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第六章 その配送、安物につき群雄割拠 編
65:S級 vs S級
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ズゴゴゴゴゴゴォォォン!!
耳をつんざくような轟音と共に、隅田川の護岸コンクリートが砕け散った。
H&Lロジの大型タグボートに無理やり牽引された『浮遊型ダンジョンゲート』が、強引に陸地へと乗り上げたのだ。
直径50メートルにも及ぶ巨大な門が、H&Lの倉庫敷地に鎮座する。
その絶望的な光景を見て、追いついてきたユウキが息を呑んだ。
「うわぁ……本当に陸に上げちゃったよ……。ねえ大門さん、本当にあのダンジョンゲートから魔物が出てくるんですか?」
隣に立った大門は、サングラスの位置を直し、低い声で吐き捨てた。
「ここまでの事をしたんだ、H&Lは本気でやれると考えているんだろう……」
「ご、ごくり……つまり?」
「あ……ああ、つまりだ、本来、強力な魔物は深層にしかいない。そこへ至るまでの長い道のりが、地上を守るフィルターの役割を果たしている。
だが、奴らはあのゲートを使って、深層と地上をドア一枚で繋ごうとしている……たぶん」
大門は、ゲートから漏れ出すどす黒い魔力を睨みつけた。
「そうなればどうなるか……想像してみろ。
S級モンスターが、道を闊歩する銀座の交差点を……」
ユウキの顔から血の気が引く。
「運転しにくそう……」
大門は、俺にコイツはなんなんだと、ジェスチャーでアピールしてくる。
大門の言うことが何処まで本当か分からないが、H&Lがしようとしている地上と現実の境界を破壊し、世界をリセットするという目的に合致しているが。
そんな事を考えていると、倉庫のスピーカーから、H&Lエリア統括『蛇島』の狂った笑い声が響き渡る。
『ギャハハハ! よく来たな、負け犬ども!
見ろ! これが新時代の幕開けだ! ゲートの回路接続は完了した!
さあ、出てこい俺の可愛いペットたち! 人間どもを喰らい尽くせ!』
蛇島の合図と共に、ゲートの光が毒々しい紫色に変色した。
空間が歪み、そこから溢れ出してきたのは――。
グオオオオオッ!!
全身が岩石で覆われた巨人『ロック・ゴーレム』。
鋭利な鎌を持つ巨大カマキリ『デス・マンティス』。
深層エリアに生息するはずのB級、A級モンスターの群れが、雪崩のように地上へ溢れ出した。
「ひっ、ひぃぃっ! 本当に出てきた!」
H&Lの作業員たちが悲鳴を上げて逃げ惑う。彼らもまた、使い捨ての駒に過ぎないのだろう。
モンスターの群れが、市街地へ向かおうとしたその時。
「……通さん!!」
大門の怒号が響いた。
彼が手を挙げると、待機していた大和運輸の精鋭部隊が一斉に展開した。
「大和運輸・特殊配送部隊『クロヒョウ隊』、陣形展開!
市民には指一本触れさせるな! ここで食い止めるぞ!」
「「「了解!!」」」
数十名の屈強なドライバーたちが、強化シールドと配送用スタンバトンを構え、巨大な壁となってモンスターの前に立ちはだかった。
ゴーレムの拳を盾で受け流し、マンティスの鎌を連携攻撃で弾き返す。
一糸乱れぬ統率。これが日本最大手の底力だ。
「レン殿! 雑魚は我々が引き受ける!
貴殿らはゲートストーンを破壊しろ!」
大門がゴーレムを殴り飛ばしながら叫ぶ。
海上から上陸したサンバーの荷台で、レンが頷いた。
「恩に着る、大門さん! ……行くぞ、みんな!
拓実がアクセルを踏み込む。
ウルトラ・サンバー・マリンカスタムは、フロートをパージし、陸上モードへと変形。
濡れたアスファルトを強力にグリップし、モンスターの群れの中へと突っ込んでいく。
「……邪魔です」
拓実は冷静にハンドルを切る。
飛びかかってくるマンティスの攻撃を、紙一重のドリフトで回避。
さらに、サイドブレーキを引いて車体をスピンさせ、遠心力を乗せた車体後部でゴブリンを弾き飛ばす。
「……秘技『サンバー・トルネード』。……ワックスかけたばかりなので、血はつけないでください」
助手席のアリスも窓から身を乗り出し、クナイを乱射する。
「忍法・花吹雪! 雑魚に構っている暇はないでござるよ!」
サンバーは戦場を切り裂き、蛇島がいる倉庫の管理棟へと肉薄する。
だが、その行く手を阻むように、ゲートの中から一際巨大な影が現れた。
ズゥゥゥゥン……
それは、全長20メートルを超える、骨だけで構成されたドラゴン――『スカル・ドラゴン』だった。
深層のボスクラスの怪物が、空ろな眼窩に赤い光を灯し、サンバーを見下ろす。
『ギシャァァァァッ!!』
ドラゴンの咆哮だけで、周囲のガラスが砕け散る。
サンバーが急ブレーキで停止した。
「……さすがに、軽トラでドラゴンとは喧嘩できない……、あいつも嫌だって言ってる。」
拓実が淡々と言う。
ドラゴンの口が開き、紫色のブレスが溜まり始める。
直撃すれば、サンバーごと蒸発する威力だ。
その時。
レンの隣に座っていたカグヤが、静かに立ち上がった。
凛とした背筋。冷徹な瞳。徐々に冷気が漂ってくる。
「……レン。少し、耳を塞いでいてくれる?」
「え? ああ」
カグヤは一歩前に出ると、スカル・ドラゴンを見上げ、この世で最も冷たい声で宣告した。
「私の純情を弄び……、レンを傷つけようとしたこと……、万死に値するわ!
骨の髄まで凍らせて、粉々に砕いてあげる。」
カグヤが指を鳴らす。
ただそれだけの動作。
しかし、世界が一変した。
『氷界・絶対零度(ニブルヘイム)』
音すら凍る静寂。
ブレスを吐こうとしていたスカル・ドラゴンが、口を開けたままピクリとも動かなくなった。
次の瞬間。
パリィィィィン!!
という美しい音と共に、巨大なドラゴンの骨格が、砂のように崩れ落ちた。
細胞レベルで瞬間凍結され、自重に耐えきれずに崩壊したのだ。
S級モンスターの瞬殺。
そして、ゲートストーンすら凍り付かせ、ゲートの扉が静かに閉じた。
管理棟の窓から見ていた蛇島が、腰を抜かしてへたり込むのが見える。
「さあ、行きましょうレン。
……あそこの管理棟に、清算すべきゴミがいるわ」
カグヤが優雅に微笑む。
その笑顔は美しいが、背後には吹雪の幻影が見えるようだった。
レンは苦笑いしながら、拓実の肩を叩いた。
「……だそうだ。拓実、あそこまで送ってくれ」
「……了解。……エンジンが冷える前に移動します。」
サンバーが再び咆哮を上げる。
目指すは最上階。
ダンジョンイーツ対H&Lロジ。
その決着の時は近い。
耳をつんざくような轟音と共に、隅田川の護岸コンクリートが砕け散った。
H&Lロジの大型タグボートに無理やり牽引された『浮遊型ダンジョンゲート』が、強引に陸地へと乗り上げたのだ。
直径50メートルにも及ぶ巨大な門が、H&Lの倉庫敷地に鎮座する。
その絶望的な光景を見て、追いついてきたユウキが息を呑んだ。
「うわぁ……本当に陸に上げちゃったよ……。ねえ大門さん、本当にあのダンジョンゲートから魔物が出てくるんですか?」
隣に立った大門は、サングラスの位置を直し、低い声で吐き捨てた。
「ここまでの事をしたんだ、H&Lは本気でやれると考えているんだろう……」
「ご、ごくり……つまり?」
「あ……ああ、つまりだ、本来、強力な魔物は深層にしかいない。そこへ至るまでの長い道のりが、地上を守るフィルターの役割を果たしている。
だが、奴らはあのゲートを使って、深層と地上をドア一枚で繋ごうとしている……たぶん」
大門は、ゲートから漏れ出すどす黒い魔力を睨みつけた。
「そうなればどうなるか……想像してみろ。
S級モンスターが、道を闊歩する銀座の交差点を……」
ユウキの顔から血の気が引く。
「運転しにくそう……」
大門は、俺にコイツはなんなんだと、ジェスチャーでアピールしてくる。
大門の言うことが何処まで本当か分からないが、H&Lがしようとしている地上と現実の境界を破壊し、世界をリセットするという目的に合致しているが。
そんな事を考えていると、倉庫のスピーカーから、H&Lエリア統括『蛇島』の狂った笑い声が響き渡る。
『ギャハハハ! よく来たな、負け犬ども!
見ろ! これが新時代の幕開けだ! ゲートの回路接続は完了した!
さあ、出てこい俺の可愛いペットたち! 人間どもを喰らい尽くせ!』
蛇島の合図と共に、ゲートの光が毒々しい紫色に変色した。
空間が歪み、そこから溢れ出してきたのは――。
グオオオオオッ!!
全身が岩石で覆われた巨人『ロック・ゴーレム』。
鋭利な鎌を持つ巨大カマキリ『デス・マンティス』。
深層エリアに生息するはずのB級、A級モンスターの群れが、雪崩のように地上へ溢れ出した。
「ひっ、ひぃぃっ! 本当に出てきた!」
H&Lの作業員たちが悲鳴を上げて逃げ惑う。彼らもまた、使い捨ての駒に過ぎないのだろう。
モンスターの群れが、市街地へ向かおうとしたその時。
「……通さん!!」
大門の怒号が響いた。
彼が手を挙げると、待機していた大和運輸の精鋭部隊が一斉に展開した。
「大和運輸・特殊配送部隊『クロヒョウ隊』、陣形展開!
市民には指一本触れさせるな! ここで食い止めるぞ!」
「「「了解!!」」」
数十名の屈強なドライバーたちが、強化シールドと配送用スタンバトンを構え、巨大な壁となってモンスターの前に立ちはだかった。
ゴーレムの拳を盾で受け流し、マンティスの鎌を連携攻撃で弾き返す。
一糸乱れぬ統率。これが日本最大手の底力だ。
「レン殿! 雑魚は我々が引き受ける!
貴殿らはゲートストーンを破壊しろ!」
大門がゴーレムを殴り飛ばしながら叫ぶ。
海上から上陸したサンバーの荷台で、レンが頷いた。
「恩に着る、大門さん! ……行くぞ、みんな!
拓実がアクセルを踏み込む。
ウルトラ・サンバー・マリンカスタムは、フロートをパージし、陸上モードへと変形。
濡れたアスファルトを強力にグリップし、モンスターの群れの中へと突っ込んでいく。
「……邪魔です」
拓実は冷静にハンドルを切る。
飛びかかってくるマンティスの攻撃を、紙一重のドリフトで回避。
さらに、サイドブレーキを引いて車体をスピンさせ、遠心力を乗せた車体後部でゴブリンを弾き飛ばす。
「……秘技『サンバー・トルネード』。……ワックスかけたばかりなので、血はつけないでください」
助手席のアリスも窓から身を乗り出し、クナイを乱射する。
「忍法・花吹雪! 雑魚に構っている暇はないでござるよ!」
サンバーは戦場を切り裂き、蛇島がいる倉庫の管理棟へと肉薄する。
だが、その行く手を阻むように、ゲートの中から一際巨大な影が現れた。
ズゥゥゥゥン……
それは、全長20メートルを超える、骨だけで構成されたドラゴン――『スカル・ドラゴン』だった。
深層のボスクラスの怪物が、空ろな眼窩に赤い光を灯し、サンバーを見下ろす。
『ギシャァァァァッ!!』
ドラゴンの咆哮だけで、周囲のガラスが砕け散る。
サンバーが急ブレーキで停止した。
「……さすがに、軽トラでドラゴンとは喧嘩できない……、あいつも嫌だって言ってる。」
拓実が淡々と言う。
ドラゴンの口が開き、紫色のブレスが溜まり始める。
直撃すれば、サンバーごと蒸発する威力だ。
その時。
レンの隣に座っていたカグヤが、静かに立ち上がった。
凛とした背筋。冷徹な瞳。徐々に冷気が漂ってくる。
「……レン。少し、耳を塞いでいてくれる?」
「え? ああ」
カグヤは一歩前に出ると、スカル・ドラゴンを見上げ、この世で最も冷たい声で宣告した。
「私の純情を弄び……、レンを傷つけようとしたこと……、万死に値するわ!
骨の髄まで凍らせて、粉々に砕いてあげる。」
カグヤが指を鳴らす。
ただそれだけの動作。
しかし、世界が一変した。
『氷界・絶対零度(ニブルヘイム)』
音すら凍る静寂。
ブレスを吐こうとしていたスカル・ドラゴンが、口を開けたままピクリとも動かなくなった。
次の瞬間。
パリィィィィン!!
という美しい音と共に、巨大なドラゴンの骨格が、砂のように崩れ落ちた。
細胞レベルで瞬間凍結され、自重に耐えきれずに崩壊したのだ。
S級モンスターの瞬殺。
そして、ゲートストーンすら凍り付かせ、ゲートの扉が静かに閉じた。
管理棟の窓から見ていた蛇島が、腰を抜かしてへたり込むのが見える。
「さあ、行きましょうレン。
……あそこの管理棟に、清算すべきゴミがいるわ」
カグヤが優雅に微笑む。
その笑顔は美しいが、背後には吹雪の幻影が見えるようだった。
レンは苦笑いしながら、拓実の肩を叩いた。
「……だそうだ。拓実、あそこまで送ってくれ」
「……了解。……エンジンが冷える前に移動します。」
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