんですが冒険者同士でも同じです。依頼人との直接交渉は禁止されていませんが、トラブルが起こってもギルドは一切介入できません。なのでなるべく受けないことをオススメします。何か質問はありますか?」
「大丈夫じゃ」
「次に冒険者ランクと依頼ランクの説明です。どちらも最低がF、E、D、C、B、Aときて最高がSとなり、自分の冒険者ランクの一つ上のランクの依頼まで受注可能です。依頼失敗の場合違約金がかかりますので気を付けてください。連続で失敗するとランクダウンもあります。ランクアップは依頼の達成件数、成功率、評価により判断されます。ランクC以上は試験も課されますので頑張ってください」
「強制参加の依頼などはあるのかの?」
「あります。ギルド、国からの強制一括指名依頼などですね」
あぁやっぱりあるんか。なら登録は見送るべきじゃな。身分証は商業ギルドカードで十分じゃ。
「登録はやめておくかの」
「そうですか。では魔物の売却はどうなさいますか?」
「そっちはお願いするのじゃ。ここで出せばいいのかの? ジャミの森の魔物なんじゃが」
「ジャ、ジャミの森ですか。しょ、少々お待ちください」
なんか嬢ちゃん慌ててたの。ジャミ産の魔物の持ち込みは少ないのかのぅ。
お、儂より若いおじさんが一緒に来たのぅ。
【無限収納】の中には、熊に猪、狼に兎に猿まで入っとるんじゃが……
「買い取り担当のビスと申します。ジャミ産の魔物をお持ちとのことですので、倉庫へ同行していただいてもよろしいでしょうか?」
「構わんぞい」
ビスに連れられ倉庫に案内される。
「ところで何体まで買い取りできるんじゃ? それによって出す数が変わるんじゃが」
「そんなに沢山お持ちなのですか? 参考までに数を教えていただけますか?」
「レッドベア一〇頭、レッドボア八頭、フォレストウルフ一三頭、レッドラビ八羽、ワイルドエイプ五頭じゃな」
これでもかなり逃げたんじゃが、向かってきた分は狩ってやったわい。
「全部買い取りさせていただきます!」
なんか目の色変わっとるぞ。大丈夫なんか?
「ジャミ産の魔物は最近出回っていないので、ぜひ買い取りさせてください。需要に対して供給が圧倒的に不足している現状をこれで改善できます」
「そんなに不足しとるんか? 高ランクなら問題なく狩れるじゃろう」
「この街には高ランク冒険者が少ないのです。ですからパーティも組めず、狩れないのです」
そういえばあの森は高ランクパーティ向けじゃったな。それなら納得じゃのぅ。そんなところでのソロ狩りは、やはりいかんな。天災級ステータスとは恐ろしいもんじゃ。
「全部買い取ってくれるならお願いするのじゃ。ここに出せばいいのかの?」
「この倉庫内でしたらどこでも構いません。出された物をすぐに査定しますので少しお待ちください」
ビスの目が輝いておるのぅ。
【無限収納】からどんどん出して置いていく。種類ごとに置いたので魔物の小山が五つ。これでいくらくらいになるんじゃろか。
結果が出るまで茶を飲みながらしばし待つかの。
結果は数分とせずに出た。
「レッドベア80万リル×10頭で800万。レッドボア70万×8頭で560万。フォレストウルフ20万×13頭で260万。レッドラビ1万×8羽で8万。ワイルドエイプ30万×5頭で150万。合計1778万リルとなります。これで問題ありませんか?」
「そんな高くなるもんなのか。驚きじゃな」
「最近は高騰してます。ですからこれだけの金額になりました」
「そんな高値ならこちらに不満はないから大丈夫じゃ」
「でしたらギルドマスターの執務室で代金をお渡しします。こちらです」
ビスに案内され今度はギルド二階の執務室へ。
中では太った中年男が書類とにらめっこをしておった。
「マスター、買い取り代金をお願いします。こちらが伝票です」
「ん? ここに来るくらい大量だったのか?」
ビスから渡された伝票をちらりと見ながら、ギルドマスターらしき小太りの男が答える。
「はい。こちらの方がジャミの森産の魔物を大量に売ってくださいました」
「ほほぅ。ジャミ産を大量とはいい腕だな。Aランク辺りか?」
ジャミの森と聞いたギルドマスターは、値踏みするような目付きで興味深そうに見てきおった。
「いいや。登録しとらん。儂は商人じゃ」
「商人がジャミで狩りなんぞできるわけないだろう」
鼻で笑いながら小馬鹿にしてくる中年男。ここのマスターもダメなのか。
「戦う術を持った商人くらいいるじゃろが。自衛ができれば経費が浮く。そんなの当たり前のことじゃ」
「冒険者登録はしてないのか? それだけの腕なら十分やっていけるだろう」
商人を下に見るかのような発言を繰り返す小太り。
「儂は商人じゃ。冒険者にはならん。こんな爺を無理に登録させるようなら、さっきの魔物も全部売らん。帰るだけじゃ」
「それは困ります。マスターは余計なこと言ってないで代金をお願いします」
売らないと言われて、ビスが慌て出す。これ、ビスがマスターやったほうが良いと思うんじゃが。
「……身分証の提示を頼む。その確認が出来次第代金を渡す」
渋々か。この街のギルドはダメじゃな。さっさと次へ向かうとするかの。
カードを渡し確認完了。代金と一緒に返された。
「またの機会があればお願いするのじゃ」
それだけ言って足早に執務室を、そしてギルドをあとにする。
ギルドで絡んでくるのは若造がテンプレなんじゃないんかのぅ。どっちのギルドでもそれがマスターとはの……組織を守る立場上、疑ってかかるのは仕方ないことだとは分かるんじゃが。
儂もまだまだ青いのぅ。婆さんに散々窘められたのに、ついカッとなる癖が治らん。まぁ治す気があまりないのも事実なんじゃがな。
権力や地位を笠に着た輩や、小狡い奴が大嫌いじゃからな。
宿屋の前払い分が切れたらさっさと出て行くかの。ここよりマシな街はいくらでもあるじゃろ。いや街は良かったんじゃが、ギルドだけがダメだったんじゃな。惜しい街じゃ。
《 8 しばらくのんびりじゃ 》
この街ですることはもうない。なので宿屋でのんびりしつつ、気になる店などをぶらぶら。宿屋を引き払うまでのあと数日はこんな生活じゃ。
買い物はほぼ済んでいるんじゃがな。目的もなくぷらぷらするのは楽しいもんじゃ。
わざわざ絡まれに行くのも阿呆らしいから、どちらのギルドにも顔は出しとらん。
美味しそうな焼き鳥があれば買い、【無限収納】へ。
美味しそうなパンがあれば買い、【無限収納】へ。
美味しそうな汁ものがあれば買い、【無限収納】へ。
食べ物ばかりじゃな。
あぁそうじゃ。移動の時に使える魔道具としてコンロを買ったんじゃよ。魔法で大抵なんとかなるんじゃが、自炊するとなると必要じゃからな。カセットコンロみたいなもんで23万もしたわい。高いのぅ。紅茶100ランカと一緒の値段じゃ……そう考えると安いのかの?
他にも土鍋、鉄鍋、片手鍋にフライパンを買い足した。料理を作ったら鍋ごと【無限収納】に仕舞っておけば、いつでも出来立てほかほかじゃ。
街にいる間は宿屋で料理を補充することにしたんじゃ。空いてる時間に頼んだら喜んで受けてくれたので、鍋と食材を渡して煮込み料理を頼み、仕上がったら【無限収納】に収納。
塩味しかしないからといって、料理してくれた人の目の前で調味料を足すなんてことはしとらんぞ。失礼じゃからな。
これで食事も問題なし。
料理ついでにサラダ用のドレッシングを教えたら、驚いておったわい。サラダにも塩かけるだけじゃったからな。塩、油、酸味のある果汁があるのに塩サラダとは勿体ない。基本のドレッシングさえ教えればあとは自分たちでいろいろ作るじゃろ。
早速夕食にドレッシングが出てきて笑ったわい。
しかも客の反応が面白かったんじゃ。
素材それぞれの味は分かるのに全く知らない味になっとるんじゃからな。驚きもするじゃろ。
翌日、マヨネーズのレシピを教えて頼んでみたら作ってくれた。
これに関しても目から鱗状態なんじゃろな。卵を調味料にするんじゃからそれもそうか。
これも宿で出したいと言っとったから、構わんと伝えたんじゃ。別に秘匿するようなもんでもないからの。
ただ卵の鮮度にだけは注意するようきつく言っといた。
まさかのマヨネーズも【無限収納】に収納できてほくほくじゃ。
そんなこんなで数日経過。
イスリールに挨拶しておこうかと思い、神殿へ足を運ぶ。
前回と同じく正面の像の前で目を瞑る。また周囲の音が消えていく。
「セイタロウさんこんにちは。今日はどうされました?」
「そろそろ次の街へ行こうかと思っての。その挨拶じゃ」
「そうですか。旅の無事を祈ります。『いのちだいじに』ですからね」
イスリールは小さくガッツポーズをしながらそんなことを言う。
なんじゃ、森のを見てたんか。
「そうじゃな。あとマヨネーズとドレッシングを教えてしまったんじゃが問題ないじゃろか?」
「大丈夫ですよ。それはこちらがお礼を言いたいくらいですから」
問題なさそうじゃ。
おぉそうじゃ、コーヒーメーカーのことも聞いとくべきじゃな。
「電動コーヒーメーカーをこちらで使うにはどうすればいいんじゃ? さすがに電気はないじゃろ?」
「セイタロウさんの魔力を変換して使えるようにしましょうか。使用者を限定してしまえばできますから」
「流通はできないんじゃな」
「そうですね。技術レベルに合いませんからそこは制限します。ただ料理や農業などはどんどん指導していただけるとありがたいです。いまいち発展していませんので。でも無理はしないでくださいね」
機械はダメじゃが、知識、技術はいいんじゃな。
「分かったのじゃ。気が向いた時にやるだけじゃから大丈夫じゃ」
「ならそれでお願いします」
おぉ、そうじゃ。もひとつ気になることがあったわい。
「〈朝尾茶園〉で買った物はどこから来とるんじゃ? あっちの在庫がなくなるようなら、別の手を考えないとならんからのぅ」
「茶園と同じ物を買っていますが、在庫は一切減りません。複製してセイタロウさんのもとへと送っています。あ、お金はあちらにあるセイタロウさんの隠し口座へ入金されてます」
「隠し口座なんて持っとらんぞ!? しかも知らないうちに増えていく残高は、もっとおかしいじゃろ」
慌ててツッコミを入れるが、暖簾に腕押し。
「僕にできるタクミ君たちへの誠意です」
にこりと微笑みを浮かべるイスリール。なんじゃ、ギルドでのやり取りも見てたのか。
「これ以上言ってもダメそうじゃな。じゃあまたの。次の街にも神殿があれば挨拶に来るからの」
「はい。お気を付けて」
イスリールの笑顔を最後に周囲の音が戻ってくる。
あとは明日の出立直前に商業ギルドへ挨拶くらいするかの。挨拶だけなら絡まれることもないじゃろ。
そうと決まれば、今日は最後の宿屋を満喫じゃな。
《 9 旅立ちじゃな 》
翌朝。
宿を引き払い、商業ギルドへ挨拶に向かう。建物に入ると受付の嬢ちゃんがいた。
「アサオさん。おはようございます」
「おはようさん。今日この街を出るから挨拶に来たんじゃ。嬢ちゃんには世話になったの」
「いいえ、私こそありがとうございました。マスターにご挨拶なさいますか?」
「結構じゃ。もう出るからの。ビルによろしく伝えといてくれればそれで問題ないのじゃ」
「分かりました。伝えておきます。アサオさん、怪我などに注意してくださいね」
「嬢ちゃんも元気でな」
軽い挨拶を済ませギルドをあとにする。ネイサンに会えばまた面倒じゃろうから、これで済んだのは僥倖じゃな。
そのまま西門へと向かう。
「いろいろ世話になったのぅ。次の街へ行くから挨拶に来たのじゃ」
「爺さん、わざわざ門番へ挨拶しに来るとはマメだな」
「挨拶くらいは普通じゃろ?」
「そうでもないのが普通なんだよ」
苦笑いの門番さん。
「旅の無事を祈る。無理だけはするなよ、爺さん」
「分かったのじゃ。門番さんも気を付けての」
カードに街を出る記録を付けてもらい、そのまま街道へ。
ジャミの森近くを北上すると小さな村があるらしいのでそこへ向かう。
徒歩だと二日かかるかどうかの距離らしい。
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