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第五章 癖のある新人社員 編
49:忍法!超多用途★☆スーパーX!!の巻
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※誤字修正しました。ありがとうございます。
「はぁはぁ⋯⋯や、やっとついたな⋯⋯。レイ大丈夫か?」
「に、兄さん⋯⋯あ、あしが、勝手に動いてる!!と、止まらないよっ!!」
限界を迎えていたレイをチャリから下ろすと、一旦休憩をすることにした。船内でペダルを漕ぐという行為は、景色も変わらず、風を感じることも出来ず、非常に苦行だった。
俺達は、今後の作業の流れについての相談を始めた、流石にこのクルーザーで海を潜るわけにもいかないしな。
「お館様、安心するでござる! これぞ最新鋭潜水艦『しんかい12000』の1/70スケールモデルでござる。ニンニン♪」
アリスがドヤ顔で披露したのは、流線型の白い船体。だが、よく見るとパーツを切り離した際のバリが各所に残り、窓枠のゴムパッキンは左右で微妙にズレている。
「アリス、これが実物大になったところで、沈没する未来しか見えない⋯⋯補修しろ。」
「ぎ、御意!!」
アリスが必死こいてプラモの手直しをするなか、俺達は食事をとり、一休みをする。ユウキはプラモ作りに興味があるのか、アリスの補佐をしていた。ユウキにプラモを作らせたほうが、良いものができる気がするのだが、あえて口には出さなかった。
30分後、パッと見きれいに見えるプラモをチェックし、船のデッキにあがり、プラモを海上に実体化させた。見た目はカッコいい。だが、クルーザーの事を考えると、船内の様子は期待できないな⋯⋯
「……アリス。これ、内装がプラモデルそのまんまじゃないか⋯⋯」
乗り込んで絶句した。座席はプラスチック特有のテカテカした質感で、クッション性ゼロ。計器類はすべて「シール」で再現されており、針はピクリとも動かない。
船の材質はプラスチックその物なのだが、実際には超固くて簡単には壊れない謎の材質⋯⋯だそうだ。
「ご愛嬌でござるよ!ニンニン♪ さあ、野郎ども、漕ぐでござるよ!」
動力源は、艦内後方に設置された巨大なペダル式スクリュー。
「兄さん、僕が右を担当するよ」
レイが冷静にペダルに足をかける
。
「よし、俺が左だ。ユウキ、お前は……その『木の棒』を握ってろ!」
「えぇーっ! これがロボットアームの操作桿なんですか!? 動きがシブすぎて、引くたびに『ギギギ……』ってプラモの関節が悲鳴上げてるんですけど!」
「いくぞ!レイ!!
イチ・ニ、イチ・ニ、イチ・ニ⋯⋯⋯」
掛け声出さないと直進しないんだもん⋯⋯
人力スクリューが回転し、潜水艇は青い海原から、光の届かない深淵へと沈み始めた。
水深500メートル。
ここはまだ「普通の海」だが、水圧は容赦なくプラスチックの船体を締め付ける。
その時、「ピシッ」という嫌な音が響いた。
「わわわ! お館様、右舷のハッチから海水が吹き出してきたでござる!」
「アリス! 窓からも浸水してるぞ!だからちゃんと直せと言っただろ!!!」
「ユウキ殿、そこにある『重り』で穴を塞ぐでござる!」
「これ、ただのランナーの塊じゃないですか! 役に立たないですよぉ!」
「心得た!忍法:超多用途★☆(ツインスター)スーパーX!!」
アリスが巨大な金色のチューブを抜き放ち、亀裂に向かって粘り気のある透明な液体をブチューーーッ!と豪快に厚塗りした。
「ふぅ……。だがお館様、これ実用強度まで2分半、完全硬化には24分かかるでござる! この水圧じゃ、乾く前に押し流されそうでござるよぉ!」
「レイ、さらに加速だ! 浸水速度より速く潜るぞ!アリス、お前はボンドを塗り続けろっ!!」
「わ、わかった、兄さん。……でも、アリスさんのボンドが僕に向かって飛んできてるよ⋯⋯僕まで固まっちゃう」
水深1000メートル突破。
ライトの先に、海底の岩棚に挟まって身動きが取れなくなっている調査艇が見えてくる。まぁ、プラモのライトは機能していないので、超強力な懐中電灯で照らしているのだが。
「救助対象を発見! ……けど先輩、あれ岩に挟まってて、爆薬で岩を壊さないと引き抜けないって話でしたよね?」
ユウキが「木の棒」を必死に動かしながら叫ぶ。
「そんなこともあろうかと、このしんかい12000には、特殊爆薬を搭載した魚雷を仕込んでござる。ニンニン♪」
「発射ホタンは?」
「ロボットアームでセットしてくだされ。10秒後に爆発します!」
「あ、うん……」
無事に岩石を爆破し、救助艇か姿を現す。すぐさま救助艇とドッキングし、動けなくなっていた調査員たちを回収した。
救出されたリーダーが、震える指でさらに下を指差す。
「……助かった。だが、まだ終わりじゃない。見てくれ、あの底を……」
そこには、海底の泥に半ば埋もれるように、巨大なゲートが鎮座していた。
「とりあえず、調査員達を送り届けるか、ダンジョン調査は俺たちの仕事じゃないしな。」
「先輩、その前にご飯を食べてもらいましょう。」
「おっと、そうだったな。皆さん、お待ちかねの高級焼肉弁当お届けです!」
「「「ひゅーーーー!!まだほっかほかだ~~!!」」」
調査員たちが、美味しそうにお弁当を頬張る姿を眺めながら、再び自転車を漕ぎながら海面へ浮上を始めた。
【D-Tube リアルタイム実況ログ:深海レスキュー実況中】
112:名無しさん
ちょwww 船内が完全にプラモデルなんだけどwww
113:名無しさん
計器がシールってマジかよ!
114:名無しさん
レンさんの掛け声www 「イチ・ニ、イチ・ニ」って、人力ボート漕がされてるレイ君が不憫すぎるwww
115:名無しさん
水深500mで浸水。
116:名無しさん
きたああああ! 伝説の接着剤「スーパーX」!!
それ、お世話になってるモデラーめっちゃ多いやつだぞ!
117:名無しさん
「実用強度まで2分半」……絶望的なカウントダウンすぎるだろ。俺の知ってるスーパーXは25分かかるから進化してるんだな
118:名無しさん
レイ君にボンドが飛んでってるwww レイ君まで実用強度で固まったら笑うわwww
119:名無しさん
おいおい、あの「木の棒」で魚雷セットしたのかよ。ユウキちゃんのアイアン・ジョッキー、もはや精密機械操作の域を超えて「プラモの関節を根性で動かすスキル」になってるだろ。
120:名無しさん
ドォォォーン!! 爆破成功!!
……からの、この深海でお弁当デリバリーきたあああ!!
121:名無しさん
救助された瞬間に「高級焼肉弁当」とか、調査員の人たち前世でどんな徳を積んだんだよ。
122:名無しさん
「まだほっかほか」……レンさんのバッグの一家にひとつほしい!
123:名無しさん
ちょっと待て、画面の端に映ったあの巨大なゲート……。
初めてみた…
124:名無しさん
レンさん「俺たちの仕事じゃない」って言いつつ、絶対あとで潜るフラグだよねこれ。
125:名無しさん
とりあえず、無事の浮上を祈る! !
「はぁはぁ⋯⋯や、やっとついたな⋯⋯。レイ大丈夫か?」
「に、兄さん⋯⋯あ、あしが、勝手に動いてる!!と、止まらないよっ!!」
限界を迎えていたレイをチャリから下ろすと、一旦休憩をすることにした。船内でペダルを漕ぐという行為は、景色も変わらず、風を感じることも出来ず、非常に苦行だった。
俺達は、今後の作業の流れについての相談を始めた、流石にこのクルーザーで海を潜るわけにもいかないしな。
「お館様、安心するでござる! これぞ最新鋭潜水艦『しんかい12000』の1/70スケールモデルでござる。ニンニン♪」
アリスがドヤ顔で披露したのは、流線型の白い船体。だが、よく見るとパーツを切り離した際のバリが各所に残り、窓枠のゴムパッキンは左右で微妙にズレている。
「アリス、これが実物大になったところで、沈没する未来しか見えない⋯⋯補修しろ。」
「ぎ、御意!!」
アリスが必死こいてプラモの手直しをするなか、俺達は食事をとり、一休みをする。ユウキはプラモ作りに興味があるのか、アリスの補佐をしていた。ユウキにプラモを作らせたほうが、良いものができる気がするのだが、あえて口には出さなかった。
30分後、パッと見きれいに見えるプラモをチェックし、船のデッキにあがり、プラモを海上に実体化させた。見た目はカッコいい。だが、クルーザーの事を考えると、船内の様子は期待できないな⋯⋯
「……アリス。これ、内装がプラモデルそのまんまじゃないか⋯⋯」
乗り込んで絶句した。座席はプラスチック特有のテカテカした質感で、クッション性ゼロ。計器類はすべて「シール」で再現されており、針はピクリとも動かない。
船の材質はプラスチックその物なのだが、実際には超固くて簡単には壊れない謎の材質⋯⋯だそうだ。
「ご愛嬌でござるよ!ニンニン♪ さあ、野郎ども、漕ぐでござるよ!」
動力源は、艦内後方に設置された巨大なペダル式スクリュー。
「兄さん、僕が右を担当するよ」
レイが冷静にペダルに足をかける
。
「よし、俺が左だ。ユウキ、お前は……その『木の棒』を握ってろ!」
「えぇーっ! これがロボットアームの操作桿なんですか!? 動きがシブすぎて、引くたびに『ギギギ……』ってプラモの関節が悲鳴上げてるんですけど!」
「いくぞ!レイ!!
イチ・ニ、イチ・ニ、イチ・ニ⋯⋯⋯」
掛け声出さないと直進しないんだもん⋯⋯
人力スクリューが回転し、潜水艇は青い海原から、光の届かない深淵へと沈み始めた。
水深500メートル。
ここはまだ「普通の海」だが、水圧は容赦なくプラスチックの船体を締め付ける。
その時、「ピシッ」という嫌な音が響いた。
「わわわ! お館様、右舷のハッチから海水が吹き出してきたでござる!」
「アリス! 窓からも浸水してるぞ!だからちゃんと直せと言っただろ!!!」
「ユウキ殿、そこにある『重り』で穴を塞ぐでござる!」
「これ、ただのランナーの塊じゃないですか! 役に立たないですよぉ!」
「心得た!忍法:超多用途★☆(ツインスター)スーパーX!!」
アリスが巨大な金色のチューブを抜き放ち、亀裂に向かって粘り気のある透明な液体をブチューーーッ!と豪快に厚塗りした。
「ふぅ……。だがお館様、これ実用強度まで2分半、完全硬化には24分かかるでござる! この水圧じゃ、乾く前に押し流されそうでござるよぉ!」
「レイ、さらに加速だ! 浸水速度より速く潜るぞ!アリス、お前はボンドを塗り続けろっ!!」
「わ、わかった、兄さん。……でも、アリスさんのボンドが僕に向かって飛んできてるよ⋯⋯僕まで固まっちゃう」
水深1000メートル突破。
ライトの先に、海底の岩棚に挟まって身動きが取れなくなっている調査艇が見えてくる。まぁ、プラモのライトは機能していないので、超強力な懐中電灯で照らしているのだが。
「救助対象を発見! ……けど先輩、あれ岩に挟まってて、爆薬で岩を壊さないと引き抜けないって話でしたよね?」
ユウキが「木の棒」を必死に動かしながら叫ぶ。
「そんなこともあろうかと、このしんかい12000には、特殊爆薬を搭載した魚雷を仕込んでござる。ニンニン♪」
「発射ホタンは?」
「ロボットアームでセットしてくだされ。10秒後に爆発します!」
「あ、うん……」
無事に岩石を爆破し、救助艇か姿を現す。すぐさま救助艇とドッキングし、動けなくなっていた調査員たちを回収した。
救出されたリーダーが、震える指でさらに下を指差す。
「……助かった。だが、まだ終わりじゃない。見てくれ、あの底を……」
そこには、海底の泥に半ば埋もれるように、巨大なゲートが鎮座していた。
「とりあえず、調査員達を送り届けるか、ダンジョン調査は俺たちの仕事じゃないしな。」
「先輩、その前にご飯を食べてもらいましょう。」
「おっと、そうだったな。皆さん、お待ちかねの高級焼肉弁当お届けです!」
「「「ひゅーーーー!!まだほっかほかだ~~!!」」」
調査員たちが、美味しそうにお弁当を頬張る姿を眺めながら、再び自転車を漕ぎながら海面へ浮上を始めた。
【D-Tube リアルタイム実況ログ:深海レスキュー実況中】
112:名無しさん
ちょwww 船内が完全にプラモデルなんだけどwww
113:名無しさん
計器がシールってマジかよ!
114:名無しさん
レンさんの掛け声www 「イチ・ニ、イチ・ニ」って、人力ボート漕がされてるレイ君が不憫すぎるwww
115:名無しさん
水深500mで浸水。
116:名無しさん
きたああああ! 伝説の接着剤「スーパーX」!!
それ、お世話になってるモデラーめっちゃ多いやつだぞ!
117:名無しさん
「実用強度まで2分半」……絶望的なカウントダウンすぎるだろ。俺の知ってるスーパーXは25分かかるから進化してるんだな
118:名無しさん
レイ君にボンドが飛んでってるwww レイ君まで実用強度で固まったら笑うわwww
119:名無しさん
おいおい、あの「木の棒」で魚雷セットしたのかよ。ユウキちゃんのアイアン・ジョッキー、もはや精密機械操作の域を超えて「プラモの関節を根性で動かすスキル」になってるだろ。
120:名無しさん
ドォォォーン!! 爆破成功!!
……からの、この深海でお弁当デリバリーきたあああ!!
121:名無しさん
救助された瞬間に「高級焼肉弁当」とか、調査員の人たち前世でどんな徳を積んだんだよ。
122:名無しさん
「まだほっかほか」……レンさんのバッグの一家にひとつほしい!
123:名無しさん
ちょっと待て、画面の端に映ったあの巨大なゲート……。
初めてみた…
124:名無しさん
レンさん「俺たちの仕事じゃない」って言いつつ、絶対あとで潜るフラグだよねこれ。
125:名無しさん
とりあえず、無事の浮上を祈る! !
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